「PDCA」という単語を聞いたことがある人も多いでしょう。ビジネスで使われることの多いフレームワークですが、継続的に使い続けている人は少ないかもしれません。そこでPDCAサイクルの回し方と、その心理学的効果をまとめました。
- 大企業も活用
- 簡単に書けるようにする
- 習慣化する
- わかりやすく可能な目標を書く
- 達成できない目標を失敗だと思わない
- Action(改善)はアドバイスの気持ちで
大企業も活用
PCDAは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を取ったものです。1950年代に品質管理の向上を目指して提唱されたフレームワークです。
計画を立てて実行し、その成果をチェックして改善していく。このサイクルをグルグル回すとで、目標達成に向けよりよい成果を生み出していくものです。ソフトバンクやネスレ日本などの大企業でも導入された手法です。
またPDCAという言葉を使わなくても、さまざまな分野で成功している人や組織は、同じ間違いを繰り返さないために、日々問題を検証しているケースが多いもの。プロスポーツなどでは、映像を解析してどのように改善すればいいのかを考えるのが、当たり前になっています。
つまり失敗を検証し続けられるPDCAは、目標を達成したいという個人にとっても、ピッタリの方法なのです。
ただ、これだけ成果を上げている方法なのに、個人でPDCAサイクルを回し続けている人は、あまり多くないのも事実でしょう。それは続けにくいと感じてしまう要素があるからです。
そこでPDCAサイクルを回すときの注意点と、その背景にある心理的傾向をまとめました。
①簡単に書けるようにする
PDCAサイクルは何度も回すことで、より高い効果を期待できるものです。つまりポイントは継続。だからこそ面倒だと感じるものは厳禁です!
『自分を劇的に成長させる! PDCAノート』(岡村拓朗/三笠書房)には、見開きA4サイズ以上のノートの3~5センチのところに水平線を1本引いて、ゴールとなるタイトルを記入。その下を4分割して、Plan・Do・Check・Actionを割り振って記入することを勧めています。
ノートであれば、いつでもすぐに記入することができ、自分が理解できれば丁寧に書く必要もないので、時間も取らないでしょう。
逆に手書きが面倒だと感じるなら、エクセルなどでフレームをつくって記入するのもいいでしょう。 とにかく決まった枠組みで、すぐに書けるようにすることが重要です。
②習慣化する
時間を決めて実行しましょう。というのもPDCAは継続が必要なので、意識しないでも行動できる習慣化が必要になってくるのです。そして決められた時間に実行する方が、習慣化できる可能性が高まります。
さらに習慣化のために、何かしらのご褒美を用意しましょう。例えばPDCAを記入する場所を喫茶店などに決めて、気分よく実行するという方法もあるでしょう。
そしてもう一つ重要なことは、どうしても実行できない「非常措置」の日を設定しておくこと。人は小さな失敗からすべてを放りだしてしまう「どうにでもなれ効果」と呼ばれている習性があります。日々、食事の量を制限して耐えていたのに、ちょっと食べ過ぎて失敗したと思った途端に、それまでのうっぷんを晴らすように大量に食べてしまう。そうした行動こそ「どうにでもなれ効果」です。 このような行動を防ぐには、決めたことを実行できない日をあらかじめ用意しておけばいいのです。ある心理実験では、1週間毎日課題を完了する「厳しい目標」のグループ、7日のうち5日完了すればいいという「楽な目標」のグループ、毎日課題を完了することを求めたものの1週間のうち2日までは怠けてもいい「柔軟な目標」のグループに分けて比較しました。結果、「柔軟な目標」グループは53%、「楽な目標」グループは26%、「厳しい目標」グループは21%の達成となったのです。週5日という楽な目標より、できない日を認める方が倍以上も達成率が高いのです。このような心理的効果を見逃す手はありません。
③わかりやすく可能な目標を書く
感想に近い、どうとでも取れるような目標をやめましょう。例えば、「上司が認めてくれるような成果」といった目標は、どれだけ頑張ればいいのかが不明です。客観的であり、数値で表せるなど、評価・改善のしやすい形で目標を記入しましょう。
さらに無理な目標を立てないことも重要です。
無理な目標を立てて、それがまったく達成できないと、どんどんやる気がなくなってしまうからです。重要な継続することだと肝に銘じ、目標を設定しましょう。
④達成できない目標を失敗だと思わない
目標と実行の格差に焦点を当てて解決していくのが、PDCAのポイントです。つまり達成できなかったことが、改善の元となります。達成できなかった目標をそのままにすれば失敗ですが、改善の糧とするなら成功への過程となります。
達成できなかったからといって、気落ちしないようにしましょう。
⑤Action(改善)はアドバイスの気持ちで
助言を与えることで自信が生まれ、目標達成の可能性が高まることが指摘されています。オンラインアンケートで下級生への数分間のアドバイスを求められた高校生のほとんどが、成績をアップさせたという実験結果もあります。
だからこそAction(改善)は、反省するのではなく、自分にアドバイスする気持ちで行いましょう。それだけだと自信にならないと感じるならば、SNSなどで自身の改善点を、一般的なアドバイスとして書いてみるのもいいでしょう。
今日はPDCAの回し方についてまとめました。昔からあるフレームワークであり、効果も立証されています。自己成長のために活用してみましょう!
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『自分を劇的に成長させる! PDCAノート』(岡村拓朗/三笠書房)/『自分を変える方法』(ケイティ・ミルクマン/ダイヤモンド社)