新型コロナウイルスの影響により、いまや人に会うこと自体がプレミアとなっています。ビジネスでも優先順位が高くなければ、直接会えないという時代が来るかもしれません。そこで直接会う利点を紹介します。
どうして直接会う方が仕事に?
新型コロナウイルスによるパンデミックが起きるまでは、人に会うことがここまで難しくなるとは、ほとんどの人は思っていなかったでしょう。相手に時間を割いてもらうこと、交通費を負担することなど、もちろん乗り越えるべき壁はありましたが、よほど忙しい人でなければ、どうにかなる問題でした。
しかし会うこと自体が健康のリスクになりかねない現在、直接会うことが価値を持ちつつあります。今後もZoomなどのWeb会議ツールを使って済ませることが多くなるのではないでしょうか。
では、Web会議ツールを使って会うのと、直接会うのでは何が違うのか、ポイントを4つにまとめてみました。
①言語以外の情報をやりとりできる
『フォーブス』が2009年に実施したビジネスパーソンへのアンケート調査によれば、「Web会議ツールなどを使った会議」と「直接会っての会議」を比べて、直接会う方がプラスだと感じる理由で、77%の人が「表情やしぐさで感じ取れるから」と答えています。
実際、顔の細かな表情からは、言葉より多くの事実を伝えるケースがあります。自信や共感、恐れ、誠実さなどが、言葉以上に伝わると過去に感じた人は多いことでしょう。Web会議などでは、そうした微細な情報が失われてしまうかもしれないと、多くの人が感じているのです。
②より強く、意味のある関係性を構築できる
米国で発行されている『Inc.』という雑誌のWeb版は、直接会うことの利点として「絆を深めやすい」ことをあげています。しかも、それは直接会ったときの雑談などから生まれることが多いとも説明しています。
好きなスポーツチームや育児など、仕事とは別の話題から人間関係が構築されるのは別段珍しいことではありません。
また『フォーブス』のアンケートで、「Web会議ツールなどを使った会議」の利点として選ばれたのが、トップは92%を占めた「時間の節約」、次いで88%の「お金の節約」、76%を占めた「自由に選べる場所と時間」でした。つまり効率化を進めるのに適しているという判断だったのです。一方、直接会うことの利点は、相手との関係性に関連するものが上位を占めました。これは無視できない結果でしょう。
③職場環境を観察できる
『Inc.』のWeb版は、相手の会社を訪れる重要性を説いています。従業員が幸せそうに働いているのか、従業員のための環境整備に力を入れているのかといったポイントは、一緒にビジネスをしたい相手かどうかを知る大きな要素となるからです。
④多くのビジネスパーソンが直接会うことを好む
『フォーブス』のアンケート調査では、84%のビジネスパーソンが「Web会議ツールなどを使った会議」より直接会っての会議を好むと答えています。
とはいえWeb会議ツールを使いこなす中で、そのデメリットを補完するような動きも少しずつ出てきています。Web会議ツールでも、コミュニケーションの仕方によっては、よりしっかりしたコミュニケーションが取れるようになる可能性があるでしょう。しかし、これは「Web会議ツール」をしっかり活用しようと思うから生まれるもの。Web会議ツールの限界は把握しておきたいですね。
また実際には会って話さないと、相手のことがわからない。そうクライアントが感じるなら、より営業効果の高いと直接の会議をセッティングできるように頑張るしかありません。
こうした直接会うことのプラス効果は、小泉悠里氏が高校生を研究して書いた論文でも明らかになっています。
トラブル対処の手段としては、「相手と直接会って話す」ことが最も効果的な手段として認識されている」
非常事態宣言が解除されたことで、出勤する人も多くなっています。しかし営業のやり方が、完全に元のように戻るかどうかはわかりません。それだけに、Web会議ツールを使いつつ、どうやって直接会う機会をつくっていくのかを考えることも重要なのではないでしょうか。
心理学に興味のある方はこちらもご覧ください。
参考:
「5 Reasons You Need to Meet in Person」(『Inc.』)
「Business Meetings The Case for Face-to-Face」(Forbes 2009)