ビジネスでもプライベートでも失敗することは、誰にでもあることかもしれません。でも、失敗して落ち込んだままでいれば、状況は改善されません。失敗から立ち直り、対処方法を見つけないと次の展望が生まれてこないからです。その方法を紹介しましょう。
銃で撃たれても幸運!?
突然ですが、銀行で強盗に出くわし強盗が銃を発砲したとします。50人お客がいたのに自分だけ腕に弾が命中したとしたら、幸運だと思いますか?不運だと感じますか?
こんな質問なら誰もが「不運」だと答えそうですが、じつは30%の人は運がいいと答えたのだそうです。「腕じゃなくて頭を撃たれていたら即死だった」「子どもに弾が当たらなかったのはラッキーだった」。彼らは、そんな理由で幸運を語るのだそうです。
ポジティブ心理学の第一人者のショーン・エイカーが自身の企業研修を元に書いたものですが、この元になっているのが「反事実的思考」です。実際の事実とは別の過程や結果を想像する「反事実的思考」は、失敗からの立ち直りに効果的だとされています。
ビジネスの成長に失敗はプラスに働くことがあるといわれています。実際。20世紀の巨大企業の多くは、世界大恐慌を出発点としていることが少なくないそうです。ただし「失敗」を成功に変える道筋をたどる必要があります。
例えば営業で失敗したとき、どうしてあんなことをしてしまったんだろうとの後悔からお酒に溺れるだけでは、ダメなのです。
①「反事実的思考」で立ち直る
そこで活用したいのが「反事実的思考」です。
どうしたら成功したのか考えてみましょう。値引きのタイミングが違ったら、クライアントが求めていた生産性についての説明を先にしていたらなどなど、成功につながったであろう道筋を少なくとも2つは考えてみましょう。
もしかしたら、ここまでは実行する人が多いかもしれません。
しかし反省だけでは、気分が落ち込んだままになりがちです。もっと最悪の結果を招いた方法についても想像してみましょう。
つまり銃で腕が撃たれてもラッキーだったと思えるような思考法です。
相手を怒らせてしまい既存の取り引きが消えたかもしれなかった、もう二度と会えない状態になったかもしれなかったなどなど。
先にも紹介したポジティブ心理学の第一人者のショーン・エイカー氏は、著書『幸福優位7つの法則』で次のように書いています。
ポジティブな反事実を選べば、気分がよくなるだけでなく、心がポジティブな状態であれば、モチベーションも生じ業績も向上する。
また、基本をポジティブに導く「反事実的思考」は、自尊心との関係が深いとワシントン州立大学のローレンスセナ博士は書いています。自尊心が強ければ不幸なことがあっても、「ラッキー」だと解釈する可能性が高いというのです。
日々ポジティブに生きたいと感じたら、自尊心を高める方法を調べるのもいいかもしれません。
自尊心を高めたい人は、こちらの記事もおすすめです。
②「説明スタイルの変更」で立ち直る
どんな状況でも気力を取り戻して立ち上がる人はいるものです。ピンチのはずなのに、生き生きと動いている人はちょっと憧れてしまいますよね。そういう人に共通する特徴を、ショーン・エイカー氏は次のように書いています。
そういう人たちに共通するのが、「困難な状況の説明の仕方がポジティブである」ことだと気づいた。研究者たちが、「楽観的な説明スタイル」と呼ぶものである。
ポイントは逆境を「限定的で一時的なもの」と解釈することです。
実際米国の生命保険会社が「楽観的な説明スタイル」を持つ人だけのチームを作ったところ、他のチームより業績が21%上回り、翌年には57%上回ったそうです。
しかも「楽観的な説明スタイル」を持っていなくても、身につけられるそうです。
そのためには自分が思い込んでいる悲惨な状況に反論する必要があります。声に出して、問題は一時的なものであること、解決可能であること、成長のよい機会であることを、しっかりと説明していくのです。
そして反論する前に自分の気持ちと、反論後の自分の気持ちを比べてみてください。現実の見方が少しでも良くなっていれば成功です。
今日はビジネス上の失敗から立ち直る方法について書いてみました。参考にしてみてください。
心理学に興味のある方はこちらもご覧ください。
参考:『幸福優位7つの法則』(ショーン・エイカー 著/徳間書店)
「『反事実的思考』で失敗から立ち直る5つのステップ」(ニール J. ロース 著/DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー)
「Your Secret Mood Booster」(Lawrence Senna/Psychology Today)