ずっとネガティブな想いが頭を回り続けてしまう。そんな状態に悩んでいませんか? 気づくと同じようなことを考えて落ち込んでしまう「反芻思考」。その危険性と対策についてまとめてみました。
- ストレスから無気力になりやすい!?
- 反芻思考から抜け出す3つのステップ
ストレスから無気力になりやすい!?
「なぜやらなかったんだろう」
「あんない言い方しなければよかった」
「私はどうしてこんな性格なんだろう」
気づけば過去の失敗などを思い出し、自責の念や屈辱感が頭を回り続けているといった経験は、けっこうあるものです。ただ、それがあまりにも続くようなら要注意でしょう。
こうしたネガティブな想いがぐるぐると頭を巡ってしまうことを反芻思考と呼びます。
「反芻」とは、牛などが飲み込んだ食物を胃から口に戻して改めて飲み込むこと。そのため牛は長時間モグモグと口を動かし続けるのです。そんな牛たちと同じように、ネガティブな想いにとらわれてしまうのが、反芻思考なのです。
イェール大学のスーザン・ノーレンホエクセマ氏の研究によれば、「反芻思考」の傾向が強い人ほど落ち込みやすく、ストレスから無気力になりやすいのだそうです。カリフォルニアで発生した地震の後の調査でも、反芻思考傾向の強い人は抑うつ傾向が高かったと報告されています。
特に注意したいのが、「どうして自分は失敗ばかりしてしまうのか」といった自己分析に向かうのではなく、環境や他者への不満を募らせるパターンです。「こうだったらよかったのに」といった想いが、ずっと頭を回ってしまうようなら要注意でしょう。
反芻思考から抜け出す3つのステップ
アイリーン・ケネディ・ムーア博士は、反芻思考から脱するための3ステップを示しています。順番に説明していきましょう。
①反芻しているタイミングを知る
通常、反芻思考が発生する状況は決まっています。一人で食事をしているときや夜にボーっとテレビを見ているときなど、「反芻思考」が活発化する時間帯や状況が決まっています。
そのタイミングを認識することで、「反芻思考」に陥らないように対策を打てますし、人によっては「反芻思考」の時間を少なくすることができるようです。
②反芻思考を別の行動にシフトする
人は考えないようにすると、より考えてしまうというやっかいな性質を持っています。「シロクマのことを考えるな」と命令されると、「シロクマのことを覚えておくように」と言われた場合より、深く記憶に刻まれてしまうといった心理実験もあります。
これは反芻思考にも当てはまります。反芻思考から抜け出すためには、考えないようにするのではなく、考えなくて済むような行動を起こす必要があるのです。
最も手っ取り早いのが夢中になれる事。ジェットコースターに乗りながらネガティブな想いを反芻するのは容易ではないでしょう。ネガティブな想いとらわれないような行動を、反芻思考が起きやすいタイミングに実行すればいいのです。
散歩やランニングもいいでしょうし、友達と話したり、本を読んだりすることもアイリーン・ケネディ=ムーア博士は推奨しています。少し変わったところでは、切り絵を推奨している論文も発表されています。手先への集中が必要なこともあり効果が高いようです。
③問題解決に集中する
反芻思考は、「どうして〇〇なんだろう」といった答えのでない問いを繰り返すことが多いようです。だからこそ「これを解決するためには、どうすればいいんだろう」「状況を改善するために、私は何ができるんだろう」「再発しないようにするにはどうすればいいんだろう」「この経験から何を学ぶことができるんだろう」といった問題解決に向かう問いを自分に発すれば、突破口が見えてくる可能性があるそうです。
また、自分では問題に対処できないと感じたら、「誰が私を助けることができるのか?」と問うのがいいそうです。
今日はネガティブな想いにとらわれてしまう反芻思考への対処法をまとめてみました!
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考:「How to Stop Overthinking Things 」(Eileen Kennedy-Moore Ph.D./Psychology Today)/「高反すう傾向者をターゲットとした気晴らしの有効性についての検討―注意状態との関連から―」(石川遥至)