誰もが幸せになりたいと思っていますが、なかなか幸せを実感するのが難しいのも事実です。もっとお金があれば、もう少し頭がよければ、ちょっとだけ容姿が良ければと思ってしまうかも。でも、それはすべて間違いかもしれません。本当に幸せになる方法を心理学が教えます。
お金も幸福には関係ない!?
幸せになる方法が科学的に解明されていると知ったら驚くかもしれません。しかし心理学の一分野である「幸福学」は、すでに幸福を見つけるための方法を具体的に解き明かしています。幸せになりたければ、その研究成果を取り入れればいいのです。
それらは意外にも、誰もが取り組めるものでした。
カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学の心理学部のエリザベス・ダン准教授は、著者『「幸せ」について知っておきたい5つのこと』で、幸せのために最も重要なポイントとして次の3つを挙げています。
①社会との結びつき
②親切
③目の前のことに集中すること
こうやって書き出すと拍子抜けするかもしれませんね。
一般的に言われているような条件は何もありません。本当でしょうか?
例えばお金はどうでしょう。1970年代にノースウエスタン大学のブリックマン博士の研究では、宝くじで5万~100万ドル(約500万~1億円)の宝くじを当てた人と外れた人に幸福について、大きな違いがないことがわかっています。
このほかにも新婚生活の幸福も平均2年程度で消えていくといった調査もあると、『「幸せ」について知っておきたい5つのこと』に書かれています。
じつは幸福を感じるポイントは、お金でも結婚でもなかったというわけです。もちろん幸福の形は人それぞれですが、ここだけは外せないというのが上記の3つなのです。
それでは、1つずつ解説していきましょう。
①社会との結びつき
エド・ディーナー博士とマーティン・セリグマン博士は、幸福度の高い人を集め、その共通項を調べました。中でも幸福度の高い上位10%のグループに共通していたのが、友人や家族と良好な関係でした。
これには別の観点から証明したと思える事実もあります。
ホームレスになった人は単に仕事が無くなったわけではありません。その根幹には人間関係の喪失があるそうです。都労政部課長補佐の金子雅臣さんは、著者『ホームレスになった』で、ホームレスが路上生活を始める理由について、次のように書いています。
「経済的貧困だけが理由ではない。決定的なことは、人間関係を失ったことである」
ホームレスの人々のインタビュー調査では、ほとんどの人が自身の不幸を語ります。それはお金がないからだけではなく、関われる人がいなくなってしまったことも大きいのです。
さて、家族ともうまくいかないし、友達もなかなか……という人は、まずスターバックスなどのコーヒーショップで、定員の目を見て受け答えし、短い会話を交わすようにしてみましょう。じつは、これだけのことでも、その日の幸福度がアップしたことが研究によってわかっています。
身近な人間関係を少しずつ深めていくのも、幸福度を高める一つの方法なのでしょう。
どうしても友達を作りたいという人は、以下の記事も参考にしてみてください。
40%の確率で友達になれる!どうしても仲良くなりたいなら試してみる価値があるかもしれない必殺技とは!?
②親切
米国の心理学者ソニア・リュボミアスキー博士は、学生たちに週1日だけ、5つの親切をするようにと言い渡しました。結果、学生の幸福度は大幅にアップしたのです。
面白いことに、1日1つだけ親切にするように言われたグループは、それほど幸福を感じませんでした。親切はなるべく多くの人にした方がいいのだそうです。
5つの親切をするより、はるかに幸福度をアップさせるのが感謝日記でしょう。これはポジティブ心理学の本などでよく紹介されているので、知っている人も多いかもしれません。
やり方は簡単。とにかく感謝を綴るだけです。お天気に感謝してもいいし、面白いドラマ、仲の良い友達などなど、感謝の対象は何でも構いません。それを日々書いていくことで、幸福度が大きくアップします。
これは今日からすぐに始められる幸福度アップの方法です。
③目の前のことへの集中
「今・ここ」に生きることに集中すれば、過去の辛さや未来の不安から離れて充実した時間を過ごすことができます。
この目の前のことに集中すれば幸福度が上がることを証明した面白い実験があります。
被験者にはメールのチェックを1日3回だけにして、1週間過ごしてもらいました。すると、私たちのように1日に何度もチェックする人よりも、ストレスが少ないという結果が出たのです。つまり、注意力散漫の原因となるテクノロジーを制限するのは、健康と幸福にいいということがわかったのです。(『「幸せ」について知っておきたい5つのこと』 エリザベス・ダン/中経出版)
取り急ぎ幸福度を上げたいなら、携帯の使用を制限するといったことでも実現できそうですね。
幸福がどのようなメカニズムに基づいているのかは、完全に解明されているわけではありません。
ただ、自身の幸福度を高めるためのポイントは、かなり明らかになってきています。幸福感を感じないようなら、まず3つのポイントを試してみてはいかがでしょうか?
心理学に興味のある方はこちらもご覧ください。
参考:『「幸せ」について知っておきたい5つのこと』(エリザベス・ダン/中経出版)