このたび東日本を中心とした水害に被災されました方々及び関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。また一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
- 被災者の気持ちの変化
- ストレス軽減の3つのポイント
- セルフケア5つのポイント
被災者の気持ちの変化
まだまだ復興の途上にあり、不安を募らせている被災者の方も多くいらっしゃると思います。そうした方々に心理学は何をできるのかを考え、被災者の方の心のケアをまとめることにしました。
被災者は災害により大きなストレスを受けます。その影響は、身体・思考・感情・行動に表れます。そして重要なことは、こうした影響は、人によっては半年近く続くこともあるということです。そこで時間とともに、被災のストレスがどのように変化していくのかを、まずまとめてみます。
①急性期……発生直後から数日間
心拍数が増加し、汗をかくことも多くなります。何より合理的に考えることができなくなり、集中力や記憶力が低下することがあります。イライラしてコミュニケーションがうまくとれないと感じることもあります。茫然自失の状態の人もいるでしょう。
②反応期……1~6週間
抑えていた感情を湧が上がり、悲しみや辛さを感じ、喪失感に見舞われることもあるでしょう。その一方で、被災者同士の絆を感じるなど、援助に希望を託した気分の高揚を感じる場合もあります。
身体的には、頭痛や腰痛などを感じることもあり、睡眠障害が起きるケースもあります。またアルコールの摂取量にも気を付けたい時期となります。
③修復期……1ヵ月~半年
悲しみや寂しさ、不安はあるものの徐々に自立的な考え方ができるようになります。日常生活や将来についても、考えられるようになっていきます。ただ、被災現場に近づくことを辛く感じる人多いようです。また生活再建の不安を感じる時期とも重なります。
これらの時間経過はあくまでも目安で、被災の状況や再建度合いによっても変わってきます。また、同じように被災をしても、その感じ方には個人差があります。大事なことは、イライラしたり、落ち込んでしまうことが被災者誰にでも起こる正常な反応だということです。
辛いなと感じたら、精神科医やカウンセラーなどの専門家に相談してみましょう。
ストレス軽減の3つのポイント
ストレスが軽減するポイントは、次の3点と言われています。
①安心・安全感
ホッとできる場所や時間があることが大切です。
②周りの人との心の絆
まわりの人つながっている、一人じゃないと思えることが重要です。作業を通じて、ボランティアスタッフや近所の方たちとの絆を深めることはプラスに働きます。
③気持ちの表現
泣いたり、笑ったり、怒ったりと感情を表現することで気持ちは楽になります。辛い気持ちを押さえて普通に振る舞う必要はありません。
セルフケア5つのポイント
自分では平気だと思っていても、思っている以上にストレスをためているケースがあります。そんな人のためのセルフケアをまとめてみました。
①生活のペースを大事に
十分な睡眠や食事・水分の摂取を心がけましょう。お酒やたばこなどを取りすぎないように注意してください。
②一人でため込まない
親しい人と一緒にいるだけで気持ちは楽になります。少し落ち着いたら、つらい体験を受け入れてくれる人と話をしてみましょう。
③自身のストレスに気づく
ネットでもストレスをチェックできるテストがあるので、自身のストレスを自覚しましょう。意識的に休養を取ることも重要です。
④感情を取り戻す
泣いたり笑ったりと感情を取り戻していくことで、気持ちが少しずつ晴れていきます。
⑤深呼吸をしてみる
目を閉じて、ゆっくりと腹式呼吸をしましょう。意識は吐くことに向け、体の中から疲れ・もやもや・イライラを少しずつ外に出すようにイメージします。
まだまだ大変なことも多いとは思いますが、何かのお役に立てればと思います。
参考:
「災害時のこころのケア ――心理支援,医療・福祉,生活支援――」(筑波大学医学医療系精神医学 朝田隆 監修)
「精神科病院で働く看護師のための災害時ケアハンドブック」(一般社団法人日本精神保健看護学会)
「支援者のための災害後のこころのケアハンドブック」(静岡大学)
「災害時のこころケア」(日本赤十字社)