犬好き、猫好き、どちらも嬉しい共感の実験を紹介

ペットと心が通じていると思う人も多いのではないでしょうか。気落ちしているときなどに、なぜか優しい猫や、病気で苦しんでいるときに心配そうに見つめる犬など、ペットとの意思疎通を裏付けるような体験をした人もいることでしょう。そんなペットとの共感について、心理学的な側面から解説していきましょう。

  1. 70%以上の確率であくびはイヌに感染
  2. あくびの感染は親しい人の間で起こる
  3. 違和感を感じやすいやすいのは追加情報
  4. かわいそうなネコに反応する人間

70%以上の確率であくびはイヌに感染

2008年、犬のあくびについて面白い論文を発表したのは、Joiy-Mascheroniでした。実験では29匹のイヌを用意し、イヌと一緒に部屋にいる実験参加者にあくびのマネをさせたのです。すると29匹中、21匹、割合にすると72%という高い確率であくびが伝染したことがわかったのです。

比較するために、口を大きくあけるものの声を出さない、つまり似た動作だけれどもあくびとはいえない行動を人間にとらせた結果では、イヌはあくびをしなかったのです。

実験に参加したイヌの平均年齢は6.4歳と報告されていますので、イヌが高齢だから眠かったということではなさそうです。

動物のあくびに関する実験は、英国スターリング大学のジェイムズ・アンダーソンと滋賀県立大学の明和政子との共同研究で、チンパンジー同士でも行われています。その結果、チンパンジーのあくびのビデオを見せられた6匹のチンパンジーのうち、2匹にあくびの伝染が確認されたのです。

じつはあくびの実験は人間でも行われており、人でもあくびは伝染するものの、6歳未満の子どもはあくびがまったく出ないことがわかっています。しかも2~11歳までの子どもを対象にした実験では、6歳以上は年齢が上がるごとにあくびの伝染は増えていったのです。

あくびの感染は親しい人の間で起こる

「いやいや。ただのあくびでしょう」と言いたくなるのもわかります。しかし、じつはあくびの伝染は共感と大きな関係があることが、実験でわかっています。

イタリアの研究者が、日常生活の中で目撃したあくびの伝染を、なんと1年間にわたって記録。延べ480人のデータを解析したのです。その結果、見知らぬ人では10%にも満たないあくびの伝染が、知人、友人、家族の順に増え続け、家族では50%を超える人に伝染が確認されています。

人間関係が近いほど伝染するという結果は、普段の生活で気づいていないだけに驚く人も多いでしょう。

さて、ここで改めてイヌの実験を見てみましょう。なんとイヌの「伝染率」は70%越え。向かい合って、不自然に何度もあくびをした実験結果と、日常生活で目撃したあくびの伝染率を比べるのはナンセンスかもしれませんが、数字だけ見れば「家族」以上の好成績。

イヌ好き、納得の実験結果といえるでしょう。

違和感を感じやすいやすいのは追加情報

さて、イヌ好きだけが取り上げられて、少し面白くないネコ好きの方々もいるかもしれません。ただ残念ながらネコとあくびに関連する実験データは見つけられませんでした。もともとネコは人の思い通りには動きません。実験対象の動物になりにくいという問題もあるのかもしれません(もちろんネコの心理について研究している方もいますが、なかなか大変そうです)。

ただ、人がネコに共感しやすいという実験データがあるので、紹介しておきましょう。

唐突な質問ですが、恋人の服装や髪型の変化に気づく方ですか?

気づきやすい方は、一般的に気づかない人より褒められることが多いでしょう。また生物的に考えれば、いつもと違う「違和感」を察知することは、危機回避に大きな役割を果たします。擬態した天敵を見破れば危険を回避できるため、生き残る可能性は高まります。

そして人は本能的に、削除された情報より追加された情報に気づきやすいことがわかっています。つまり間違いさがしの問題などでも、品物が消されているより、追加されている方が見つけやすいというわけです。追加と削除、どちらが見つけやすいのかといった傾向は、文章も追加が見つけやすいと明らかになっているので、揺らぎないものと思われていました。

かわいそうなネコに反応する人間

しかし、なぜかネコについては、追加より削除を早くみつけることがわかっています。画像上でネコの目・耳・足・尾などを追加したり、削除したりして実験したところ、目や耳を削除した(目や耳がない)ネコの方が、目を追加した(目が3つある)ネコよりも早く反応したというわけです。

この理由については、画像に対する人の違和感の質と関連しているそうです。違和感の種類は、快・不快、奇異性、憐憫の3因子を5段階で測定したところ、ネコの削除画像は憐憫の因子が高かったことがわかりました。感単に言えば、見た途端に「かわいそう」と思ってしまったわけです。

一方でネコの追加画像は、奇異性が高いことがわかっており、「見慣れない」ネコ画像より「かわいそうな」ネコ画像に早く反応したことが実験でわかったのです。ネコの悲しみへの共感が、本能を上回ったと言うと言い過ぎでしょうか?

どれだけネコは人に愛されているんだと思った人も多いでしょう。

こうやって実験結果を並べると、イヌは人と共感していることがわかり、ネコは人に共感してくれるのかどうかはわからないが、人がネコを愛していることはわかるという、いつも感じているイヌやネコとの関係性に収まってしまうのでした。

いずれにしても、イヌ好き、ネコ好きともに納得の結果といえるのではないでしょうか。

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