「コロナ太り」のメカニズムと心理から考える5つの対策

「コロナ太り」に悩んでいる人いませんか?スポーツジムなども閉まっており、なかなか運動もままならない。ストレス解消も手段も限られているので、ついつい食べ物を……。そんな「コロナ太り」の対策を心理学的に説明します。

  • 非常事態宣言で太りやすい環境に
  • 5つの「コロナ太り」対策

非常事態宣言で太りやすい環境に

「コロナ太り」はネットなどでも話題になっています。筆者はもちろん、友人たちからも「外出自粛してから体重が……」という声がけっこう多く届いています。

「コロナ太り」は、太りやすい環境因子がいくつも重なっています。そのため太りやすくなるし、やせるのも通常より難しいのかもしれません。外出を控える期間が続きそうですので、これ以上太らないためにも、そろそろ対策を打ちたいところです。

そこで、まず「コロナ太り」の原因について、説明しておきましょう。

①マイナス感情が増している

新型コロナウイルスの問題が発生してから、多くの人は悲しみや恐怖、緊張感を日々味わっています。感染や経済の先行きへの不安、自宅に居続けることからくるイライラなど、これまでの日常生活で感じていなかったマイナス感情を貯めこみがちなのです。

こうしたマイナス感情が、食への欲求を増大することは、よく知られています。というのも食べることでマイナス感情が緩和されるからです。

2007年のマクトとミュラーの実験では、悲しい映画を観た後にチョコレートなどを提供したところ、気分が良くなったと多くの人が回答しています。また糖分が多く、高脂肪・高カロリーの食品ほど「ホッとする食べ物」として、マイナス感情のときは好まれやすいという実験結果もあります。

しかもチョコレートなどで気分が一時的に改善しても、非常に短い時間しか効果がありません。短ければ数分、長くても数時間という程度です。そのため気分転換のために食べ物を使うと、食べ続けてしまうケースがあるのです。

②ストレス発散の方法が少ない

外出自粛のためストレス発散の方法も限られています。スポーツジムなどの運動施設は閉まっている場合が多く、映画・演劇などの娯楽も劇場が閉鎖中です。

こうした環境でも、食でのストレス解消はやりやすいのです。コンビニエンスストアーも開いてますし、自炊が多くなってスーパーなどに買い出しに行く機会が増えてもいます。結果、棚に並んだお菓子の魅力に負けてしまうことが……。

マイナス感情を解消するためのイライラ食いにかわる行動を見つけにくいのも、「コロナ太り」の特徴の一つです。

③生活のリズムが崩れがち

テレワークなどと相まって、これまでの行動パターンが崩れてしまった人も少なくないでしょう。ダラダラとテレビや映画を観てしまい、気づいたら寝不足ということも……。

2005年にコロンビア大学が実施した調査では、平均7~9時間眠っている人に比べて、4時間以下の睡眠の人は肥満率が73%も高かったそうです。32~59歳の男女8000人を調べた結果ですから、非常に信頼性の高い調査といえるのではないでしょうか。

睡眠時間が減ると、食欲を刺激する「グレリン」というホルモンが多く出て、食欲を抑える「レプチン」というホルモンが少なくなるという研究結果もあります。実際、寝不足になると甘い物などの糖質を取りたくなることもわかっています。

つまり寝不足は体型キープの天敵です。

以前と同じような時間に起きて寝ることで生活のリズムを整え、睡眠不足にならないようにすることが重要です。


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5つの「コロナ太り」対策

では、こうした悪条件の中でダイエットを成功させるには、どうしたらいいのでしょうか? 食行動科学などから対策に使えそうな方法をご紹介しましょう。

①負荷の少ないダイエットを実行

もともとダイエットは失敗しやすいものです。

というのも食事の制限がキツイ人ほど、食の誘惑にかられやすく、一度ダイエットに失敗すると過剰に食べてリバウンドする傾向があるからです。

しかも現状は、マイナス感情の原因を取り除くことが困難です。感染が落ち着くまでは、数々のストレスをなんとか“飼いならす”必要があります。こうした環境で無理なダイエットをすれば、リバウンドに悩まされる可能性が高くなるでしょう。いつもの9割程度に食を抑えるなどして、負荷の少ないダイエットにしましょう。

②家族や友人とテレビ電話などで話してみる

人に話を聞いてもらうことは、ストレスの解消になります。外出の自粛によって、食事や飲み会などで話す機会は減っていますが、逆にテレビ電話などで話をする時間は作りやすいかもしれません。

自分も相手もストレスを発散できるよう気遣いながら、友人などに連絡を取ってみるのもいいでしょう。思っている以上に喜ばれるかもしれません。

③購入するお菓子を変える

ついついお菓子を買ってしまう人は、まず間食にどれぐらいのお金を使っているのかを計算してみてください。計算が終わった時点で、ゲンナリした人もいることでしょう。自分を太らせるために費やしている金額の大きさは、ダイエットを支えるモチベーションになるかもしれません。

ただし①でお伝えした通り、いっさいの間食を止めるといった行動はリバウンドにつながる可能性があります。新型コロナウイルスの問題が収まるまでは止めた方がいいかもしれません。

まったく買わないのではなく、小袋のお菓子に変えて、見える場所に小袋を一つだけ置く。あるいは高級なスイーツに変えて、どうしようもない気分のときに食べる。そんな形に間食を変えてみてはいかがでしょうか。

食欲はパッケージなどの視覚、香りなどの嗅覚への刺激で増大します。お菓子を一気に食べつくさないように、置き場所に気を付けるだけでも消費量は違ってくるでしょう。

④新しいストレス発散方法を見つける

食以外のストレス発散方法を見つけるのもいいでしょう。アロマオイルや入浴剤、ヨガ、瞑想など、これまでにチャレンジしていないストレス発散の方法を探してみましょう。

意外なところで自分に合った方法を見つけるかもしれません!

⑤少しだけ運動を

ネット動画にはさまざまな種類の運動がアップされていますので、5分でもいいので身体を動かしてみましょう。身体を少し動かしただけで、自分のベスト体重がわかったりします。体が重いと感じられれば、ダイエットのモチベーションも上がるでしょう。

日常生活にも活用できる心理学に興味のある方は、こちらもご覧ください。

参考:「過食を引き起こす否定的感情に関する実証的研究」(田中久美子)/「高校生・大学生の食行動に影響を与える食物嗜好及び社会心理要因に関する研究」(笠巻純一)/「『寝不足の人』が太りやすくなる3つのワケ」(西川ユカコ 著/東洋経済オンライン)/マンガで分かる心療内科・精神科in新宿 第31回「太る人には理由がある!~過食症」(ゆうメンタルクリニック)/『なぜあなたは食べ過ぎてしまうのか』(岡嵜順子 著/講談社)

   

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「働く人の心ラボ」を運営する日本産業カウンセラー協会では、新型コロナウイルス感染症に関連して不安やストレスにどう対処していくか、産業カウンセラーによるコラムを配信しています。こちらからご覧ください。
※産業カウンセラーは、心理的手法を用いて、働く人やそのご家族の心の健康・キャリア開発・職場環境改善等を支援する専門家です。

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