感情に関連するボキャブラリーを増やせばストレスに強くなるのを知っていますか? ちょっと信じがたいことかもしれませんが、科学的にも証明されている話です。その理由を説明していきます。
- 感情は学習で身に着けたもの!?
- 「感情の粒度」が粗いと解決策も見えない
- おすすめは読書
感情は学習で身に着けたもの!?
メンタリストDaigoが書いた『人生を変える 記録の力』(実務教育出版)には、
「自分の不快な気持ちを細かく区分できる人は、そうでない人にくらべて30%も感情のコントロールがうまく、ストレスが大きな状況でもアルコールやギャンブルなどに逃げ込まない傾向があったそうです」
と書いてあります。
感情なんて自然に湧き上がってくるものなのに、どうして細かく区分するだけで、そんなことが起きるの?と不思議に思うかもしれませんね。
ノースイースタン大学のリサ・フェルドマン・バレット博士は、感情は脳が作り出したものではなく、学習して身につけたものだと主張しています。彼女によれば、人が感情を表す言葉を 新たに学習すると それに従って新たな感情が生まれそうです。
例えば、怒りで交感神経の活動が活発になり、心拍数が上がり、 頭にも血が上っていきます。それ自体は生理的な反応ですが、それが侮辱などと結びついている起こった反応であり、その感情が怒りだというのは経験によるものなのです。
ここで重要になってくるのが「感情の粒度」です。
「感情の粒度」は自分の感情をどこまで詳しく表現できるのか」を表します。例えば「感情の粒度」が粗い人とは、すべての悪感情を「サイアク!」と表現するような人です。
朝起きて眠い時も「サイアク」。
上司から怒られたときも「サイアク」。
友人からのメールが返ってこないのも「サイアク」。
このように感情を表現していると、「朝起きたとき」と「上司に怒られたとき」の感情に差が出ません。そうなると単に寝不足で寝足りないという身体的な不快感が、上司の理不尽な態度からくる怒りや友人から返事の来ない寂しさと混じってしまうのだそうです。
すると身体の問題だったはずの寝不足の体まで、心の問題となってしまいます。
「感情の粒度」が粗いと解決策も見えない
リサ・フェルドマン博士によれば、「惨めだと感じるのは、身体的感覚のせいで不快な効果を経験しているから」(TEDトーク)だそうです。
身体的な問題を感情の問題と勘違いして「惨め」とすることで、当人にとっては感情の問題となってしまうのです。実際。うつ病や不安障害などをもつ人たちは情動粒度が粗いことが分かっているのです。
しかも「感情の粒度」が粗い人は、自分の感情があいまいなため、事態を解決する方向性も見えなくなってしまいます。
例えば、上司に怒られたときに「サイアク」とまとめるのではなく、自分の感情をしっかりと振り返えれば、上司への怒りというよりは、周囲の期待に応えられない自身への失望だとわかったりもするでしょう。すると「サイアク」は「落胆」に代わるかもしれません。そこまでいきつけば、これ以上失敗しないように上司からうまい仕事のやり方を聞くといった対策も立てられるようになるのです。
だからこそボキャブラリーを増やして、「感情の粒度」を細かくする必要があります。
おすすめは読書
ボキャブラリーを増やすために有効とされているのは、小説を読むことでしょう。ただし、少し時間がかかるかもしれません。とにかく急いでボキャブラリーを増やしたいなら、『感情表現辞典』などを読むのもいいのではないでしょうか。意味はもちろん用例も付いているので、感情表現の使い方もマスターできます。
感情の粒度を細かくして、ストレスにも強くなってみませんか?
参考:
『人生を変える 記録の力』(メンタリストDaigo/実務教育出版)
『情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論』(リサ・フェルドマン・バレット 著/紀伊国屋書店)