重要な場面でプレッシャーに負けそうな人に効く心理学メソッド

重要な場面で強いストレスに悩まされることはありますよね。試験や就活、プレゼンなどなど。ここ一番でメンタルが弱く、実力が発揮できないとしたらもったいない限りです。そこでプレッシャーや緊張に負けない対策をまとめました。

  • 通常のリラックス法は使えない
  • 勝負所でのプレッシャーへの対処法 前日編
  • 勝負所でのプレッシャーへの対処法 直前編

通常のリラックス法は使えない

ここ一番に弱い人はいます。通常の状態であれば、誰よりも能力が高いのに、最も重要な場面で動けなくなってしまうタイプの人です。なるべく苦手な一発勝負を避けて生きていこうとする人もいるかもしれません。

ただ、この場面で勝負が決まるという瞬間は誰にでもあるものです。しかも、このような場面から逃げ出すことは、あまりプラスになりません。ずっと勉強してきた資格試験、仲間と準備してきたプレゼン、どうにかたどり着いた転職活動の二次面接、やっと工面してもらえた15分の営業時間。逃げだせば次の機会を得ることすら難しくなりそうです。
ただ吐きそうになるほどの緊張と、頭が真っ白になりそうな慌て具合の中、いつもの自分を取り戻すのは容易ではないでしょう。

しかも、こうした状態になったとき、一般的なリラックス方法はあまり効果がなかったりします。ストレッチがリラックスするのにどれほど効果的でも、面接が始まってからストレッチをするわけにもいかないからです。

だからこそ緊張するのが予想される時には、事前の対策が必要になります。

明日、重要なプレゼンを控えているとしましょう。想像するだけでドキドキしてしまうといった人は、このページに行きついてラッキーです。というのも、そうしたプレッシャーへの対処方法は、心理学で研究されているからです。

プレッシャーへの対処法を、前日と直前に分けて解説していきましょう。

勝負所でのプレッシャーへの対処法 前日編

のしかかるプレッシャーに不安を感じているなら、当日に備えて準備をしておいた方がいいでしょう。ここで紹介するのは3点。人によっては事前の準備だけで当日の落ち着きを取り戻すことができるかもしれません。

①プレッシャーを強みに変える
重要な場面での緊張に悩まされている人が、まず思い出すべきは、緊張状態の意義です。
プレッシャーがかかると心臓がドキドキして、汗をかいたりします。これは「闘争・逃走反応」と呼ばれるものです。簡単に言えば、クマなどの捕食者に出会ってしまったとき、命の危険にさらされたときの反応なのです。その名の通り、闘うか逃げるのかを選択しようと、優先的に筋肉に血が供給されている状態です。
問題はプレッシャーの正体がクマではなく、プレゼンだということでしょう。

ただ体を守るための緊急モードである「闘争・逃走反応」は、現代人の生活にまったく使えないわけでもありません。生死をかけた闘いに向けて準備されているエネルギーと集中力を、自分の課題に使えばいいのです。実際、プレッシャーがパフォーマンスにプラスの影響を与えることがあるという事実を知るだけで、実際のパフォーマンスが33%上昇するといった研究結果もあります。

本番を考えただけでドキドキしてきたなら、よりパフォーマンスを高めるチャンスだと考えてみましょう。これだけで30%もパフォーマンスがアップするのですから、かなりお得です。

②アファメーションをつくる
アファメーションという単語を聞いたことがありますか? 簡単に言えば、肯定的な宣言といったものです。実際には「私には夢を叶える力がある」といったセリフを口にするもので、その効果に疑問を抱く人もいるかもしれません。しかしトップアスリートなどでも活用されていますし、自動的にアファメーションを送ってくるアプリを、トップモデルが活用していたと話題になったこともあります。

心理学でも研究が進んでおり、米国にあるナショナル・ジューイッシュ・ヘルスのCJバスゲイト博士は、「私たちの脳は常に近道を探しており、頻繁に出てきて、簡単にアクセスできる考えを選択する傾向がある」と指摘しています。
つまりアファメーションをつぶやくことで、その戦略を脳が採用する可能性が高まるのです。
こうした脳のクセを活用しない手はないでしょう。
ただ、プレッシャーに対応するアファメーションをつくる場合は、これだけでは不足しています。というのも単にポジティブな意識をつくるだけでは、自分を信じられないが故の緊張状態から解放されないケースがあるからです。

そこで実際に集中すべきことを明確にし、どのように行動していくのかわかるアファメーションにする必要があります。

さっそくプレッシャー対策のアファメーションをつくりましょう。

まず、アファメーションの簡単なルールは、以下の通りです。

(1)主語は必ず「私は」などの一人称
(2)かなえたい未来を言葉にする
(3)現在進行形「~している」の形にする
(4)「誇らしく思う」「喜びを感じている」など感情の言葉を加える

例えばプレゼンであれば、まずハキハキと適正な声量で話し始める必要があります。そこで次のようなアファメーションをつくることができます。
「私はハキハキとしっかりした声量で話していることに喜びを感じている」

これが試験であれば問題にさらっと目を通して全体像をつかみ取るといったことが大切になるかもしれませんし、面接であれば余裕のある表情を浮かべることが重要かもしれません。いずれにしても序盤から全体のリズムをつくっていける行動のポイントをアファメーションにしてみましょう。

勝負所でのプレッシャーへの対処法 直前編

いよいよ本場間近となると、これまでにない緊張を感じることになるかもしれません。そんなときに試したいメソッドを3つ紹介します。

① プレッシャーが強みだと思い出す
心拍数が上がってドキドキしているような状況を、どんどん集中力が上がっている証拠だと考えてみましょう。さらに目の前のプレッシャーは脅威ではなく、挑戦なのだと考えてみます。挑戦できる誇らしさを想像してみましょう。実際、こうしたプレッシャーのかかる大事な場面で挑戦する権利など、ほとんどの人は与えられないのですから!

②視野を広げる
この「視野」は概念としてではなく、実際に見える範囲のことです。通常、ストレスが高まると人は視野を狭めて、より集中をしようとします。そうした集中を維持しながら、心を落ち着かせる有効な方法が、視野を広げることです。
視覚システムが自律神経システムの一部であるため、緊張状態にある脳とは視覚の操作を通して、つながれるともいわれています。

まず目の前に人差し指を置いて、少しずつ指を外側にズラしていきましょう。首を動かすことなく、できる限り広い視野を確保しようすると、焦点を定めた一点を注視する視界がボヤっと全体を見回す視野に変わってくるのがわかるでしょう。

③アファメーションを唱える
せっかく作ったアファメーションなので、何度も口に出してみましょう。集中力が高まる中、自分のすべきことが確認できれば大成功です。
さらに挑戦をクリアできる自信まで湧いてきたらすごいことですが、多少不安があっても、挑戦する自分を誇りに思えるなら、これまでにない進歩といえるでしょう。

今日は重要な場面のプレッシャーに弱い人にむけた対処法をまとめました。準備もしてきたからこそ、もうプレッシャーに負けて実力を発揮できないのは嫌だと感じているなら、ぜひ試してみてください。

心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:『メンタルマネジメント大全』(ジェリー・スミス/河出書房新社)

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