自己肯定感に注目が集っています。そして自己肯定感と習慣化の関連に関する本も出版されました。そこで『習慣化は自己肯定感が10割』(中島輝/学研プラス)などを参考に、自己肯定感を高めて習慣化に成功する方法を探っていきます。
- 習慣と自己肯定感の関係って?
- 自尊感情を高める
- 自己受容感を高める
習慣と自己肯定感の関係って?
これまでも、このコラムでは習慣化の方法を紹介してきました。その多くはテクニカル方法でした。しかし心理カウンセラーである中島輝氏は、習慣化を成功させるコツは自己肯定感にあると分析しています。確かに「自分ならできる」と思えるなら、新しい習慣を身に付けることができそうです。
自己肯定感とは「自分を肯定する感覚」です。そして自己肯定感は、以下の6つの感覚に支えられているといわれています。
①自尊感情 …自分には価値があると思える感覚
②自己受容感 …ありのままの自分を認める感覚
③自己効力感 …自分にはできると思える感覚
④自己信頼感 …自分を信じられる感覚
⑤自己決定感 …自分で決定できるという感覚
⑥自己有用感 …自分は何かの役に立っているという感覚
そして中島氏によれば、習慣にむけて努力している時期によって、重要な感覚が変わってくるというのです。
1.習慣の種まき期 0~1日目 自尊感情
2.習慣の反抗期 2~8日目 自己受容感
3.習慣の忍耐期 9~21日目 自己効力感
4.習慣の成長期 22~31日目 自己信頼感
5.習慣の開花期 32~60日目 自己決定感
6.習慣の達成期 61~66日目 自己有用感
では、これらの期間で最も注意すべき時期はいつでしょうか?
習慣化コンサルタントの古川氏によれば、習慣化を目指して1~7日間に42%が挫折するそうです。もちろんその後にも挫折のポイントはあるのですが、とにかく1週間を超えない限りは先も見えないからです。
自尊感情を高める
では、自尊感情を高めて習慣化を成功させるためには、どうして習慣化したいのか、習慣化することでどんな自分になりたいのかを考えることです。明確な目的は自尊感情を高めてくれます。
また達成できない目標ではなく、自分でも達成できるラインを思い描いて段階的に目標を上げていきましょう。習慣化でまず注目すべきは持続すること。続けることができれば、さらに大きな目標に向かって新たな一歩を踏み出すことができるからです。
自己受容感を高める
ありのままの自分を認める「自己受容感」が、習慣化に必要なのかは少し説明が必要でしょう。
じつは習慣化の障害の一つと言われているのが、挫折の後の対処法です。1日サボってしまったとき、多くの人はそれを取り戻そうとします。しかし、じつはこの行動が失敗の元になるのです。考えてみれば、簡単にサボってしまった課題を、さらに難しくして続くわけもありません。
必要なのは、サボってしまった自分を認めて、3日以上サボらないようにすることです。習慣化は3日サボると途端に元に戻りにくくなるとも言われているので、とにかく自分の悪い部分も認めて将来に目を向ける必要があるのです。
自分をあるがままに受け入れる方法については、さまざまな研究が進んでいますが、テキサス大学オースティン校のクリスティン・ネフ准教授は、世界的にも有名な一人です。
彼女は著名人がプレゼンテーションを行うTEDで、「自分にやさしくすること」「人間が持っている共通点にフォーカスすること」「マインドフルネス」の3つをあげています。
自分に優しいのかどうかを判断する1つのポイントは、独り言をチェックしてみること。「自分は本当にダメだ」「信じられない。最低だ」といったことをつぶやいているようであれば、その独り言を自分が親友を励ますようなポジティブな言葉に変えましょう。
また「共通点にフォーカスする」のは、他人と比べて落ち込むのではなく、誰もが不完全な存在だと確認することにつながります。
マインドフルネスは瞑想の逆輸入ですが、今現在の行動に集中する大切さを学べます。Web上にもマインドフルネス用の音声などがあるので、気になったら試してみるといいでしょう。
今日は習慣化と自己肯定感についてまとめました。習慣化に成功すれば、そのことで自己肯定感もアップします。気になったら試してみてください。
心理学を活用した生活改善に興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『習慣化は自己肯定感が10割』(中島輝/学研プラス)