時間を忘れるほど仕事に集中できる!?「フロー」5つのポイントとは

仕事をしていたら、いつの間にか時間がたっていたことがありませんか?心理学では、時間を忘れてのめり込む状態を「フローに入る」などと言います。「ゾーンに入る」と同じような使い方です。フローで仕事をこなせれば楽しいうえに集中力も高まります。そこでフローに入るためのポイントを整理してみました。

  • 活動自体が楽しくなるフロー
  • フローが頻繁に起こせれば充実した人生が送れる
  • 先入観がフローに入るのを止める

活動自体が楽しくなるフロー

「フロー」は、米国の心理学者ミハイ・チクセントミハイによって提唱された理論です。チクセントミハイはインタビューした画家たちが、絵を制作しているときに空腹や疲労といった不快感に気付くことなく没頭し、作品が完成するとその制作活動に対する興味を一気に失うことに着目しました。

そうした時間感覚を失うほどの没入感を「フロー」と名付け、その状態のときは称賛や金銭的報酬といった外部からの利益も関係なくなると発表したのです。確かに芸術でもスポーツでも、活動に集中しているときは、それ自体が楽しくて報酬のことなど考えません。

モチベーションの研究により、金銭など報酬が、「内的動機付け」(内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている状態)を弱めてしまうことが明らかになっています。

例えば好きで大量のイラストを描いていた人でも、絵を売るようになると報酬がないと描かなくなってしまうといった例です。仕事は報酬を得るためのものですので、仕事のモチベーションを高めたいときに「内的動機付け」が弱くなってしまうのは問題です。しかし、仕事でもフローに入れるなら、高いモチベーションを維持しつつ、高い集中力も維持できます。しかもフローで仕事をすることで、人はより成長できることもわかっているのです。

フローが頻繁に起こせれば充実した人生が送れる

フローに入っている時の感覚は、「流れているような感じ」や一体感です。自転車競技の選手が自転車と自分が一体になっているように感じたりすることがわかっています。通常、自分の行動にも向けられている意識が、活動に全て向けられている状態とも説明されています。

では、どんなときにフローが起きやすいのでしょうか?
よく挙げられるのは、次の3点です。

① 活動の難しさのレベルがピッタリであること
② 目標が明確であること
③ フィードバックが即座に得られること

少し説明書しましょう。
①は仕事と集中力に関して考えればわかりやすいでしょう。難し過ぎれば不安になるし、簡単過ぎれば退屈になります。自分が挑戦するのにピッタリの課題がフローに入るための重要な要素なのです。実際、テニスなどでも、同じレベルの相手と打ち合った方がフローを経験しやすいことがわかっています。

②③を見れば、スポーツだとフローを経験しやすい理由がわかるでしょう。試合に勝つという目標がハッキリしていて、動作の一つひとつが成功や失敗に結びつき、点数によってしっかりフィードバックが行われるというフローに最適の環境が用意されているからです。

また、法政大学の浅川希洋志教授の研究によれば、日常生活でより多くのフロー経験をしている大学生は、自尊感情が高く、日常生活に対する満足感、生きがい感、充実感のレベルが高く、日々の生活に不安が少なく、大学生活に意欲的で、将来に向けて積極的に動いていることもわかりました。

先入観がフローに入るのを止める

チクセントミハイの研究によれば、上記のフローを満たす条件は、自宅より職場で多いことがわかっています。一方で、多くの人が仕事に喜びを見出していないこともわかっています。

つまりフローの条件が揃いやすいのに、フローに入る気にならないのが仕事だとも言えそうです。この背景には

私たちが持つ近代文化的先入観のなかに、(仕事に縛られない)自由時間が幸福の源であるという考え方がある(『職場のポジティブメンタル』島津明人/誠信書房)

そうです。

そこで仕事でフローに入る第一歩は、「仕事は楽しいものになりうる」と認めることだそうです。そのためには自分の仕事を見直し、スキルを向上させる機会を見つけ、楽しみを見つける必要があるそうです。

さらに自分の仕事の恩恵を受け、感謝している人と顧客や消費者などに接することが、フローを経験するのに効果があることもわかっています。

それでは、フロー状態で仕事するためのポイントをまとめておきましょう。

① 仕事のチャレンジのレベルを調整する
② 目標をしっかり立てる
③ 売り上げや処理時間など成果が見えやすい環境を作る
④ スキル向上のポイントを探し、それを追求する面白さを感じる
⑤ 顧客などに会い、自分の仕事の意義を確認する

フローに入れれば、かなり幸せに仕事ができそうです。参考にしてみてください。

心理学はビジネスを効果的に進めるのにも有効です。そんな心理学に興味のある方は、こちらもご覧ください。

参考:『モチベーションをまなぶ12の理論』(鹿毛雅治/金剛出版)/『職場のポジティブメンタル』(島津明人/誠信書房)

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