私たちの多くは成長と目標達成に力を注いでいます。あるいは成長できない自分に、どこかいら立ちを感じているかもしれません。成長それ自体は悪いことではありません。ただ疲れているなと感じたら要注意! さらに成長を求めるべきなのか考える材料を集めてみました。
- 成長も限界かも!?
- 何もしないときにも幸せが
- 現実的な目標を設定すること
- 全体を維持すること
- ブレーキを踏むこと
成長も限界かも!?
私たちの多くは「成長」を追い求めています。成長マインドセットを身に付け、自らと組織の成長を目指す姿勢を持とうとし、よりコスパの良い生活を目指し、SNSでのつながりを広め、より「いいね」を集めようとしています。また最近は働きながら勉強することも、当たり前になりつつあります。
こうした思考は、厳しい環境を乗り越えてきた私たちの祖先の進化とつながっているとも言われています。確かに365日食料を採取できない環境で人が生き残れたのは、はるか昔により多くの食料を収穫し、冬に向けて備蓄をしてきたからでしょう。
しかし成長や利益拡大に向けた動きは、もしかすると限界を超えているのかもしれません。実際、20年前と比べて日々の生活はかなり忙しくなったと、多くの人が感じているようです。企業では人を削減し、生産効率を上げることで利益を増やそうとしてきました。さらに原因は複数あると思いますが、うつ病などに代表されるメンタルヘルス不調は増加傾向にあります。
何もしないときにも幸せが
ノースイーストオハイオ医科大学のディミトリオス・ツァティリス助教授は、余裕のない成長への願望に警告を発しています。成長が重要であることをわかりつつも、もしかしたら私たちの幸福は、能動的に動く必要のない中にもあるのではないかと書いているのです。
子どもが遊んでいるとき、空を眺めているとき、自然の中を歩いているときなどなど。別に何かを求めて行動していなくても、満足する時間は確かに作れそうです。成長と目標達成に多くの時間を費やしているからこそ、その行き過ぎに気を付けるべきでしょう。そこで「もっと欲しいという罠」にはまらないための3つヒントを書いておきます。
順番に説明していきましょう。
①現実的な目標を設定すること
目標の達成は必ずしも幸福につながりません。必死に頑張って手に入れたお金や地位に幻滅することもあるでしょうし、逆にさらなる欲望を生み出すこともあるでしょう。
だからこそ自分にとっての現実的な目標がどこなのかを、しっかりと考え設定する必要がありそうです。
ただ目標を持っているからこそ、有意義な時間を過ごすことができたといったこともあるので、このさじ加減はなかなか難しいのかもしれません。
②全体を維持すること
成長と目標達成に心奪われると、人生のバランスが崩れてしまう可能性があります。仕事だけに没頭して家族を省みなかったといったことも、人生全体のバランスを崩したことになるでしょう。
ディミトリオス・ツァティリス助教授は広い視野を持つようにアドバイスしています。さまざまな役割に担い、どれもが損なわれないように気を付けましょう。
ちなみに終末期の緩和医療に携わる大津秀一医師がまとめた書籍『死ぬときに後悔すること25』(新潮社)によれば、後悔のベスト3は以下の通りです。
第1位 愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと
第2位 美味しいものを食べておかなかったこと
第3位 自分の生きた証を残さなかったこと
③ブレーキを踏むこと
ディミトリオス・ツァティリス助教授は、目標に向かって全力で走っている状態だと、本当に大切だけけれど小さいことを見逃してしまうと書いています。
人生を本当に意味のあるものにするためには、たまにはブレーキを踏んでスピードを落とす必要があるそうです。
今日は頑張り過ぎている人が、自分の生活の見直すヒントをまとめてみました。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「How to Be Happy With Less」(Dimitrios Tsatiris M.D./Psychology Today)