怒りや失望など「負の感情」と上手に付き合う方法

思いのほか強い自分の負の感情に振り回され、疲れを感じていたりしませんか? 「もう顔を見るのもイヤだ!」と感じたり、相手を消してしまいたいと思うほどの怒りを感じたり。そんな負の感情と上手に付き合う方法をご紹介します。

  • 些細な怒りを放っておいた結果
  • 自分の思い込みに気づく
  • 気持ちを書き出して解消する

些細な怒りを放っておいた結果

ちょっとしたイラつきや怒りなどは、誰もが感じるものです。しかし怒りや嫌悪感などがループして、心安らかな日々を送れないようなら問題でしょう。普段は怒りっぽい方でもないのに、特定の人にだけは、はらわたが煮えくり返るような怒りを感じてしまう。そんな自分が許せなくて、怒りをどうにか抑えこんだ後に落ち込んだり……。

そもそもこうした感情は、どうして湧き上がってくるのでしょうか?

コミュニケーション手法の一つであるアサーションを日本に紹介した平木典子氏は、こうした感情について次のように解説しています。

「破壊的ともいえる感情は、実は早期に気づくべきマイナス感情に気づかず、抑圧したり、ためてしまった後で、あふれ出てくるもので、実は、もとは『好きでない感じ』や『困った感じ』であったことが多いのです」

つまり些細な負の感情を見ないようにした結果というわけです。

自分の思い込みに気づく

そもそも負の感情が悪いわけではありません。例えば相手の心遣いのなさに「イヤだな」と思うからこそ、自分の行動も変えることができるのです。不安だったり、不快だったりするといった感情に善悪はないからです。

さまざまな感情を持つことで、内面が豊かになり、他人の感情も理解できるようになります。それなのに自分の感情を抑圧して、見ないふりをしてしまったりすることで、ネガティブな感情が巨大化してしまう場合があります。

そこで重要になってくるのは、

「自分の正直な気持ちに気づき、次にそれをどうしたいか」

を考えることだと、平木氏は書いています。

まず、怒りや困惑、失望などの負の感情が、どこからきているのかを考えてみましょう。相手の行動を許せないと思った根幹に、自分の思い込みがないでしょうか? 「目上の人には丁寧にあいさつすべきだ」「仕事のレスポンスはできる限り早くすべきだ」など、さまざま「すべき」が相手への怒りとなっているケースは少なくありません。周りを見ると感情を害しているのは自分だけといった場合は、特に要注意です。

こうしたときは、自分がイヤな気持ちになってしまったことを、「私」を主語にしたIメッセージで相手に伝えて、違った対応を取ってもらうようにお願いすることもできます。「私はこう思っている」というように、「私」から始まる言い方は、相手を責めないで自分の気持ちを伝えることができます。これだけは気になってしまうといったポイントを共有すれば、気持ちよく付き合えるようになるかもしれません。

また自分のこだわりに気づくことで、その思い込みを手放すことができる可能性もあります。自分の正直な気持ちに気づくことは、こうした点からも重要です。

気持ちを書き出して解消する

自分の思い込みを正すほど冷静でいられない、あるいは自分の気持ちがよくわからないという方には、「エクスプレッシブライティング」をお勧めします。これは自分の負の感情を紙に書き出すもので、テキサス大学オースティン校のジェームズ・ペンネベーカー博士が開発した方法です。

感情を書き出すことでスッキリし、不安やストレスの軽減に役立つと報告されています。また書き出した感情を見直すことで、自分が何を思い、どんなことを感じているのかを冷静にとらえることもできるしょう。

あまり気にも留めていなかった他人の言動に、けっこう傷ついていたと発見することもあるかもしれません。

やり方は、自分の正直な気持ちを、紙にペンで書いていきます。時間は1日20分、4日連続で実施すると効果が高いようです。1日8分でも効果があったという論文もあるようです。

誤字脱字などを気にする必要はありません。勢いに任せて書けばいいので、同じことが繰り返されていてもOKです。

ただし注意点が2つあります。

①書けないと感じた事柄は無理しない
何だか書けないと感じる経験については、無理に言語化しないようにしましょう。書ける範囲をどんどん書き起こしていきます。

自分のため書く
誰かに見せたりするためのものではないので、思ったままに書いてください。

今日は負の感情の扱い方についてまとめてみました。

日常に役立つ心理学に興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:日本産業カウンセラー協会

参考:『自己カウンセリングとアサーションのすすめ』(平木典子/金子書房)/「Expressive Writing」(John F Evans Ed.D/Psychology Today)

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