新年の目標を達成するために避けたい3つのワナ

新年に目標を立てる人は多いでしょう。新型コロナウイルスの影響で先の見えにくい状況ではありますが、心機一転、新たな目標を立てるのはモチベーションを高める意味でおすすめです。だからこそ知っておいてほしいのが、目標達成を妨げる「ワナ」です。

  • 多くの人が1/19にはあきらめる
  • 3つのワナとその対策

多くの人が1/19にはあきらめる

サンタクララ大学のデビッド・B・フェルドマン教授によれば、米国のでは74%もの人が新年に目標を設定し、多くの人が1月19日には目標達成をあきらめているとのこと。どのような集団で調査したのかはわからないのですが、目標達成への意欲が1ヵ月も続かないという「現実」にうなずく人も多いのではないでしょうか。

日本でも新年の目標に関するアンケート調査は行われています。

2014年にオンラインの英会話サービスを提供する株式会社レアジョブが実施した調査では、目標を達成するための工夫のベスト3は以下の通りでした。

1.スキマ時間を有効活用する

2.目標達成のためのスケジュールを月・日単位で設定する

3.友人や家族、SNSに宣言する

どれも一定の効果がありそうですが、問題はモチベーションが下がってきたときに効果が期待できなさそうな点です。スキマ時間の利用やスケジュール通りの進行は、目標設定当初にはプラスに働くものの、「面倒だな」と思い始めた時にそれを乗り越えるほどの力を発揮してくれそうにないからです。

3つのワナとその対策

そこでデビッド・B・フェルドマン教授が提案する目標設定を妨げる「ワナ」を対策とともに紹介しておきましょう。

①高すぎる目標設定
年が明けた高揚感で、多くの人は高すぎる目標を設定しがちです。しかし年が明けたといっても、いきなり人が変わるわけではありません。もちろん自由になる時間も、旧年と大きく変わらない人がほとんどでしょう。

達成できない目標を勢いで立てても、1月中に目標を諦めるだけ。むしろお勧めは、バカらしいほど簡単な目標を立てることです。例えば運動を日課にしたいなら、腕立て伏せを1回だけすることを目標に立て、とにかく続けることです。そして目標達成が目に見えるように、実行したかどうかをチェックするようにしましょう。

そして気が向いた時には、もう少しだけエクササイズを追加すればいいのです。腕立て伏せを20回して、腹筋まで鍛えられた日があってもいいでしょう。ただし酔っぱらって帰宅しても、1回の腕立て伏せだけは欠かさないようにする。それだけに日々の習慣が変わってきます。

②障害を考えていない
ビジネスであれば、計画段階で不安な要素を関係者と話し合ったりするものです。一部クライアントの意図がハッキリしない、協力会社が忙しそうだ、そんな問題をあらかじめピックアップして対策を立てておけば、事業が中断する可能性が低くなります。

これは新年の計画でも同じです。
英会話の学校に通おうと計画したなら、繁忙期にどうやってレッスンを続けるのかを決めておくべきでしょう。ダイエットをしたいと思うなら、スイーツを我慢できなくなる日の対策を練っておけば、大幅なリバウンドを回避できます。

過去の自分を思い返し、どんな問題が発生して、どうやって目標達成を諦めるのか予想し、その対策を考えておきましょう。デビッド・B・フェルドマン教授は、目標達成の初期に発生する問題とゴール前の問題は違ってくることにも注意を促していますので、ロングスパンで目標への道のりと障害を考えてみましょう。

③すべてを放り出したくなる
目標達成を阻む大きな要因の一つが「どうにでもなれ効果」です。これはダイエットをしているときに、耐えられなくてケーキを口にしてしまうと、それから一切のダイエットをやめてしまうような行動です。

ケーキを口にしたとしても、次の日からダイエットを継続できれば、それまでの努力がすべて無に帰すわけではありません。しかしどうしたわけか人は、目標達成のための行動を少しでも踏み外してしまうと、それまでの努力をすべて放り出してしまいがちなのです。

こうした問題の対策には、「リフレーミング」が有効です。リフレーミングとは、別の視点で物事を見ることです。サボった回数ではなく、リカバリーした回数を数えてみるのです。目標に向かって努力できない日があったとしても、リカバリーできると思えれば「どうにでもなれ効果」ですべてを手放すこともなくなるのではないでしょうか。

困難があっても粘り強く目標達成に向けて努力していると感じられれば、モチベーションも維持しやすくなります。

今日は新年の目標を達成するためのポイントをまとめてみました!

心理学を活用して行動を改善したいと感じている方は、こちらもご覧ください。

参考:「So You Set a New Year’s Resolution, Now What?」(David B. Feldman Ph.D./Psychology Today)/『超習慣術』(メンタリストDaiGo/ゴマブックス)

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