先の見えない(不確実性の)不安に試したい5つのこと

新型コロナウイルスによる混乱は、まだ続いています。この未曽有の危機に、不安を募らせている人も多いでしょう。こうした先の見えない不安に、どのように対処すべきかをまとめてみました。

  • 日本人は不確実性に弱い
  • さっそく試したい5つの対策

日本人は不確実性に弱い

先が見えず、コントロールすることもできない状況を「不確実性」と呼びます。不確実性の高い状況に不安を感じること自体は当たり前のことですが、どこまでの不確実性に耐えられえるのかは個人差があるそうです。

そもそも日本人は「不確実性」を嫌う傾向にあります。

オランダの社会心理学者ヘルート・ホフステッドが開発した「ホフステッド指数」は、53の国・地域の傾向性を比べたものです。その指標の中で「不確実性回避指数」が高く、なるべく「不確実性」を避けようとするのは、ポイントが高い順にギリシャ、ポルトガル、グアテマラ、ウルグアイ、ベルギー、サルバドール、日本となっています。

また「長期主義傾向の強さ」でも、日本は高いポイントを獲得しており、長期的に考え、確実性を重んじる国民性のようです。

独立行政法人経済産業研究所の関沢洋一上席研究員は、「不確実性回避度」が高い国は、新規企業が育ちにくく、イノベーションにネガティブな印象を持ちやすいと指摘しています。

つまり先の見えない現状に不安を募らせる日本人は、国際的に見ても多いのかもしれません。

さっそく試したい5つの対策

さて、このような不安への対処方法を紹介していきましょう。

①具体的な問題を解決する

行動経済学の分野の「エルスバーグの逆説」という実験を知っていますか?

2つのツボがあります。どちらかのツボを選び、黒か赤かを宣言して目をつぶってツボから石を取り出します。当たれば賞金がもらえます。さて、2つのツボの内、Aのツボには黒50個、赤50個の石が入っています。Bのツボの黒と赤の石の内訳は不明です。

さて、どちらのツボを選びますか?

確率論的には、どちらのツボを選んでも変わりません。というのも内訳がわからないため、Bのツボに黒30個、赤70個入る確率は、黒70個、赤30個と同じなのです。黒を取る確率が30%のときと同じだけ、70%のときもあるわけですから、平均すれば50%というわけです。

しかし実験ではAのツボを選択する人が多かったのです。これは不確実性を回避しようとした行動と言われています。

大きな視点で見れば、不確実な要素はたくさんあるでしょう。しかし具体的な行動で解決できることもあるはずです。最終的にリスクの確率が同じだったとしても、不確実性を減らすことで不安を少しでも解消することができるかもしれません。

②不確実性の認めて受け入れる

先の見えない未来に不安を感じることは自然なことですので、許容しようと努力することで、リラックスできる空間をつくれると、臨床心理学者のAnne Marie Albano博士は指摘しています。「それができれば世話ないよ」と思うかもしれませんが、「不確実性」を受け入れようとした経験はあまりないものです。

未来が不確実であることが当たり前だと考えてみることで、過度な不安がなくなる可能性はあるそうです。試してみるのも方法の一つかもしれません。

③リスクを冷静に見直す

不安が実際に起きる確率を考えてみましょう。確率が低いのであれば、脅威に押しつぶされる必要はありません。そもそも不安が不安を呼び、リスクを大きく見積もっているのかもしれません。Robichaud博士は、「脅威との健全な関係を築け」と指摘しています。

事実を積み上げて、実際に危機が起きる可能性を考えてみましょう。専門家などに相談するのもいいかもしれません。数字で確立を計算することが難しくても、リスクが現実となる条件を書き出していくだけでも、冷静に判断できるようになるかもしれません。

④大きな目標に目を向ける

ジョージタウン大学の心理学者であるJelena Kecmanovic氏は、人生の目的に目を向けることが不確実性の不安に役立つと指摘しています。日々大きくなる不安への対処も大切です。しかし改めて自分の人生を考えてみることで違う未来が見えるかもしれません。

不確実な時代を突き進む原動力として、社会的な意義について考えることも重要になってきているのかもしれません。信念が不安を抑えていく効果にも期待しましょう。

⑤マインドフルネスに取り組む

マインドフルネスが不確実性の不安に効果があることが、Marina Nekićなどの論文で明らかになっています。瞑想を中心としたプログラムであるマインドフルネスは、グーグルなどにも取り入れられ話題になりました。

現在ではYouTubeなどにもマインドフルネスの動画があるので、試してみるのもいいかもしれませんね。

心理学に興味のある方はこちらもご覧ください。

参考:「不確実性が問題なのか、不確実性に耐えられないことが問題なのか?」(関沢 洋一/独立行政法人経済産業研究所)
「Intolerance of Uncertainty and Mindfulness as Determinants of Anxiety and Depression in Female Students」(Marina Nekić, and Severina Mamić)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6960897/
「5 tips for surviving in an increasingly uncertain world」(Jelena Kecmanovic)
https://theconversation.com/5-tips-for-surviving-in-an-increasingly-uncertain-world-125294
「6 Ways to Increase Uncertainty Tolerance」(Victoria Maxwell/『Peychology Today』)

関連記事

先延ばし癖の根本原因である「怖れ」を小さくする4つのヒント... 過去のブログでも、先延ばし対策について何回か書いてきました。ただ先延ばしを生み出す心理に真正面から取り組んだものは少なかったのです。今日は先延ばしを生み出す「怖れ」への対処法を紹介します。 時間管理技術では効果が薄い人へ先延ばしの根本にある「怖れ」を理解する「怖れ」を小さくする4つの...
HSPにとってのコロナ禍とその対処法って?... 非常に繊細で感受性豊かな気質を持つHSPにとって、今回のコロナ禍はどのように映っているのでしょうか?当事者のブログなどを読み、その傾向をまとめ、さらに対策などについても調べてみました。 一人の時間も必要メディアの情報がツライ無理をしない時期テレワークは意外に好評!? 一人の時間...
米国の心理職が勧める新型コロナに負けない7つのメンタル対策... 新型コロナウイルスが猛威をふるっている今こそ、メンタルヘルスが重要です。世界各国でパンデミック中のメンタルヘルスのポイントが報じられています。そうした中から少し変わった対策を紹介しましょう。 目新しい対策法 米国はカウンセラーなどの心理職が身近なためか、Webメディアでもパンデ...
「コロナうつ」?今後起きるかもしれないメンタル不調と予防法... 「コロナうつ」という言葉をネットなどで見かけるようになりました。新型コロナウイルスの感染拡大が、人々の心を不安しているようです。その実態と対策を、海外報道などから説明してみました。 コロナへの強い不安メンタル危機の4つの原因ポイントは規則正しい生活 コロナへの強い不安 「...
HSSってなに?HSPの人の30%が持つ好奇心旺盛な気質とは!... 「HSP」が繊細過ぎる人だという認識は、かなり世間にも広まりつつありますが、HSSという繊細だけど好奇心が旺盛で外交的な気質があることを知っていますか?HSPの30%を占めるというこの気質について説明します。 人口6%のマイノリティー刺激のためにはリスクも気にせず!自分の精神を疑って...

働く人の心ラボは、働く人なら知っておきたい『心の仕組み』を解説するサイト。
すぐに応用できる心理学の知識が満載の記事を配信しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です