人と比較すると辛くなることも多くなります。「あいつは幸福なのに……」などと考えると、ますます惨めに感じてしまうもの。自分は自分と思えればいいのですが、なかなか難しい。そこで他人と比較しないで心を楽にする方法をまとめてみました。
- 人間は他人と比較する生き物
- 比較する情報に触れない
- どうしたら自分が快適かを考える
- 情報として受け取る
- 自分の夢を見直す
人間は他人と比較する生き物
SNSの利用時間が長いほど幸福感が下がるといった調査結果があります。その原因の一つと言われているのが、他人の投稿と自分を比べて落ち込んでしまうといったもの。
他人の情報が入ってくれば、何となく自分と比べてしまうのは仕方がないかもしれません。ましてSNSの投稿のように、“盛った”現実を見せられてリアルだと勘違いしてしまうと、自分を惨めに感じてしまうこともあるかもしれません。
アメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガーは、「人間は他人と比較してしまう生き物である」と述べていて、誰もが行ってしまう行動だと説明しています。
では、他人と比較して辛くなるといった行動は、どうしたら避けることができるのでしょうか?
①比較する情報に触れない
他人と比較してしまうのは、他人の情報に触れてしまうからです。じつは比較して落ち込むのは、自分と同じようなレベルだと感じられる場合です。例えばアラブの石油王と自分の生活を比べて、「どうして、こんなに情けないんだろう」と自分を卑下することはないでしょう。自分とは別世界の出来事だと感じると、比較の対象にならないのです。
逆に言えば、自分と比較しがちな他人の情報に触れないことが重要です。SNSは自分と比較しやすい人たちの私生活の情報などが漏れてくる可能性があるので、かなり危険です。
SNSの使用時間を短くしたら、幸福度が上がったといった報告もあるので、他人と自分を比較しがちな人は、まずSNSの使用を控えてみましょう。
②どうしたら自分が快適かを考える
他人との比較でとてもマイナスが大きいのは、自分の努力ではどうにもできないことをうらやむことでしょう。「夫の稼ぎが、Aさんぐらいあれば……」とか、「息子がBさんの子どもぐらい頭が良ければ……」など、他人の変化を期待するようなシチュエーションは、自分ではどうしようもできません。
そうした状況について、精神科医の中村恒子氏は次のようにアドバイスしています。
「他人さんを変えて快適にするのではなく、『自分がどう動けば快適になるやろか』『ここで気持ちよくすごせるになるやろか』なんです」(『世界最先端の研究が教える もっとすごい心理学』内藤誼人/総合法令出版)
どんな状況であっても不満はでるし、誰かと比べるのも、なかなか止めることはできません。だからこそ、せめて他人を変えようといった思いは捨てて、自分ができることに集中してみましょう。
例えば友人の夫の収入をうらやむなら、自分が稼ぐ方法を考えた方が精神的には健康というわけです。
③情報として受け取る
他人のすごい話を聞いてしまったときは、「ありがたい知恵の1つとして受け取ればいい」と精神科医の尾林誉史は書いています。
例えば「HOW TO 本」を読んだような気分で、自分に役立ちそうな情報はないか考えてみましょう。ちょっと自分から距離を置いて、他人の情報を眺められれば、うらやむ心が薄らいでくるかもしれません。
④自分の夢を見直す
米国のロチェスター大学のティム・キャッサーの調査は、大きな夢を抱いている人ほど、「生きるための元気」や「活力」が失われ、「身体的な病気(片頭痛やけだるさなど)」を感じることが多くなるそうです。
キャッサーは、大きな夢は自分を苦しめるだけではないかという結論を出しています。
他人との比較で辛くなってしまう人の中には、自分の夢が大きすぎることが原因になっている場合があります。フェラーリに乗りたいと思うから、国産車の自分が惨めになるのであり、その願望がなくなればムダに他人と比較する必要がなくなります。
もちろん夢が自分を成長させることは否定しませんが、自分を幸福にする夢はなんなのだろうといった視点も必要かもしれません。地に足のついた夢を持ち、地道な成長を目指していくことで、思った以上の幸福感を味わい、心が楽になるかもしれません。
今日は他人と比較しないためのヒントを4つ紹介しました。他人との比較を止めることは難しいかもしれませんが、比較して落ち込まないようにする方法はありそうです。参考にしてみてください。
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『うまいことやる習慣』(中村恒子/すばる舎)/『先生! 毎日けっこうしんどいです。』(尾林誉史/かんき出版)/『世界最先端の研究が教える もっとすごい心理学』(内藤誼人/総合法令出版)