自信を失うとついついネガティブに考えがちです。そんなとき欲しいのは、ギラギラしたポジティブさではなく、静かな自信なのではないでしょうか。穏やかで揺らぎのない姿勢を獲得するためのポイントを書き出してみました。
成功できる鍵は自己評価
臨床心理学者のナサニエル・ブランデンは、自著で次のように語っています。
成功、失敗を分ける鍵を握っているのは、実はその人の〈自己評価〉なのです。
たしかに自己評価が高ければ、失敗しても長く落ち込むこともなく、諦めることもありません。ムダに承認欲求を満たすようなパフォーマンスをすることもなく、敵もつくりません。
ナサニエル・ブランデンによれば、自己評価には2つの要素があるそうです。「自分が有能であるという実感」と「自分は価値があるという実感」です。つまり「自信」「自尊」であり、両者は密接に関連しています。
自信を持つようになれば、自尊心も育ち、自己評価も上がっていきます。じつは自己評価を上げるメソッドは、ネットなどに数多くアップされています。しかし、今日紹介したいのは、もう少し実践的な方法。静かな自信を持った人たちの生き様をマネてみることです。
「それができれば苦労はない」と考えがちですが、リーダーシップの専門家であるJeff Haden氏が書いた静かな自信を持つ人の特徴は、けっこうマネできると思えるものです。静かな自信を持った人をマネれば、他人から見る目が変わります。当たり前ですが、人間関係が変われば自分の心持ちも変化していきます。
じつは「ハイパワー・ポーズ」という自信に満ちた姿勢を保つだけでも、実際に自信がわいてくるそうです。背筋を伸ばして、肩を後ろに引き、貧乏ゆすりなどをしないだけで、少し自分の心が変わってくるのを感じませんか?
姿勢だけでも気持ちが変わるのですから、物事への対処の仕方をマネれば、さらに自分に自信を持つことができるでしょう。
自分の生活に取り入れられそうなものから試してみてください。
①しゃべりの10倍聴く
自信にあふれた人は、とにかく人の話をよく聴くのだそうです。自分の承認欲求を満たすために話す必要はなく、他人がどう考えているのかに興味があるからです。
話すよりも静かに相手の話を聴いてみる。
これだけのことですが、相手はきっとあなたの自信を感じとることでしょう。
②批判を恐れない
これは自信のない人には難しく感じるかもしれません。ついつい反論したくなり、批判を耳に入れないようにしたくなるからです。しかし自信のある人は、正しい答えを知りたいと思っていますし、他人の意見も知りたいと考えているようです。
自信がないと批判に感情的な反応を示しがちですが、少しだけ我慢して相手の意見を素直に聴いてみるのもいいかもしれません。
③他人に助けを求める
自信がない人ほど他人に助けを求められない傾向にあります。助けを求めることが、自分の弱みになると考えるとお願いができなくなるからだそうです。一方、自信のある人は、助けを求める人の専門知識と判断に対して敬意を持ち、協力関係を築くことに力を注ぎます。
すべてを自分で抱え込まないで、きちんと助けを求めてみることは、それほど難しくない一歩かもしれません。
④他人をバカにしない
自信のある人は他人をバカにしません。他人をバカにする人は、他人を蹴落とすことで、自分の株を上げようとするケースが多いそうです。つまり自信のある人は、他人をわざわざ蹴落とす必要がないのです。
他人をバカにすると「自信のない人だ」と見抜かれる。そう思えるようになるだけでも、自分の行動が改まるかもしれませんね。
⑤承認してもらうのは本当に重要な人だけ
いろんな人から尊敬を集めたいと、SNSなどでアピール繰り返すより、限られた人からの信頼と尊敬を勝ち取ることに、自信のある人は力を注ぎます。自分にとって最も重要な人々が誰かを知り、その人からの評価を得たいと思って行動すると、多くの人を対象にしたパフォーマンスは必要なくなります。
⑥自分の成果より仲間の成果に光を当てる
自信のある人は、自分への賞賛を求めていません。だから一緒に動いてくれた仲間を称賛し、その働きに光を当てます。「自分が、自分が」と称賛を浴びに行くのは自信のない証拠です。
どうでしょうか?
すべてをマネるのは難しくても、いくつかは自分の生活に取り入れられそうだと思いませんか? 「今は自信がなくて」と思うなら、まず背筋を伸ばして、肩を後ろに引き、相手の話を聴くところから始めてみてはいかでしょうか?
相手の話をしっかり聴く技術を学びたい方は、こちらもご覧ください。
参考:『自信を育てる心理学』(ナサニエル・ブランデン/春秋社)/『9 Signs You Are Genuinely Confident, Without Seeming Cocky at All』(Jeff Haden/Inc.)