恋人や夫婦の仲は良い方がいいに決まっています。仲が良ければ幸福感が高まるし、精神的にツライ環境も乗り越えやすくなります。そこでパートナーとの関係を維持するための心理学的ポイントをまとめました。
- 愛する人との関係はとても重要
- 感謝する
- 価値観を尊重する
- 対人関係の距離感を考える
- 話を聴く
- 共感する
- 自分を確認する
- 感情的な反応に対処する
愛する人との関係はとても重要
私たちはときに、恋人や夫婦の関係を軽視してしまうことがあります。一緒に居るのが当たり前になると、その関係からどれほどの恩恵を得ているのかがわかりづらくなるからでしょう。
パートナーとの関係性が良好であれば、困難な状況に陥ったとしても乗り越えやすくなります。また関係性が生活の質を決定すると指摘している専門家もいます。実際、愛する人とのつながりを絶つことは、人間関係とメンタルヘルスにマイナスの影響を及ぶすという指摘をする心理学者もいます。
人生全般を冷静に考えてみると、仕事や娯楽よりパートナーとの関係の方が重要です。それなのに、なぜか私たちは恋人や夫婦のパートナーをないがしろにしがちです。
そこでパート―ナーとの関係を維持する心理学的な方法をまとめてみました。すでに恋人や夫婦の仲が危機的な方は、⑤以降を重点的に読むことをお勧めします。
①感謝する
私たちは相手が変化や向上しないことに苛立ったりするものです。しかし本当にしなければならないのは、相手への感謝だと多くの専門家は指摘しています。ノースカロライナ大学チャペル校のサラ・アレグ氏の研究によれば、感謝を示された方はもちろん、感謝の意を示した方にもプラスの影響があったそうです。もともと感謝の気持ちを表明することは、メンタルヘルスにプラスの影響を与えることが知られています。ポジティブ心理学では、幸福度を高めるため感謝をつづった日記を書くよう推奨しています。パートナーとの良好な関係を長く続けたいなら、少し気恥ずかしいかもしれませんが、定期的にパートナーに感謝の手紙を書くといいでしょう。それは自分自身の幸福感を高めることにもつながります。
②価値観を尊重する
互いの価値観の重なる部分を共有するだけではなく、異なる部分も尊重することが重要です。相手にとって最も重要な価値観を理解するのに、時間がかかることもあるでしょう。ただ焦らずにつながりを深めて、探していくことが大切なようです。そうやって互いの理解を深めていく中で、自分とまったく違う価値観を持っていると知ったりもするでしょう。
それを尊重してください。
気が進まなくてもパートナーの親族の集まりに出席するのは、パートナーが大切にしたいと考えている人間関係だからです。しかし、これが趣味となると、相手が大切にしているのにもかかわらず、バカにしてしまうことがあります。それが決定的にマイナスの意味を持つことを、私たちは理解する必要があるでしょう。
価値観の尊重と同じようなテーマに、性格の違いがあります。
積極的な人からみると、慎重派の行動はまどろっこしく感じるかもしれません。しかし、その行動について議論するのではなく、違いを認識して尊重することが夫婦や恋人の関係性を維持するのには大切です。
自分にはないパートナーの選択を尊重することで、自分が負けたように感じることもあるかもしれません。そんなときはパートナーの選択に、どんなプラスがあるのか考えてみましょう。これまでにない新しい発見があるかもしれません。
③対人関係の距離感を考える
パートナーと長期に親密な関係を育むには、互いの距離感を調整する必定があります。というのもお互いにとって快適な距離は、付き合ってみてからわかること多く、これを間違うと相手への不満を持ちやすくなってしまうからです。例えば一緒に過ごす時間は、どれぐらいが適切でしょうか? 自宅でずっとくっついていたい人もいれば、独りの時間を大切にしたい人もいます。またデジタル領域では、どこまで共有したいのかといった問題もあります。特にSNSでは、互いに共有したい領域が違うかもしれません。一緒の写真をアップしたい人もいれば、そのことに耐えられない人もいるからです。そうした距離感について我慢せずに話し合いましょう。そして相手との距離を尊重することは、パートナーを丁寧に扱っているというメッセージにもなります。
④話を聴く
コミュニケーションが重要なのは当たり前ですが、それはお笑いタレントのような、流れるような会話を期待されているわけではありません(もちろんそうした人も一定数はいますが……)。
重要なのは話を聴くことです。しっかりと聴いていると態度は、パートナーへの興味を示すことにつながります。しかも多くの人は、自分のことを語りたいと思っているので、聞き上手はコミュニケーションを成功させる近道なのです。
⑤共感する
キンゼイ研究所のシニアフェローであるヘレンフィッシャー氏は、高い関係満足度を維持している人間関係においては、正しさよりも共感が重要だと結論づけています。
自分の正しさを声高に主張するより、相手の気持ちに共感することで関係性は深まっていくのです。もちろん一緒に生活していれば、反対意見を言わなければならないこともあるでしょう。ただ、そうした場合でも相手の意見に共感を寄せつつ、別の視点を提示するといった態度が望まれます。
さらに疲れ過ぎていたり、相手と気まずい状況だったりして共感を示せそうもないときには、眠ったり、独りでカフェに行ったり、スポーツジムに出かけたりと一人で行動し、パートナーと距離を置きましょう。自分にエネルギーが戻るまでの時間を稼ぐのです。
パートナーとの否定的な時間を減らすことは、脳科学の側面からもお勧めの方法のようです。というのも人間の脳は厄介なことを思い出しやすい構造になっているからです。
意見の対立が悪いわけではありません。しかし意見の食い違いが大事に発展する可能性があるなら、冷静に話し合えるまで待つ方が長期的にはプラスです。
⑥自分を確認する
親しいパートナーであっても、その考えや感情を正確に把握できるわけではありません。だからこそパートナーとの関係に行き詰っていたら、どうしてそうなったのかを自分の行動や思考から振り返りましょう。そのときにむやみに自分を責めてはいけません。自分にも思いやりを持つことが必要です。
また相手の変化を期待してもいけないそうです。
パートナーとの関係において、自分がどうありたくて、どんな行動をしたいのか、また自分が何を望んでいるのかを考えて、自らの行動を変えれば、それにパートナーが呼応するかもしれません。
いずれにしても、行き詰った関係性を打破する一歩は、自らの思考と行動です。
⑦感情的な反応に対処する
生物は危機的な状況になると、闘うか逃げ出すかを選択します。これはパートナーとの関係でも同じです。ケンカ腰に攻撃してくる人もいれば、目の前からいなくなってしまったり、感情のシャッターを下ろして無反応になる人もいます。
いずれにしても、こうした状態への対処は、相手の感情に近づき寄り添うことだと心理学者のジェリー・スミス氏は指摘しています。優しさと思いやりを持ち、自分にとって相手が大切な存在であることアピールする必要があるのです。
ケガをした猫を助けようと近づいたのに、フーフーと威嚇してくる様子を考えてみてください。パートナーはそんな状態にあります。「大丈夫、大丈夫」と声をかけて保護することで、猫も落ち着いていきます。
もちろん互い興奮しているときは、このような態度で接することは難しいかもしれません。そのときは、まず自分の感情をクールダウンさせて、パートナーに接してみてください。
今日は恋人や夫婦の関係を長続きさせる方法をまとめました。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『メンタルマネジメント大全』(ジェリー・スミス/河出書房新社)