人はおいしい食事を食べれば幸福ですし、恋人と一緒にいるときも幸福感を味わうでしょう。ただ問題は24時間すべてを、食事や恋人に費やすわけにはいかなということです。では、持続的な幸福はどうすれば手に入るのでしょうか? 最新の研究を紹介します。
- 幸福のポイントを刺激して人生を豊かに
- 誇りと自信の源を探す
- 行動計画を立てて
- よりよい環境に整えてみる
幸福のポイントを刺激して人生を豊かに
短時間の幸福ではなく、持続的に幸福を感じるための方法をポジティブ心理学の研究者は追究し続けてきました。その代表的な方法の一つは、持続的な幸福の要素を測定し、それぞれのポイントを増加させるようにすることです。例えば信頼できる人間関係や自分が成長できていることの実感などのポイントを、それぞれ高めていくといった方法です。
一方、スペインの心理学者であるブラスコ・ベルとアルサインは、持続的な幸福を支えるキーポイントを見つけ出し、その中心を改善することでポジティブな気持ちが広がっていくと説明しているのです。イメージとしては、バラバラなポイントをそれぞれ高めるのではなく、自分の幸福感に大きな影響を与えるポイントを刺激して、その影響を人生全般に広げていくといったものでしょう。
そしてブラスコ・ベルとアルサインは、持続的な幸福のキーポイントを見つけるためには、4つの質問に答える必要があると解説しています。その質問は以下の通りです。
①自分の人生を誇りに思える要因とは?
②前向きで自信を持てるポイントは?
③将来についての計画を持ち、それを実現するために楽しんで働くためには、どうすればいいでしょう?
④自分を取り巻く環境を、どうすればコントロールできるでしょうか?
誇りと自信の源を探す
自分のどのような行動に誇りを持ち、何に自信を持っているのかを考えることは、あまりないかもしれません。しかしこのような自分の人生の柱になるようなものを、しっかりと把握することは幸福になるためには重要です。
もちろん①と②の答えは、人それぞれです。
コミュニケーション能力が高く、営業で実績を上げてきたことを誇りにしていた人もいれば、しっかりとした家族を築き子どもの教育環境を整えたことに自信を持っている人もいるでしょうし、趣味の世界が自信や誇りにつながっている人もいるでしょう。
もし、自信を持てるポイントがわからないと感じたら、自分ができたと思ったことや褒められたことを書き出してみましょう。「遅刻なく出勤している」「体が丈夫」「気難しいお客様の対応ができる」「ファッションセンスを褒められた」「分析力を褒められた」などなど。
できるだけ多く書き出して、自分のプライドや自信のポイントを探ってみましょう。
行動計画を立てて
自分の自信やプライドに関係する行動計画を立てます。また、計画実現と仕事との関係を考えます。
例えば家庭生活が自分の自信やプライドに大きく関わっているなら、将来的にどんなことが重要になってくるのかを考えてみましょう。子どもの進学のための資金や一緒に過ごす時間の確保が大切かもしれません。そのためには、どんな部署で、どれぐらいの年収が必要になるのかを考えてみます。
自信やプライドが趣味だった場合には、趣味を極めるためにはどうすればいいのか、副業などにできないのかを考えるといったことも考慮すべきポイントかもしれません。
自分の大事なもののために計画を立て、仕事の関連性を考えることで、より幸福に近づく道筋が見えてくるでしょう。
よりよい環境に整えてみる
最後に考えてほしいのが、上記で立てた計画を実行するための環境が整っているのかのチェックです。例えば子どもや趣味に時間を費やしたいのに、仕事の付き合いが多いといった場合、どうすれば時間が取れるのかを考えてみます。ネックとなるお付き合いを、3回に1回は断るといったことも重要になってくるでしょう。
自分にとって大切なことに時間を費やすための環境を、私たちはないがしろにしているケースが少なくありません。すべてを改善できないかもしれませんが、少しでも改善できる方法を考えてみるのは、持続的な幸福感を得るのに重要なことです。
幸福を感じるためにキーポイントを見つけて生活を改善していくことで、さらに幸福感が高まることでしょう。何だか冴えないなと感じたら、自分の自信やプライドの源になっていることを探してみるところから始めてみてはいかがでしょうか?
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「4 Questions That Can Change How You Understand Well-Being」(Susan Krauss Whitbourne Ph.D./Psychology Today)