ストレスを感じやすい今こそ活用したい、「相手の立場に立つ」4つのステップ

「どうして、そんなこと言うんだろう」と思うことはありませんか? こちらの言いたいことも伝わらなくてイライラしてしまったり……。そんなときに試してほしいのが「パースぺクティブ・テイキング」。相手の視点に立って考える方法です。

  • 話が通じないと感じるのは自分だけ?
  • 自分の主張が完璧ではないことを理解する
  • 相手の立場に立ってみる

話が通じないと感じるのは自分だけ?

「どうも話が通じない」と困ることもありますよね。相手の主張も受け入れがたいし、自分の言い分も納得してもらっている様子もない……。「どうしてわかってもらえないんだろう」と困惑したり、ときに怒りを覚えてしまうケースもあることでしょう。結果的に相手とのコミュニケーションを諦めてしまうこともあるかもしれません。

しかし、そんな状況に困っているのは、自分だけでしょうか?もしかすると相手の方が、もっと困っているかもしれません。自分が相手の主張を理解できないのと同様に、相手も話が通じないことに頭を抱えているかもしれないのです。

私達は物事を一方向から見がちです。視点を変えて別の角度から眺めると、まったく違う形に見えるかもしれないことに、気づかないケースも少なくありません。だまし絵などを思い出せば、認知によって見え方が変わることを実感できるでしょう。

ただし意見の相違は騙し絵よりもやっかいです。というのも、絵と違って意見は自分が正しいと思いがちだからです。

自分の主張が完璧ではないことを理解する

だからこそ活用をお勧めしたいのが、「パースペクティブ・テイキング」(視点取得)です。これは他人の視点になって、考えや思いを想像すること。例えば、テレワークの日数が増えることに反対する上司や家事の分担への不平を口にする夫など、自分と意見が違うなと思う人の立場になって考えてみるということです。

うまく使えれば、共通点が見つけられるかも!

ケロッグ経営大学院のジェイク・ティーニー博士によれば、「パースペクティブ・テイキング」を実践するには、まず自分の意見が完全ではないと理解することだそうです。自分だけが完璧に正しいことなど滅多にありません。そのことを、まず認めましょう。その上で自分の視点や価値観を押し付けずに、いったん相手の意見を受け止め、相手の視点で物事を見ることが大切なのです。

相手の立場に立ってみる

自分の意見が完璧ではない可能性を認めたら、次の4つのステップで「パースペクティブ・テイキング」を実践してみましょう。

①相手の立場を理解する
どうして相手が、そんな主張をしているのか考えてみましょう。
例えば、上司がテレワークにいい顔をしない理由は何でしょうか?上司はテレワークしにくい従業員との不公平さを心配しているのかもしれません。

テレワークを積極的に利用したいという自分の主張とは違う上司の主張を、相手の立場に立って考えてみましょう。

②同じようなシチュエーションを想定してみる
先程の例で言えば、別の視点を持ちにくいテレワークの話は脇に置いて、お互いの主張が重なる職場の不公平感について考えてみましょう。自分が不公平だと感じる状況を想定してみるのです。例えば、仕事の分担がうまくいってなくて、自分だけ残業を押し付けられていたらといった状況を考えます。

③自分の最初の主張について改めて考えみる
②で想定した状況を思い浮かべて、不公平には配慮しない自分の最初の主張を考えてみましょう。
具体的に、もし自分がテレワークできずに会社で一人仕事をしていて、仲間に手伝ってもらいたいのに手伝ってもらうことができず残業が増えているとしたら、あるいはそんな部下を管理する上司が自分だったら、どう感じるでしょうか?

重要なことは、自分のこととして受け止めて、相手の意見に共感できる部分が生まれることです。

④相手が主張する理由をたずねる
①~③まで考えた上で、相手の主張についてしっかりと話を聴いてみましょう。どんな理由があって主張しているのかを、きちんと理解するように努力してみるのです。
このとき必ずしも相手の気持ちに感情移入する必要はありません。相手の状況を、相手の立場に立って把握するようにしましょう。

①~④の過程をたどれば、共通点を見つけることもできるでしょう。テレワークの例で言うなら、仕事の割り振りを考えることで、みんなが自宅で仕事ができる日を作り出せるかもしれません。

米国では大統領選挙によって、国民の分断が深まったと報じられています。違いを分断にしないためには、相手の視点に立って考えてみることが重要でしょう。

非常事態宣言によってストレスを感じやすい今だからこそ、活用したい4つのステップです。

心理学を応用した人間関係に興味がある方は、こちらもご覧ください。

参考:「Don’t Understand? Advice for Perspective Taking」(Jake Teeny Ph.D./Everyday Psych)

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