ネガティブな人でも、毎日を心穏やかに生きるためのヒント

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会社やチームで「ポジティブシンキング」が合言葉のようになっていて、それをとても辛く感じる人はいませんか。ネガティブであってもありのままで平穏に生きるヒントを、心の専門家たちが教えてくれますよ。

  1. 「ポジティブシンキング」を強要されて辛い……
  2. 孤独感、不安、自信がない。ネガティブな自分でも平穏に生きられる方法って?
  3. 何をやっても心配なとき、しんどいとき、不安なときは、話を聞いてもらおう!

「ポジティブシンキング」を強要されて辛い……

ポジティブなものの考え方をすれば、周りが明るく見える。人生がうまくいく。そんな考え方が、最近ではよく聞かれます。確かに、コップに半分残っているジュースを見て「あと半分もある!」と喜べたほうが、「あと半分しかない……」と残念がるよりも、ハッピーであるかもしれません。

実際に、そんなポジティブな考え方を受け入れられる人ばかりではないでしょう。そういうものの考え方を強要されても、辛くなるだけという人もいるのではないでしょうか。どうしても物事をネガティブに考えてしまい、「まだコップに半分もある!」と心に念じたとしても、自分に嘘をついただけ。そしてどっと疲れてしまう……。

孤独感、不安、自信がない。ネガティブな自分でも平穏に生きられる方法って?

会社やプライベートで無理をしてポジティブ思考に合わせていても、「本当の自分は、孤独感にさいなまされていて、常に不安で、いつだって自信がないんだよ!」と叫びたくなる人のために、心の専門家が処方箋を出してくれています。

さまざまなヒントがありますが、いずれにも共通しているのが、「ありのままの自分を受け入れることが、生きやすくなるコツ」というメッセージ。ネガティブな考え方であっても、ありのままの自分で生きられるのなら、毎日が心穏やかに過ごせるのではないでしょうか。

・ネガティブな自分を自覚し、肯定する

まずは自分がネガティブ思考の持ち主であることを自覚し、そんな自分しっかり受け入れて肯定しましょう。自分自身を否定したままでは、毎日がとても生きづらいでしょう。

心理カウンセラーの竹内成彦氏は、自らもネガティブ思考の持ち主であることを著書『「すっごく心細い」がピタリとやむ!』で明かし、30代半ばごろ、ポジティブになろうとするのをきっぱりやめたら、心に平穏が訪れたとしています。ネガティブな自分を受け入れることによって生きづらさから解放され、同時に自分のことが好きになったというのです。竹内氏は、同書の中で次のように書いています。

“周囲の声に惑わされず、自分の「生まれつき性格」が発する声に耳を傾け、自分の「生まれつき性格」が望んでいる行動をとっていきましょう。それが、ネガティ(竹内氏の造語で、ネガティブ思考の持ち主のこと)が心細さを解消し、幸せに生きていく道です。”

“ネガティにしか受け取れない、深く味わえない幸せがあると、私は信じています。だからこそ、胸を張ってネガティらしい考え方や行動の指針をしっかり持ってほしいのです。”

まさにネガティブ思考の持ち主である著者から発せられる言葉には、説得力がありますね。生きづらさを解消するためのスタートは、自分の性格を認め受け入れることが大切なのです。

・自分を大切に扱う

先に紹介したカウンセラーの竹内氏は、ネガティブな人の自己肯定感を高めるために、自分を大切に扱うことが大事とも指摘しています。自分を大事にしていれば、どんどん自分を好きになるというのです。「自分を大事に」とは、なんとも漠然とした話と思いがちですね。

竹内氏は、「自分の大事な人」に接するように、自分に接しなさいとしています。すると、とたんに話は分かりやすくなります。自分の愛する人が仕事で疲れて帰ってきたら、どう接するでしょうか。温かい料理を食べさせてあげたい、肩をもんであげたいともいませんか。少なくとも、「適当に何か、チンして食べておいて」とは言わないのではないでしょうか。疲れたら、美味しいものを食べ、マッサージやアロマ、もしくは自分の好きなことをして、「大事な自分」を自分で癒しましょう。

・不安な人は、依存するのではなく与えることがポイント

精神科医の水島広子先生は、著書『「孤独力」で“ひとりがつらい”が楽になる』の中で、何かに依存するのではなく、誰かに与えるのが不安や孤独を和らげるとしています。なぜかといえば、「もっと、もっと」とモノに依存している間は、どうしても「満たされない自分」「足りない自分」を感じてしまうからとのことです。

なにも、高価なものを誰かに与えるということではないようです。コンビニの店員さんに「お仕事、忙しそうですね」と一声かけるなど、温かく人に接するだけでも、与えたことになると水島先生は書いています。すると与えた側が満たされた気持ちになり、人と繋がっている感覚が得られるとのこと。ほかに「与える」方法として、植物を育てる、小さな寄付をするなどが紹介されています。楽に実践できそうなことではないでしょうか。

自分を遠くから見てみるカウンセラーの中島輝氏は、著書『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』の中で、「不安や恐れは自分を客観視すれば遠のいていく」とし、「ポジション・チェンジ」という手法をすすめています。

ポジション・チェンジとは、客観的な視点を得ることで冷静になるテクニックです。今の自分の状況を、自分とは違う立場から見たときに、どう感じるかをイメージするというのです。

例えば上司から叱責されて落ち込んだとき、「上司の立場から見て、自分はどう映るのだろう」と考えます。すると、「怒るほうも結構辛い立場なのかもしれないな」「きっと、怒ったことを明日には忘れているだろう」などと考えることができ、そこまで落ち込むことでもないという気づきが出てくるかもしれません。辛いときは、相手の立場に立って物事を考えてみる「ポジション・チェンジ」を試してみてはいかがでしょうか。

・不安な感情を切り離す

ネガティブな感情があふれてしんどいときには、「脱フュージョン」という方法を試してみましょう。脱フュージョンとは、認知行動療法の一つで、心理学的に使われるテクニックですが、先に紹介した中島氏は、自分自身に応用するときの方法を紹介しています。

「ああ、不安だ」と感じたら、それを口に出す。そのあと、すぐに「不安だと思ったことに、私は気づいている」と付け加えるのです。こうすれば負の感情と距離が取れるようになり、どんどんネガティブな思考の深みにはまっていくのを妨ぐことができるといいます。

何をやっても心配なとき、しんどいとき、不安なときは、話を聞いてもらおう!

どんな方法を試しても生きづらさが消えないときは、誰かに話を聞いてもらいましょう。誰かとただ会話をするのではなく、自分の話を聞いてもらうことが心の整理に重要であると、多くの心理学者や精神科医が述べています。また、防災の専門家である島崎敢氏も、著書『心配学』の中で、「心配を克服するうえで、話を誰かに聞いてもらうのは効果的」と書いています。

とはいえ、誰かの話をきちんと聞けるスキルは、誰でも持ち合わせているものではありません。話を聞いているつもりで、いつの間にか自分の話になってしまうような人を見たことがありますよね。

話をきちんと聞くことを傾聴と言いますが、傾聴の訓練を受けた人たちが、カウンセラーと呼ばれる「聴くこと」の専門家です。あなたの勤務先に、週に何回かカウンセラーが来ていたり、産業カウンセラーの資格を持っている人がいたりはしませんか。あなたの心を聴いてくれる専門家は、意外と近くにいるもの。辛くなったときには、ぜひ探してみてください。

「聴くこと」の専門家に興味のある方はこちらをご覧ください。

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