決断するのが苦手、一歩を踏み出すのが難しい。そんなタイプの人はいませんか? 慎重さは大切なことですが、決断を下せないことに、自分自身で苛立ってしまっているようなら、改善する必要があるかもしれません。
- やらない後悔は大きい
- 3つの間違った考え方
やらない後悔は大きい
優柔不断で決断を下せないタイプの人は、リスクを取ることへの不安が大きい人が多いようです。ビジネスなどではリスクを取らないと、物事が進まないことが少なくありません。決断を避けているうちに商機を逃してしまったり、リスクに思いを巡らせている間に仕事を取られてしまったりといったこともあるでしょう。
もちろん無謀な行動がいいわけではありません。成功の可能性もほとんどなく、リスクしかないのに冷静さを欠いて突き進んでいくなど、ビジネスにおいて最も避けるべきでしょう。
ただし多くの人が死ぬ前に後悔して口にすることの一つが、「やっておけばよかった」だとホスピスの医師である小澤竹俊氏は指摘しています。よく言われることですが、やった後悔より、やらなかった後悔の方が大きいのです。
3つの間違った考え方
じつは不安から決断を下せないとき、間違った考え方のクセに影響を受けてしまうことがあります。リスクを大きく感じてしまうようなパターンに陥っているのです。
アリス・ボイズ博士は、このようなタイプの思考パターンを3つ指摘しています。順に説明していきましょう
①難しい部分に固執する
この仕事はとてもできないと感じたとき、仕事を分解してみるのもお勧めです。困難だと感じている仕事のほとんどは、それほど難しくないことを発見できるかもしれないからです。
人は難しいポイントに目を向けがちです。結果、全体を困難だと思い込んでしまう傾向があります。しかし物事を分解し本当に難しいところだけを切り出せれば、その解決法を誰かにたずねることもできるでしょう。
問題はこうした考え方の癖を知らず、自動的にリスクが大きくなってしまっている状態です。一歩を踏み出すかどうかを迷ったときは、本当のリスクが何なのかを捉えるためにも、作業ごとに分解してみましょう。
②サポートが得られないと考えがち
人は仲間からの拒絶に敏感です。それは仲間との協力が得られないことが死に直結する、古代からの人間の歴史と関係があるとアリス・ボイズ博士は指摘します。
結果、周りの人が拒絶する傾向を勝手に読み取り、助けてもらうのは申し訳ない、そもそも助けてくれるはずがないといった思い込みを作りだしてしまいがちです。
頼んでみたら意外にあっさりとサポートをしてくれたといった経験は、誰にでもあることでしょう。他人をサポートしたいという気持ちを持っている人は多いのに、そのお願いを口にする人が意外に少ないという現実もあるのです。
そこでサポートをお願いしたときの相手のメリットを考えてみましょう。拒絶されるかもしれない要素を探すのではなく、受け入れてもらえるポイントも探してみるのです。自分がサポートをお願いされたときに、プラスだと感じることなどを列挙してみるのもいいでしょう。
少しでもメリットがみつかったら、サポートの相談をしてみるのもいいでしょう。意外なほどあっさりと引き受けてくれるかもしれません。
③できない理由を思い描きすぎ
人はできない理由を並べがちです。しかし、よくよく考えてみると、「できない理由」の大半は、根拠のない不安だったりします。つまり実際に動き出したときには、ほとんど問題にならないものです。
もちろん、こうした心の警告によって、大きなリスクを回避できることはあるでしょう。ただ多くの場合、一歩を踏み出さないための言い訳になっています。
こうしたできない理由にとらわれてしまったときは、さまざまな問題に対処できる自分の力を思い出しましょう。さらに実際にどのように対処するのかを考えてみるといいでしょう。過度に不安を感じる必要がないと思えれば成功です。
一歩を踏み出せない不安を「打ち負かさなくちゃ!」と思っている人も少なくないでしょう。しかし不安を大きくする原因となる考え方のクセから不安に対処していくと、不安をコントロールすることができるようになります。ただただ決断を下せないままに時間を浪費しているなら、上記の3つの視点から問題を捉えしてみてはいかがでしょう。
新しい一歩を踏み出せるきっかけになるかもしれません。
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考:「3 Anxiety-Based Thinking Mistakes I Still Constantly Make」(Alice Boyes Ph.D./Psychology Today)