根性論が苦手な人でさえも、我慢や自制心が成功に結び付くことは知っているのではないでしょうか。それでも自制心を発揮するのは簡単ではありません。気が付けばテレビやネットで時間をつぶしてしまうことに……。そんな人に、自制心が身に付くとっておきの方法をご紹介します。
- 目標達成に必要なのはモチベーションより自制心
- 覚えておきたい4つの自制心の性質
- 自制心を鍛える6つの訓練法
目標達成に必要なのはモチベーションより自制心
目標を設定し、日々のタスクを計画する。ここまでは実行した人も多いでしょう。学生時代に、毎日英単語を10個覚えるといった計画を立てた人もいるかもしれません。ただ、なかなか続きません。
では、計画通りにコツコツと努力を積み重ねるためには、何が必要なのでしょうか?
この質問に「やる気」や「モチベーション」と答えた人は要注意です。
じつはモチベーションに頼った計画は、挫折する可能性が高いのです。というのもモチベーションは空腹や睡眠不足、恐怖、退屈などに影響を受けるため、長期間の努力を維持するのは容易ではないのです。
もちろんモチベーションがなければ、最初の一歩は踏み出しにくくなりますし、高いレベルのパフォーマンスを維持することも厳しくなります。つまりまったくモチベーションなく行動することはできません。ただ長期の計画を支え続けるには不安定なのです。
むしろ必要なのは自制心です。
覚えておきたい4つの自制心の性質
まず、自制心の基本的な性質を4つ紹介したいと思います。自制心の基本的な知識ですが、意外と知らないものです。
①自制心は使い過ぎると弱まる
仕事から帰ってくると、デザートやタバコを我慢するのを難しく感じたことはありませんか?昼間に自制心を使い過ぎると、「使える」自制心のエネルギーが残っておらず、誘惑に負けてしまうのです。
②自制心は時間とともに回復する
自制心を使い切った直後は我慢ができなくなります。ところが時間とともに自制心は回復していきます。こうした働きは、よく筋肉にたとえられます。
③弱った自制心の一時的な不足は報酬やご褒美で補える
心理学者のマーク・ムラバンの実験は、かなり変わっています。
コメディーの映像を5分間見せて、実験参加者の一部には笑いどころか笑みさえ浮かべないように指示をだします。その後、飲んだ分だけ報酬を支払うという条件で、オレンジ味のジュースに酢を加えたもの提供するのです。
すると低い報酬を提示されたグループは、思いっきり笑ったグループの半分しか飲めなかったのに、高い報酬を約束したグループは思いっきり笑ったグループと同じだけ飲めたというのです。
笑いを我慢して使い切った自制心を、高い報酬が一時的に補ったといえるそうです。
④自制心は鍛えられる
しばしば自制心は生まれつきのものと思われていますが、じつは鍛えることができます。わずか2週間訓練をするだけで、自制心は格段にアップするそうです。
自制心を鍛える6つの訓練法
では、自制心を鍛えるのに、どんな訓練が向いているのでしょうか?「えっ、これが!?」といった以外な方法もあるので紹介していきましょう。
①ハンドグリップで握力を鍛える
1日2回、できるだけ長く握るようにするだけ、わずか2週間で効果が出るそうです。我慢を強いられている感覚はありませんが、効果は心理実験で検証済み。1000円以内でハンドグリップを変えるようなので、試してみるのも面白いかもしれませんね。
②エクササイズをする
ランニングなどのエクササイズをすることも、自制心を鍛えるのに有効です。最近では、わずか4分でダイエット効果がある「HIIT(ヒット)」なども人気です。興味ある方はWebで検索してみてください。
③お菓子を我慢する
これも自制心を鍛えるためには2週間でOKですが、誘惑の多い訓練といえるかもしれません。とはいえダイエットとして始めるなら体重も減るし、自制心も鍛えられるのでお得かもしれません。
④食事内容を記録する
続けるのが意外に大変なものの1つです。後回しにしたら、もう続けられなくなります。食事の後に必ず書くといった習慣づけをする必要がありそうです。
⑤家計簿をつける
自制心の訓練に効果的だとわかり、毎日、家計簿をつけることがどれだけ自制心を必要とするのかがわかりますよね……。とりあえず2週間やってみるのもいいでしょう。
⑥利き手と逆の手でマウス操作
これは非常にイライラします。簡単に始められますが、2週間続けるのはけっこう大変そうです。これと同じタイプ訓練に、利き手と逆の手での食事や歯磨き、ドアの開閉があります。
こうした「訓練」を2週間続けると、「流しに食器をためない」「衝動的な買い物をしない」といった行動の変化が出てくるそうです。ただし自制心が身に付いたことに安心して訓練を止めると、自制心は弱まっていきます。
気をつけてくださいね!
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参考:『やってのける 意志力を使わずに自分を動かす』(ハイディ・グラント・ハルバーソン/大和書房)/「Building Self-Control Strength: Practicing Self-Control Leads to Improved Self-Control Performance」(Mark Muraven)