自分ばかりが仕事して、周りは全然働いていない。そんな思いに駆られたことはありませんか。そんな気持ちになったら要注意。もしかしたら、あなたの認識が間違っているだけかもしれませんよ!
- 自分の方がより貢献度が高いと思ってしまう
- 自己中心性バイアスを正すには
- こちらも気をつけたい「確証バイアス」の罠
自分の方がより貢献度が高いと思ってしまう
自分の方が負担が大きい、仕事に貢献しているなど、周りと比べて自分方が貢献度が大きいと感じることはありませんか。しかし、それは自分の思い込みかもしれません。
「自己中心性バイアス」を確かめた心理学者ロスの実験を紹介しましょう。
ロスは夫婦の家事分担について、夫と妻、個別に調査しました。朝食の準備、皿洗い、掃除、買い物、子どもの送迎など20項目について、自分の分担している割合を15センチのスケールに記入してもらったのです。結果、20項目中、16項目で夫婦のスケールの合計が15センチを超えたのです。これは実際より自分がより多くを負担しているという意識によるものと言えるでしょう。
また、実際に自分と相手がやっている家事を書き出してもらったところ、相手より自分の方が多く書き出すことも明らかになりました。
同様の実験で学生を二人一組のグループにして喫煙禁止の方法についてどのようなものがベストか討論したものもあります。この討論で自分と相手の貢献度を聞いたところ、やはり自分の方が相手より貢献していると思いこんでいることがわかったのです。
この自己中心性バイアスは無意識のうちに生じてしまうのが怖いところ。実験と同じように、自分の担当した仕事と相手が担当した仕事を書き出しても、実際より相手の仕事を少なく見積もってしまうのだから、自分で自己中心性バイアスをただすことは難しいようです。
自己中心性バイアスを正すには
仕事で、自己中心性バイアスが悪影響を与えてしまいそうなは、そのような傾向性の強い人がリーダーになった場合でしょう。部下のやった仕事でも自分の成果だという態度となれば、下で働いている人も面白くはないでしょう。
では、自己中心性バイアスはどのように補正すべきなのでしょうか? まず、人は無意識に自分の貢献度をかさ上げするものだという意識を自ら持つことでしょう。物事には、必ず自己中心性バイアスが掛かっていると認識すれば、周りの貢献を改めて見直すきっかっけにもなりますし、「おれが、おれが」と主張するタイプにも余裕を持って接することができるようになるでしょう。
こちらも気をつけたい「確証バイアス」の罠
自分に対する認知のゆがみとしては、「確証バイアス」も良く知られています。これは自分が信じている考えを補強する情報だけ集め、反証などは無視する傾向です。ひいきのスポーツチームがあれば、そのスポーツチームが勝つ情報だけを集め、勝利を確信してしまう。そんな光景を思い出せばイメージが伝わるでしょう。
この「確証バイアス」もビジネスの場では、マイナスに働くことがあるでしょう。マイナス材料を無視し、成功や自分の正当性の根拠だけを集めてしまうからです。マイナス材料を示して、考えを変えてくれるならいいのですが、ときに客観的な材料すら無視されてしまいます。
「確証バイアス」の傾向性の強い人がリーダーになると、仕事がやりにくくなるかもしれません。ときには思い込みと情熱で、停滞している現状を動かすことができますが、日々の業務では客観性が問われるからです。
これも無意識に行われてしまうようなので、自分の集めた根拠が「確証バイアス」によるものかもしれないという意識をしっかり持つことが大切です。あまり確証バイアスが強いと、「思い込みの強い人」として煙たがられてしまうことにもなりかねません。
自らの行為を客観的に評価するのは簡単ではありません。だからこそ自分のバイアスを自分で正していくことが重要になるでしょう。