やる気が出ない、クヨクヨと考えてしまうといった状態からどうすれば脱することができるのか、心理学的にも研究は進んでいます。しかし本日紹介したいのは、脳科学の分野からのアドバイスです。
脳がコントロールするホルモンで気持ちを変える
誰でもモチベーションが上がらないことはありますよね。その原因は、さまざまでしょう。ストレスが重なったとか、無理を続けてきて体力の限界とか、寝不足が続いていたなどなど。しかしこうした状況を判断し、最終的に身体に命令を下すのが脳だとしたら、脳をよい状態に保つことはかなり重要なことかもしれません。
人工知能研究者で脳科学コメンテーターの黒川伊保子氏は、自著『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す!人生を7日間プログラム』で、次のように書いています。
ホルモンさえだしておけばうまく回る脳なのに、ホルモンの出し方を知らないで、とにかく頑張って回そうとするのはナンセンスなのだ。
しかも黒川氏によれば、現代の生活は脳に悪いことが満載で、好奇心や意欲が萎えやすい環境なのだそうです。そこで脳に良い生活を送るための生活のヒント4つを、この本から紹介していきましょう。
①午前0時を寝て過ごす
睡眠の質が脳の状態に影響するという話は聞いたことがあるかもしれません。寝不足になればボーっとするといった症状からも、睡眠の重要性を確認できるでしょう。
しかも午前0時から2時の間は「眠りのプラチナタイム」であり、脳を進化させるホルモン、メラトニンの分泌が盛んになる時間とのこと。その効果について、黒川氏は次のように書いています。
センスを研ぎ澄まして勘が働くようにし、発想力をつくり出し、やる気をつくり出し、細胞を生まれ変わらせ、アンチエイジングに寄与する
これは確かに重要でしょう。
0時の段階ですでに眠っていなければならないので、宵っ張りの人にとってはけっこう難しいかもしれませんが、これは試してみたい方法です。
②朝、5時45分に起きる
早起きすることが重要なのは、よく言われていることですが、5時45分という時間指定は珍しいかもしれません。著者はインド・スリランカ発祥の伝統医療「アーユル・ヴェーダ」が、6時前に起きることを推奨しているからと書いています。実際、5時台後半に起床時間を変えてもらう実験をした結果、午前中の作業の効率があがったといった効果が確認されたそうです。
そもそも「アーユル・ヴェーダ」の推奨企業時刻は太陽に動きとかかわっており、筆者は東京に住んでいるため兵庫県明石(標準時)と東京の時差から5時45分起床という時間を導き出したそうです。本にもそこまで厳密にしないでもよいと書いてありますが、5時台の後半に起きるようにするといいかもしれません。
また起きたらカーテンを開けて朝日を浴びることの重要性も説いています。
しっかりと目覚めるために曇りであっても朝日を浴びることは、睡眠学の観点からも推奨されているので、起きたら朝日を浴びるようにすることも重要でしょう。
③1日1時間はひとり活動に費やす
「ひとり活動」といっても、別に座禅や瞑想をしなくてもよいとのこと。SNSやメールなどの「世間の思惑」から外れて、一人没頭できる時間を過ごせればいいそうです。
料理をはじめとした家事もいいし、ガーデニングや手芸、楽器演奏などの趣味もOK。映画鑑賞や読書はスパイものやファンタジーのような日常から離れたジャンルをお勧めしています。
こうやって脳を現実のストレスから解放する時間を設けてあげることで、直観力を磨くことができるそうです。
④言葉を変える
言葉が行動に影響を及ぼすことはよく知られています。ネガティブな言葉を使うと、ネガティブな情報を集めがちなので、前に進めなくなるのだそうです。
その防止の方法として、黒川氏が推奨しているのが、「でも」「だって」「どうせ」を封印すること。「でも」「だって」は、後ろにネガティブな発言が続きやすいので、使わなければ前向きに過ごせる可能性が高まるでしょう。
また、「どうせ」も自分を卑下する言葉であり、その先に続くのはマイナスの言葉です。ポジティブな気持ちにはなれないでしょう。
生き方を完全に変えるのは、簡単ではありません。しかし、よりよく改善していくことは、チャンレンジし続ければできるのではないでしょうか。今日は脳を活性化される小さな習慣について、『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す!人生を7日間プログラム』から4つ紹介しました。
心理学に興味のある方はこちらもご覧ください。
参考:
『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す!人生を7日間プログラム』(黒川伊保子/集英社)