運動習慣を身につけるためのポイント4選

運動習慣をつけることは、さまざまな観点から推奨されています。体形の維持や生活習慣病の予防、人によっては脳の活性化を目的とする場合もあるでしょう。しかし挫折が多いのも事実。そこで運動習慣のつけ方をまとめました!

  • 運動の習慣化は少し難しい
  • 合図
  • 行動
  • 報酬
  • 意識

運動の習慣化は少し難しい

暑さも一段落し「スポーツの秋」といった言葉も耳にするようになりました。そんな中、運動習慣を継続したいと思う人もいることでしょう。運動が身体にいいことは、すでに常識となっています。しかし面倒なのも事実でしょう。
仕事で疲れていて体を動かす気にならない。スポーツジムに入会しているのに、まったく行ってない。朝、ジョギングしようと思ったけれど、そもそも早起きができない。そんな経験した人もきっと多いはず。

そんな挫折しがちな日々の運動を、モチベーション関係なく実施できるようにする最高の方法が習慣化です。寝ぼけていても歯磨きができるのは、歯磨きが習慣化され、その動きを身体が覚えているからです。運動も歯磨き同様に、身体が自動的に動くようになれば、日々のモチベ―ションに関係なく続けることができます。

ただし、運動の習慣化は簡単ではありません。というのも同じ健康分野の習慣でも、食生活の改善より身につくのに時間がかかり2~3ヵ月の期間が必要だと言われているからです。

ただ昔と違うのは研究が進み、習慣化のための方法論を学ぶことができることでしょう。例えば一般的に習慣をつくるのには、3つの重要な要素があると言われています。
それが合図、行動、報酬、意識です。
この3つの項目を知り、しっかりと意識して行動をデザインすれば、習慣化にかなり近づきます。それでは、それぞれの項目を詳しく説明していきましょう。

合図

新しい習慣をつくるためには、まず合図が大切になります。つまり「そうだ!運動する時間だ」と思えるようになるきっかけが大切なのです。

例えば、朝ジョギングをしたいなら、ベッドサイドにトレーニングウェアを置いて寝ましょう。起きたらすぐに着替えておけば、多少なりとも運動をしなければという気持ちにはなるでしょう。
また、すでに習慣化している行動の前後に、運動習慣を位置づけるというのもおすすめです。帰宅して手を洗った後や、朝の洗顔後、入浴の前など、すでに習慣化している行動を合図にすると、習慣化できる可能性がかなり高まります。

さらに運動をする前に、何か健康的な行動を入れると、より運動への意識が高まるという指摘もあります。深呼吸をしたり、水を1杯飲んだり、ストレッチをしたりといったことが、その先にある運動へのモチベーションを高めるのです。

トレーニングウェアを着る、水を飲むといった行動が、ジョギングや筋トレなどの運動を開始するための「儀式」となれば、習慣化する可能性は高まります。だからこそ事前の準備は面倒がないようにしたいものです。歯磨きが習慣化しているのは、決まったところに歯ブラシや歯磨き粉があるからでしょう。ポイントは無意識に行動できるように、運動の準備を整えておくことです。例えばスポーツクラブに通うなら、時間になったら着替えやタオルがまとまったバッグを担げばいいようにしておいた方がいいでしょう。
どうすれば運動への行動がスムーズになるのかを考えてみましょう。

行動

行動の重要なポイントは量の決定です。
私たちが運動を習慣化しようとするときに、ある程度の目標を持っていることが多いものです。夏までには3㎏痩せたいとか、健康診断までに少し体重を落としたいとかいったものです。じつはこの目標が、運動の習慣化にマイナスに働くことがあります。というのも結果を求めてムリをしてしまいがちだからです。

運動習慣で最も重要なのは、とにかく継続すること。だから運動の負荷はなるべく下げた方がいいのです。効果を考えたら腹筋20回を3セットとか考えたくなるかもしれません。しかし腹筋1回とかでもよくて、気持ちが良ければもう少し続けてもいいとしておきます。ウォーキングであれば、最初は5分が目標となります。雨が降っても、疲れていても、友人とお酒を飲んでしまっても、絶対に続く目標を立てましょう。
負荷をできる限り小さくして、どんな状態でもできるように筋トレなどは自宅などでもできる器具を使わないエクササイズにしましょう。それこそ運動を忘れてベッドに入っても、どうにか達成できるようなエクササイズがいいでしょう。

また運動をし過ぎないように、最初の1ヵ月は上限を設ける方法も効果があるとされています。習慣の著作も多いジェームズ・クリアーは、最初はスポーツクラブに5分以上滞在しないといったルールを紹介しています。「そんな短時間しかいられないのか」と思うかもしれませんが、もっと居たいと思わせるほどの時間しか許可しないことで、継続への意欲が高まるのです。

目標体重や体力増強に向けて運動の負荷を上げていくのは、1ヵ月以上たってからです。また私たちが注目すべきなのは、結果ではなく、行動の継続だということは肝に銘じておきましょう。

続けていれば、体重も減っていくでしょうし、身体もしまってくるでしょう。だからこそ、とにかく続けることを最優先にしましょう。

報酬

私たちの行動は「報酬=ご褒美」によって強化されます。運動を習慣づけたいのなら、適切な「ご褒美」を用意することが重要です。熱いシャワーなど運動をした後の行動が楽しみになればよいのですが、多くの人は特別なご褒美を考える必要があるでしょう。お酒を飲んだり、好きなドラマを観たり、自分が嬉しいと感じる事なら何でも構いません。

ただ、重要なのは運動後、すぐに「ご褒美」を与えることです。「今日はしっかり運動したから、明日、会社から帰ったらご褒美にドラマを観よう」では、行動の強化になりません。つまり運動を習慣化したいなら、ご褒美の時間まで一体にして計算に入れる必要があるのです。

それが難しいときは、運動が終わったら100円を貯金箱に入れて、それを週末の「ご褒美」に使うといった方法もあります。あるいは運動が終わったら派手に喜んで手を叩く、運動を記録する表をつくりステキなシールを張るといった小さな行動も、自分へのご褒美となります。

運動の習慣化には強い報酬が必要とも指摘されているので、心から喜べる「ご褒美」をどのように生活に組み入れるのかを考えましょう。

意識

運動を習慣化するときに大切なのは、自分ならできるという意識です。「とても続けることはできないな」と少しでも感じたら、運動の負荷を下げたり、行動しやすいものに変えましょう。例えばジョギングをしたいと思っても、続かなそうだと感じたらウォーキングに変えるべきです。計画段階で、できる限り継続への不安を払拭します。

さらに「私は〈曜日〉の〈時間〉に〈場所〉で運動します」と、書いて自らに宣言するだけでも、運動を継続する可能性が2~3倍も高くなったという研究があります。
運動習慣の意識を高めるために、やってみましょう。

今日は「スポーツの秋」にちなみ運動習慣のつけ方についてまとめてみました。体を壊してから運動習慣を身につける人も少なくありませんが、気になっているならこの機会に運動の習慣化にチャレンジしてみませんか?

心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:「3 Ways to Make Your Exercise Habit Stick」(Paige Waehner/verywell fit)/「3 Simple Ways to Make Exercise a Habit」(James Clear)/「Make exercise a daily habit – 10 tips」(HARVARD T.H.CHAN)

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