自分の感情に鈍感になっていませんか?大人になれば怒りや悲しみは抑えるものだと思い込んでいる節があります。しかし自分の感情を無視することで、大きな問題を引き起こしてしまうこと……。「最近、何だか無感情になってきたかも」と感じたら要注意です!
- ツライ気持ちは何かの警告
- 長年、自分の気持ちを無視してきた人に
ツライ気持ちは何かの警告
まず、最初にことわっておかなければならないのは、感情を抑え込むことと感情を相手にぶつけないことは違います。怒りや悲しみをなかったことにしてしまうと、自分の気持ちを無視するのが当たり前となり、しまいは喜びまで感じにくくなってしまいます。
周りの人は楽しんでいるのに自分だけ共感できず、疎外感を感じてしまうといった状態になってしまうことさえあるのです。
セントジョンズ大学のジェフリー・ネビッド博士は、「感情は事実であり合図だ」と指摘します。いくら感情を無視しても、それはなかったことにはならないのです。マイナスの感情は注意すべきだというシグナルであり、それは体にとっての痛みと同じようなものだとも論じています。
世の中には先天的に痛みを感じない人がいます。痛みを感じないことをプラスに思う人もいるかもしれません。しかし痛みを感じないことは、日常生活でのさまざまなシグナルの見落としにつながるのです。「やけどに気付いたのはにおいだった」「足にひびが入っているのに走ってしまった」といったことが当事者の感想を読むと、無痛による体への負担の大きさに驚くでしょう。
同様の問題が気持ちを無視する人にも起きています。
イヤだと感じたら、その原因を調べて修正しなければ、メンタルヘルスが悪化してしまうかもしれません。否定的な感情は心が変化求めているシグナルかもしれないからです。
長年、自分の気持ちを無視してきた人に
問題なのは、長年、自分の感情を無視し続けていると、感受性を戻す方法がわからなくなってしまうことです。そうした状態を改善するためにメソッドが必要になります。
紹介していきましょう!
①感情の語彙を増やす
感情を表す言葉を知ることで、自分の感情に気づくようになると言われても、ピンとこないかもしれません。しかし感情覚と言葉は、非常に密接な関係を持っています。
感情をピッタリ表現するためには、その感情に適した言葉を選ぶ必要があります。「悲しい」のか「哀しい」のか、「もの悲しい」のか「悲哀」なのか、自分の感情がどんな感じなのかを、さまざまな語彙から考えてみましょう。「感情表現辞典」なども販売していますが、Webで類語辞典などを使って自分の気持ちにピッタリの感情表現を探すのもいいでしょう。
②「~すべき」を「~したい」に言い換える
感情を抑圧している人は、「~すべき」と言ってしまう人が少なくありません。この「~すべき」の問題点について、石井光枝さんは自著の中で次のように指摘しています。
「~すべき」という言葉を使っていると、それをやらない自分はダメなんだ、とマイナスの評価からの出発です。
たとえクリアできたとしても、評価はゼロより上には上がりません。やってしかるべきものだと自分に課している事柄だからです。(『なりたい自分に一瞬で変わる 思考クリアリング』石井光枝/ビオ・マガジン)
問題の多い「~すべき」を「~したい」に変えると自己評価が上がります。達成すれば嬉しいといった気持ちになることも多くなり、より感情が解放され達成の可能性が高まります。
③悔しい気持ちを無視しない
「悔しさ」を無視することは難しくありません。仕方ないとあきらめる、大人げないと冷笑するなどなどなど、「悔しさ」を無視する方法はいくらでもあるからです。しかし石井さんは、悔しいことはしっかりと悔しがるべきだと語ります。
何かが欠落していると感じる部分には自分が一番欲している何かがあるので、掘り下げた方がいいというのです。確かに興味のないことには悔しさを感じないものです。つまり悔しいという気持ちは、そこにこだわるべきというサインでありチャンスなのです。
一歩引いて感情を流すのではなく、しっかりと悔しがって、足りない何かを手に入れる努力をしてみましょう。
心理学を活用したライフハックに興味のある方は、こちらもご覧ください。
参考:「Feelings are Facts」(Jeffrey S. Nevid Ph.D./Psychology Today)/『なりたい自分に一瞬で変わる 思考クリアリング』(石井光枝/ビオ・マガジン)