仕事面でもっと成長したいと思っていても、どうもうまくいかない……。そんなふうに頭を悩ませている人はいませんか。「もう無理なのかも」と諦め気分になる前に、「ジョハリの窓」の考え方を身につけましょう。
- 見せたい自分と、実際に見せている自分は違う
- 成長のヒントになりうる!「ジョハリの窓」とは
- 「盲点の窓」を自覚できれば、成長のチャンスは広がる
- 「秘密の窓」と思っていたのに、実際は……なんてことも!
見せたい自分と、実際に見せている自分は違う
動画撮影した自分の姿を見たことはありますか。多かれ少なかれ、「わっ、自分はこんな動きや話し方をしているんだ」と驚くはずです。そう、「見せたい自分」と、「実際に見せている自分」は、けっこう違います。
実際に見せている自分を目の当たりにすると、ちょっと恥ずかしいという意識が湧くでしょう。でも、その恥ずかしさから目を背けては、成長はありません。勇気を持って、他者からの目線を取り入れてみませんか。
成長のヒントになりうる!「ジョハリの窓」とは
他者の目線を取り入れるときに役立つのが、「ジョハリの窓」という心理モデルです。アメリカの心理学者、ジョセフ・ルフトとハリ・インガムが発表したグラフモデルなので、2人の名前から「ジョハリの窓」と名付けられました。
「ジョハリの窓」は、もとはコミュニケーション活性化のためのツールとして生み出された心理モデルですが、仕事上の成長にも、かなり役に立ちます。
ジョハリの窓によれば、自分には4つの自己があります。それぞれを認識し理解することで、対人関係に気づきが生まれ、コミュニケーションが活性化し、そして深まるというのです。それぞれの自己について説明しましょう。
Ⅰ 開放の窓 「自分はわかっている×他人もわかっている」自己 | Ⅱ 盲点の窓 「自分は分かっていない×他人は気づいている」自己 |
Ⅲ 秘密の窓 「自分はわかっている×他人は気づいていない」自己 | Ⅳ 未知の窓 「自分は分かっていない×他人も分かっていない」自己 |
Ⅰ開放の窓:「自分はわかっている×他人もわかっている」自己
開放の窓は、自分でも「私はこんな人間だ」と思い、他人からも「○●さんってこんな人」と理解されている自己を指します。これはネガティブ面でも、ポジティブ面でもありえます。
Ⅱ盲点の窓:「自分は分かっていない×他人は気づいている」自己
盲点の窓は、自分は気づいていないけれど、他人からは気づかれている自己を指します。まさに、動画で自分を見たときのように、思いがけない口癖があることでしょう。また、考え方の傾向や短所なども、他人だからこそ見える部分があります。
Ⅲ秘密の窓:「自分はわかっている×他人は気づいていない」自己
秘密の窓は、自分では認識していても、他人には知らされていない自己を指します。「自分にはこんな面があるけれど、他人には知られちゃいけない」と隠している部分です。だらしない面ややめられない癖、過去のトラウマなど、「こんな自分、知られたら恥ずかしい」と思う部分は、誰にでもあるのではないでしょうか。
Ⅳ未知の窓:「自分は分かっていない×他人も分かっていない」自己
未知の窓は、自分も他人も気づくことのない、まだ誰にも知られていない自己を指します。神様にしかわからない自分、とでもいうべきでしょうか。
「盲点の窓」を自覚できれば、成長のチャンスは広がる
自己成長を促したいときに注目するのが、「盲点の窓」です。身近な仕事仲間からフィードバックを得て、「自分は他人から見るとこんな人間なんだ」と気づくことこそが、成長のヒントになります。
このときやってしまいがちなのが、「自分はそんな人間ではない」と頑なに否認することです。自分の知らない自分は、なかなか認めたくないもの。でも、これを知り、足りないところがあれば努力する勇気がなければ、成長の芽はありません。
フィードバックが欲しい、成長したいと考えたら、「私の『盲点の窓』はどこにある?」と同僚や上司に尋ねましょう。こうして、自分の知っている自己の領域を広げていくことが、仕事上の成長につながっていきます。
「秘密の窓」と思っていたのに、実際は……なんてことも!
第三者にフィードバックを求めていくと、「秘密の窓」だと思っていたのに、実際は他人にバレていた、ということを発見するかもしれません。「意外と頑固だよね」「その作り笑顔、初対面の人にもバレてるぞ」「計算づくで考えてるかもだけど、けっこう浅はかかなと……」などなど、手厳しい意見をもらい、ギクッとすることもあるでしょう。
そんなときは、穴があったら入りたいと思うくらい恥ずかしいかもしれません。でも、次の瞬間には「そんなにいろいろバレてるのに、受け入れられている」ありがたみに気づくはず。きっと心がどんどん軽くなりますよ。仕事の成長のためにも、対人関係をさらによくするためにも、ジョハリの窓を有効活用しましょう。
参考:『働く大人のための「学び」の教科書』(かんき出版)