自信過剰な人に出会うことは珍しくはありません。何の根拠があるのかわからないけれど、とにかく自信満々。そうした人たちと一緒にいると、自分も自信過剰になってしまうことをしっていますか?今日は自信過剰が引き起こすビジネス上の問題と、その対策についてまとめました。

- 自信過剰の投資は危険
- 自信過剰だから成功!?
- 危険なタイプの自信過剰とは?
- 失敗したと想定して見直す
自信過剰の投資は危険
自信過剰な人と一緒にいると疲れるなーと思うことはありませんか。
自信過剰者は、正当な批判を受け付けなかったり、過度に競争的でいつも自分が勝者だと思っているからなのです。
しかも自信過剰な人の問題は、人間関係にとどまりません。ビジネス上でも大きな失敗を招きかねないのです。最も顕著な例は投資分野でしょう。投資がうまいと思い込み、リスクを小さく見積もるタイプは、自身の情報分析力を過信し、高過ぎるリスクを背負い、短期間に売買を繰り返して手数料が膨らむなどして、資産を減らすケースが多いのです。こうした傾向は「自信過剰バイアス」と呼ばれます。「バイアス」とは歪みのことなので、自らの知識や能力を過大に評価した自信過剰による認知が歪みで、現実を把握できない状況こそ「自信過剰バイアス」です。
自信過剰だから成功!?
じつは自信過剰な人が成功するケースもあります。
九州大学経済学研究院の木成勇介氏などが行った実験では、迷路を解いた人にだけ報酬を支払うといった状況で回答数を競わせたところ、競争がないときに比べて自信過剰な人の回答数が上がったというのです。
この実験は完全歩合制で営業の獲得金額を競わせたケースと一致します。一般的には厳しい条件で働く営業職の人でも、自信過剰な人の場合は高い生産性で乗り切れる可能性があるのです。
このような結果を見ると、ビジネスの競争を勝ち抜いてきた人の中には、自信過剰な人が紛れているといえそうです。
誰が自信過剰だろうと自分には関係ない、と思っている人もいるでしょう。しかし自信過剰の「伝染力」は、実験でも明らかになっているのです。
写真を見て体重を当てるといった実験では、実験参加者が自信過剰な人と接触すると、もともと自信過剰ではなかった人でもやや自信過剰が強くなり、その影響が2~5日も続いたというのです。
つまり自信過剰バイアスを持つ人と一緒に仕事をしていると、いつの間にか自分も自信過剰になってしまうかもしれないのです。
危険なタイプの自信過剰とは?

もちろんビジネス環境がよければ自信過剰と競争が生産性の向上を生むかもしれません。しかしリスクヘッジが重要な局面となると、自信過剰バイアスが牙をむき始めます。高く見積もったリスクは悪影響を及ぼすでしょうし、自分の情報分析への自信から他者の助言を聞き入れないといったことも起きるでしょう。利益を求めて改善の回数を増やすことで問題が拡大することもあるかもしれません。
上司や同僚が自信過剰なタイプで、自分も何となく乗せられているなと思ったら、状況が悪化する前に自分の行動を見直した方がいいでしょう。
じつは自信過剰な人の中で、特に注意したほうがいいタイプがあります。
そもそも自信過剰な人は3つのタイプに分類されるそうです。
①実際より素晴らしいパフォーマンスを示したと思うタイプ
②自分の意見が正しいと思うタイプ
③自分は他人よりはるかに優れていると思うタイプ
この3つの中で、最も危険なのは③とのこと。
つまり「自分の周りはバカばっかり」などと言い続けている自信過剰タイプは要注意です。ビジネス環境が少し悪化してきたときは、このようなタイプの人と一緒に仕事をするのは危険性が増します。
失敗したと想定して見直す
では、自信過剰な人が立てたビジネスプランのリスクを、事前に検証するにはどうしたらいいのでしょうか?
もちろん、どんなビジネスプランもリスクの検証は行うのでしょうが、自信過剰バイアスがかかっている場合は、通常のリスクの検証はあまり意味がないとゲイリークレイン氏は指摘しています。
自信過剰バイアスの中でリスク分析するためには、失敗したと想定した未来から振り返る」必要があるそうです。完全にプロジェクトが失敗したと仮定し、どんな原因で失敗したのかを原因究明していきます。つまり想定していたプロジェクトの失敗理由を探し出し、その項目がプロジェクト中止にいたった理由を説明していくのです。
例えば資金が足りなくなったといった項目であれば、「協賛会社が下りた」「銀行の融資がうまくいかなかった」「プロジェクトが見積りより膨らんだ」といった原因が思いつきます。それぞれが実際に起こりうるかを考えることで、自信過剰バイアスが見えなくしていた「不安」を直視することができるのです。
これは成功すると思い込んでいる視点からリスクを分析するのとは、まったく違う結果になるそうです。
自分や自分のチームが自信過剰バイアスにかかっているかもしれないと感じたときには、ぜひ試してもらいたい方法です。
心理学を活用しての生活改善に興味のある方は、こちらもご覧ください。
参考:「自信過剰が競争的環境にいける生産性に与える影響」(木成勇介、大竹文雄、奥平寛子、水谷徳子)/「最高の仕事の妨げになる「認知バイアス」とは?」(box-navi)