どうにも気に食わないという人はいるものです。では、どうして嫌いだと感じてしまうのでしょうか?人を嫌いになる心理を逆手にとって、「嫌い」を「気にならない」に変えるテクニックを紹介しましょう。
- 二択から三択に
- 長所に注目してみる
- 「嫌い」なのは自分と似てるから?
二択から三択に
嫌いな人のことは最初から肌が合わないと感じていることが多いのではないでしょうか。じつは「嫌い」という感情は、危険を察知する脳の偏桃体で判断しているケースがあると、精神科医の樺沢紫苑氏は指摘しています。そして偏桃体の判断のポイントは、「好き」と「嫌い」の2つに分かれている点だというのです。
偏桃体での判断として有名なものに、ヘビに対する嫌悪があります。
人を攻撃する可能性の高いヘビを、ほかの生物より素早く見つける能力が人には備わっています。そして視界に入った瞬間、ヘビは危険だと判断するのです。だからこそ嫌う人も多いのです。じつはクモもヘビと同じように形で判断しています。
このように「危険」と「嫌い」が結びついて判断する場合は、「好き」と「嫌い」の二択しかないのも当然でしょう。しかし人間同士ならヘビのように毛嫌いする必要はありません。人の場合は「好き」か「嫌い」かではなく、「好き」か「普通」か「嫌い」かで判断しようするのだそうです。苦手だと思っている相手の何人かは「普通」のカテゴリーに入ってくるとのこと。
何だか「嫌い」と感じているなら、まず「普通」のカテゴリーに入るのかどうかを考えてみましょう。また「嫌い」な人が複数いるなら、その人たちの誰を「普通」にカテゴライズできるかどうかを考えるのもいいでしょう。
樺沢氏によれば、このように考えるだけで「嫌い」にカテゴライズしていた人の2~3人が0~1人に変化するとのこと。試してみてください。
長所に注目してみる
短所と長所が表裏一体なことは、よく知れています。
例えば「ズボラ」といった短所は、ときとして「おおらかな」という長所に変わることがあるからです。
そんな意識を持って、嫌いな人の長所を7個書き出してみましょう。
愚痴などで短所ばかりをあげつらっていると、自分のイメージの中で嫌いな人の短所や欠点が強化されてしまいます。逆に長所として捉え直すことができれば、「嫌い」が「普通」に近づく可能性が高くなります。
よく「好き」の反対は「無関心」だと言いますが、「嫌い」な人には「関心」を抱いてはいます。とらえ方によっては、相手への評価を変えることができるかもしれませんね。
「嫌い」なのは自分と似てるから?
「嫌い」という感情をまったく違う視点からとらえているのが、行動心理コンサルタントの鶴田豊和氏です。彼は著書『「めんどうくさい」がなくなる本』の中で、自分と同じイヤな部分を持つ人を嫌っているのだと書いています。
だから、自分は何が嫌いなのかを理解するために、「自分のイヤなところとダメな部分を書き出すこと」を勧めています。
確かに自分が苦手だと思うタイプ人の言動が、自分のイヤな部分を思い起こさせてしまうケースはありそうです。普段は出さないようにしているけれど、せっかちで苛立ってしまう性格だからこそ、イライラした人が苦手だといったパターンです。
そして「自分のイヤなところ」は、自分の行動を縛るルールとなっているのだそうです。例えば「怒りっぽい」ところがイヤなら、「怒らないようにする」というルールを自分にも他人にも課しているというわけです。
こうしたルールを発見できたら、そのルールを考えているときの感情を味わってみましょう。嫌いな人の行動、自分の許せない行動について考えてみて、その感情をきっちりと味わうと、感情は役割を終えて去っていくそうです。
感情が去っていったと思えたら、自分のルールを手放した方がいいのかを自問します。自分の行動にも相手の行動にも感情を揺さぶられてしまうルールを持ち続けたいと思うことは、おそらく少ないでしょう。
ルールを手放してもいいと思えたなら、自分のイヤでダメな部分も許してあげましょう。そのかわり、そうした感情を引き起こす状況をつくらないように努力すればいいのです。
例えば「短気を起こさない」というルールが自分にあるなら、ときに短気を起こしてしまう自分を受け入れるようにする一方で、短気を起こしそうな場面に陥らないように事前に環境を整えるようにすればいいのだそうです。
こうして自分のルールを取り外していくと、他人の受け入れも進みます。嫌いだった人も、温かい目を向けられるようになるでしょう。
今日は嫌いな気持ちを変える方法について、まとめてみました。
「心理テクニック」に興味のある方は、こちらもご覧ください。
参考:『精神科医が教える ストレスフリー超大全――人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』(樺沢紫苑/ダイヤモンド社)/『「めんどうくさい」がなくなる本』(鶴田豊和/フォレスト出版)