効率をアップするために知っておきたい心理学から考える朝のルーティン

出社ギリギリまでベッドの中に居て、遅刻への不安に苛まれながら出社。会社に着いたらすぐにメールチェック。これは朝の過ごし方として完全に間違っています。仕事の効率をアップする朝のルーティンについてまとめました。

  • 生産的な時間は午前中にくる
  • メールチェックは厳禁
  • お勧めしたい6つのルーティン

生産的な時間は午前中にくる

出社ギリギリまで寝ていたい。多くの人が思うことでしょう。スヌーズ機能を使って二度寝、三度寝をし、ギリギリの時間に自宅を飛び出していく。それが習慣化している人もいるかもしれません。

しかし仕事の効率を考えると、こうした行動はマイナスとなります。

近年の研究によれば、最も頭が回る時間は起床から2.5~4時間後そうです。
デューク大学のダン・アリエリー教授も、起きてから7時間が生産的な時間だと指摘しています。起きてから7時間とすると、7時起床なら午後2時までが生産性の高い時間となります。この間に出社のための移動や昼休みも含まれるため、会社で効率よく仕事するためには、午前中が重要だとわかるでしょう。

睡眠は脳のデトックスともいわれています。睡眠中に脳の疲労物質が流れていくからです。生きている限り脳が完全に停止しないため、活動量の少ない睡眠中に脳の掃除が行われているのです。24時間営業の店舗が客の少ない夜中に掃除をするのと、同じようなシステムです。
そして私たちは目覚めたところから脳は活発に動き始め、疲労物質を溜めていきます。このように考えると、生産性の高い時間が午前中なのも納得でしょう。

メールチェックは厳禁

脳が活性化する時間を最大限活用するためには、仕事の種類も重要です。
能動的で重要な仕事をこなしてから、誰かに指示される反応的な仕事をするのは難しくないのですが、逆は難しく感じてしまいます。だからこそ朝は自分で工夫する余地のある能動的な仕事をこなした方が、仕事の流れとしてスムーズです。

そのため朝一番のメールチェックは厳禁です!
メールはお願いを迫ることが多く、結果的に反応的な仕事が多くなってしまうからです。『人生と仕事を変える小さな習慣250 ライフハック大全』(堀正岳/KADOKAWA)には、

「オフィスに着いて最初の1~2時間はメールチェックをしないようにしましょう」

と書いているほどです。

お勧めしたい6つのルーティン

仕事の効率に大きな影響を与える朝の時間を有効活用するためには、朝のルーティンが重要になってきます。

朝のル―ティンを習慣化することは、脳のエネルギー効率を高めます。歯磨きのとき、いちいち動作を確認する必要がなく、あまり記憶に残らないのは習慣化によって脳の省エネができているからです。朝のルーティンにも同様のことが期待できます。
また朝のルーティンを継続していくことで、自分自身をコントロールできている実感や自己肯定感を持つことができます。さらに出社後の集中力アップも期待できます。

では、生活に取り入れたいルーティンをあげていきましょう。

①起きて日光を浴びる
生活に取り入れたい朝のルーティンの一つは日光を浴びること。朝の太陽光が重要とは、あまり思えないかもしれません。しかし太陽光に含まれるブルーライトは、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニン分泌に関わっています。脳の働きを活性化させるのはもちろん、精神の安定をはかる上でも目覚めの日光浴は欠かせません。
ちなみに雨や曇でも、ブルーライトはしっかり降り注いでいるので窓越しでもいいので陽の光を浴びるようにしましょう。

②運動
ストレスに対処する力も生み出す運動は、朝に組み入れたい習慣の一つです。運動後の2時間は、より生産的で創造的に頭が働くことも知られています。また定期的に運動する人が、ワークライフバランスを維持しやすいという研究結果もあります。
ただ運動は意外に習慣化が難しいもの。今まであまり運動をしてこなかった人は、短時間の軽い運動を無理のない範囲で続けることをお勧めします。

③読書
朝のルーティンに読書が入っているのは、少し不思議に感じるかもしれません。夜に本を読む印象が強いからです。
ただ、文章を読む行為は精神的な休息といえるそうです。脳に負荷のかかるマルチタスクがしにくく、自身の創造力や視覚イメージを活用するからです。気持ちを落ち着かせ、昼間に向けてしっかりと気持ち上げていくために読書を朝のルーティンに取り入れてみましょう。もちろん出勤時に読むといった方法でもいいでしょう。

④朝食を食べる
朝の時間が足りなくなると、真っ先に削るのが朝食の時間でしょう。しかし午前中の集中力を切らさないためには、たんぱく質を摂取できる朝食が大切です。

⑤静かな時間
瞑想、呼吸法、祈りなど、朝の静謐な時間は、その後の活動をより活性化させるそうです。自身のエネルギーを集中させる方法を、学ぶことにも繋がるといった指摘もあります。
スタート前に静かに集中するスポーツ選手の姿を見ることがあるでしょう。同じように大事な1日のパフォーマンスを上げるためには、あえて静かな時間をつくることも試してみましょう。

⑥スケジュールを立てる
本当に重要な仕事は、全体の2割ともいわれています。そうした重要な仕事に元気な脳のリソースを割きましょう。
日々スケジュールを立てて、それを実行していくことで自身をコントロールできる感覚を得ることができます。そうした感覚が自己肯定感を高めることにも繋がります。

ここまで6つのルーティンを書きましたが、毎日すべてを実施する必要はありません。むしろうまくいかないことは手放し、自分なりにカスタマイズしつつ、日々の状況に柔軟に対応しましょう。

いつもより2時間出勤が早いのに、ルーティンを維持するために、さらに早く起きる必要はなさそうです。ただ次の日からは、再開するようにしましょう。

完璧にこなすよりも、継続することが大切です。

今日は朝のルーティンについてまとめました。朝の時間の貴重さを理解して効果的に使えると、日々の生活がより充実するかもしれません。参考にしてください。

心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:『人生と仕事を変える小さな習慣250 ライフハック大全』(堀正岳/KADOKAWA)/How Your State of Mind Affects Your Performance(Alexander Caillet, Jeremy Hirshberg, and Stefano Petti/Harvard Business Review)/「The Power of a Morning Routine」(Luna Greenstein/nami)

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