仕事をしていると、生産性の向上を求められることも少なくありません。しかし、これまでも怠けてきたわけでもないのに、「生産性アップと急に言われても……」と思ってしまうことも。そんな人にお勧めしたい方法を紹介しましょう。
- 生産性アップのポイントは「楽しさ」
- 楽しい気持ちで仕事するための3つのポイント
生産性アップのポイントは「楽しさ」
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、さらなる生産性のアップを求められている人がいるかもしれません。とはいえ実際の現場で生産性を上げるのは容易ではありません。新しい機械が導入されるなど仕事の工程が大幅に変わるならば生産性も変わってきますが、多くの場合、個人の努力で生産性アップを図るよう求められるからです。
一般的には作業手順を見直す、組織内の連携を確かめるといった方法が取られると思いますが、もともと仕事を怠けていた人は少ないでしょうから成果は上げにくいものです。しかし心理学の実験では、12%も生産性をアップさせる方法を発見しています。
その方法とは「楽しいな」「幸せだなあ」と感じながら仕事をすること。
英国のアンドリュー・オズワルドは、実験参加者に正解1問について0.25ユーロを支払う約束をして、簡単な計算問題を課しました。そして片方のグループにだけ、コメディアンのビデオを10分見てから問題を解かせたのです。するとビデオで大笑いしたグループの生産性が、見てないグループよりアップしていたのです。
また別の実験では、片方のグループにだけチョコレートを食べさせてもみました。この実験でもチョコレートで幸せな気持ちになったグループの生産性が上がったというのです。
楽しい気持ちで仕事するための3つのポイント
生産性を上げるためには、楽しい気持ちで取り組むことが重要なことはわかりました。問題は、どうしたら楽しい気分で仕事ができるのかということでしょう。
日曜日に代表される休日の夜に、翌日の仕事を考えて憂鬱になってしまう人は少なくありません。「サザエさん症候群」「ブルーマンデー症候群」という単語もあるほどです。
では、ストレスに感じてしまう人も少なくない仕事は、どうすれば楽しくなるのでしょうか?
①仕事前にテンションを上げる
先に紹介した心理実験のように、笑える映像を見てから仕事に取り掛かる。あるいは「推し」の映像や写真などを鑑賞してから仕事に手を付けるといった方法もあるでしょう。
上がったテンションがどれくらい続くのかといった問題はありますが、うまくすれば1割以上の生産性アップにつながるかもしれません。
②感謝されるような仕事をする
そもそも日々の仕事が楽しいと思える瞬間は、どんなときでしょうか?
2020年10月に株式会社ビズヒッツが、全国の働く男女500人にアンケート調査した結果は、次のようになっています。
1位は「感謝されたとき(88人)」、2位の「仕事がうまくいったとき(85人)」とは3票の僅差。次ぐ3位は「顧客や会社に貢献できたとき(40人)」でした。
1位 感謝されたとき 88人
2位 仕事がうまくいったとき 85人
3位 顧客や会社に貢献できたとき 40人
2位の「仕事がうまくいったとき」という状態は、簡単には実現できないでしょう。うまくいくように努力しても、思った通りにならないことも多いからです。一方、感謝や貢献は、会社が定める日々の目標とは違うケースも少なくないでしょう。というのも上司や先輩、同僚などから感謝されるケースは、会社の掲げる目標と完全に合致しない場合もあるからです。
例えば、夕方に子どものお迎えなどがある同僚には、退社時間を守れるようにフォローすることで感謝されることでしょう。あるいはお客様からの質問に、即座に答えられる商品知識によって感謝されることもあるでしょう。仕事の相手ごとに感謝されるポイントは違っており、そのポイントを抑えることで結果的に仕事が面白くなり、生産性が上がるという好循環も期待できます。
自分の周りの上司や同僚、クライアントなどから感謝されるポイントを考えてみましょう。特に思いつかないなら、さりげなく嬉しいポイントをたずねてみるのもいいかもしれません。
③周りを笑わせる
ちょっとした才能が必要かもしれませんが、周りの人を笑わせる努力をしてみましょう。周りの人が笑えば、あなた自身も楽しくなります。結果として、そのグループ全体の生産性がアップするのです。
しかも笑わせることが、さまざまな交渉で相手に譲歩してもらえることがわかっています。仕事を互いに融通できれば、より仕事はやりやすくなるはずです。ランチタイムなどに一緒に笑うことができれば最高ですね。
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監修:一般社団法人日本産業カウンセラー協会
参考:『世界最先端の研究が教える もっとすごい心理学』(内藤誼人/総合法令出版)