クリティカルシンキングとは?会社でもっと働きやすくなる考え方

部下や同僚、上司とうまくいかない。なぜ?と考えているなら、自分でも気づかない決めつけや、解釈のずれが生じているかもしれません。会社でもっと働きやすくなるための思考プロセスについて解説します。

  • クリティカルシンキングとは
  • 目的遂行の手段は何かを常に考えたい
  • ロジカルシンキングとどう違う?
  • 「なぜ?」を繰り返し、客観性を獲得していくことがポイント
  • 客観性を獲得した後で、自分を主語にした提案を
  • 必要なのは指導力やコミュ力だけではなく、「なぜ」を問う力

クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキングとは、直訳すれば「批判的(クリティカル)」「思考(シンキング)」。ある物事に対して、徹底的に「なぜそうなのか?」「本当にそうなのか?」を問い続けていくことで、自他ともに納得のゆく結論を導き出す思考プロセスをいいます。

グロービス経営大学院が発行している『グロービスMBAクリティカル・シンキング』によると、クリティカルシンキングに必要な思考のスタンスは、次の3つです。

①「目的は何か」を常に意識する
② 自分にも他人にも思考のクセがあることを前提に考える
③ 問い続ける

この3つを忘れずに考え続けることで、課題解決を目指します。ビジネス上の戦略において有効な思考プロセスとされていますが、部下の指導や上司との関係など、会社の人間関係のもつれを解消させるためにも役立ちます。

目的遂行の手段は何かを常に考えたい

クリティカルシンキングを体感するために、まずは例を挙げてみましょう。

■上司の悩み

【部下の覇気がない。やる気がないなら、辞めてもらいたい】

これをクリティカルシンキングのスタンスにのせて、考えてみましょう。まずは、「そもそも、何を目的としているのか?」を考えることが先決です。「部下に辞めてもらう」のは、間違いなく、目的ではありません。はて、この悩みの目的はなんでしたっけ?部下の覇気がないと、どうして困るのでしょう?

部下の覇気がなければ部署全体のモチベーションに関わります。部署のモチベーションが低下すると、売り上げが低迷し、目標を達成できないかもしれません。そう、上司はあくまで管理職として、部下を目標達成のための駒の一つとみなし、覇気のない部下を異動させて、代わりにやる気のある人に替えたいわけです。

しかし、覇気がないからといって檄を飛ばしたり、「辞めてもらうぞ」と脅したりすることは、パワハラ上司と見なされて、他の社員にとって不安材料でしかありません。「このままこの会社にい続けたら、あの人のように突然パワハラに合うのでは」と考えた他の社員が辞めてしまうという事態に、つながりかねません。

ここで、クリティカルシンキングの思考スタンス②を意識してみましょう。「自分にも他人にも思考のクセがあることを前提に考える」ことで、解決策が見えてきます。

上司である自分には覇気がないように見える社員も、本当はすごく頑張っているのかもしれない。覇気が見えないように思えるのは、本人の雰囲気によるものなのかも。または、覇気がないのにはやる気がない以外の理由があるのかも……。それなら打つ手は一つです。本人に話を聞いてみることです。

話を聞いてみると、「いつもすごく頑張ってるつもりなんですが、そうは見えないと、みんなに言われて悩んでいます」「実は、愛犬が亡くなってしまって、意気消沈しているんです」「母親の介護で寝不足で……」といった、本人の事情が聞けるかもしれません。

ただし、そこで「覇気がないように見えるのはしょうがない」と結論付けてしまうのも早計です。本来の目的を遂行する解決策が、明示されないままに終わってしまうためです。クリティカルシンキングでは、目的をまっすぐとらえ、全体的な解決のために考え続けることが必要なのです。

ロジカルシンキングとどう違う?

問題解決のための思考法に、「ロジカルシンキング」もあります。「論理的な(ロジカル)「思考法(シンキング)という意味で、物事を筋道立てて分析し、体系的に整理することで解決策を導き出すものです。

ロジカルシンキングは、クリティカルシンキングの一要素であるということができます。論理的に考えることはもちろん重要ですが、生身の人間が出す結論は、人それぞれで一つではありません。ロジック重視の人もいれば、倫理観を大事にする人もいますし、自分の感情を優先させたい人もいるでしょう。クリティカルシンキングは、一つの課題をさまざまな視点からとらえ、客観的に見てどんな結論が妥当かを把握するための思考プロセスなのです。

「なぜ?」を繰り返し、客観性を獲得していくことがポイント

客観性を獲得するには、「なぜ」を常に考えることです。「なぜ、覇気がないと(私は)思ってしまうのか?」「覇気がないと、なぜダメなのか?」「なぜ、覇気がないように見えるんだろう?」このように考え、さらに他者と課題を共有することで、客観性を高めていきます。

客観性を獲得した後で、自分を主語にした提案を

本当に重要なのは、「なぜ」の後です。「なぜ?」を繰り返していった後に導かれた客観的な結論に対して、「じゃあ、自分はそれに対して何ができるのだろう?」を考えて初めて、解決策が見えてきます。世界の主要ビジネススクールと共同でMBA卒業生のデータベースを構築した実績がある、グローバルタスクフォース代表の山中英嗣氏は、著書『クリティカルシンキングの教科書』の中で、次のように語っています。

いくら個々のスキルが高い人でも“上司や会社のダメ出し”に熱心な人は、結局は頭でっかちの「ロジカルシンカー」といえます。…(中略)…クリティカルシンカーは、どの会社でも「できない上司や、整合性の取れない会社の方針が存在する」ということを認識し、「そういった組織の状態(前提)をスタートラインとして、「いったい(その人でなく)自分に何ができるか?」という“自分を主語にした提案”ができる人だといえます。

引用元:『入社1年目で知っておきたい クリティカルシンキングの教科書』山中英嗣、PHP研究所

つまり、「覇気がないあの人にどうしてもらえればよいか?」を考えるのではなく、「覇気がないあの人のために、私は何をすべきか」を考え、結論を導き出し、実践することができるのが、クリティカルシンキングを行う人であるといえるでしょう。また、そうでなければ、問題を迅速に解決することなど不可能です。

必要なのは指導力やコミュ力だけではなく、「なぜ」を問う力

職場の人間関係構築に悩んでいるなら、指導力やコミュニケーション能力を磨くことが大事だと、よくいわれます。しかし、コミュ力を磨くだけでは、目的にまっすぐ到達できるような問題解決には至らない危険性があります。指導力だけでは、肝心なところで部下の考えを理解できないという問題も起こりがちです。

「なぜ」を問う力は、いわば問題に絡まった糸のもつれを解き、ほぐしていく力です。常に課題に対して開かれた姿勢を保つことで、最も妥当な解決策を導き出します。難しく考えず、悩みが生じたときは「なぜ、自分はそう感じるのか?」と考える癖をつけましょう。疑問を突き詰めていけば、きっと客観的な答えが見つかりますよ。

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参考:『グロービスMBAクリティカル・シンキング』グロービス経営大学院、ダイヤモンド社/『入社1年目で知っておきたい クリティカルシンキングの教科書』山中英嗣、PHP研究所

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