天気が悪いから、どうもやる気が出ないといった経験は誰にもでもあるでしょう。人の気持ちの面だけでなく、ビジネスにおいても天候はとても重要なのです。そんな事例を紹介していきましょう。
- 気象の変化が体調に影響
- 会議をするなら温度と湿度の管理を!
- 株価にも影響
気象の変化が体調に影響
「気象病」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。「気象病」とは、天候によって引き起こされる体の不調を指します。気圧や温度変化によって、頭痛やめまい、関節痛、疲労感など症状がさまざまです。心理的に不安定になるといったこともあるようです。
気圧や温度変化の激しい季節の変わり目や梅雨の時期に起きることが知られていますが、台風などでも引き起こされるケースが多いようです。日本から遠く離れている台風が、体調に影響を及ぼすことがあるというのですから、油断がなりません。
気象病を引き起こす天候はさまざまなので、自分の体調管理のためにも、どんな天候だと具合が悪くなるのかを知っておくといいでしょう。梅雨に具合が悪くなるなら、大事な仕事はなるべく梅雨前線を避けて入れるようにした方がいいでしょう。
天候は変えることができませんが、備えることはできます。
会議をするなら温度と湿度の管理を!
天候同様に気を付けてもらいのが、温度と湿度です。
環境が人体に与える影響については、古くから実験されており、その結果は無視できないものです。
有名なのはグリフィットが実施した温度と湿度の実験でしょう。
実験参加者には、意見の調査票を見ながら書いた人の評価をするよう依頼しました。ただし一つのグループは温度37.8度、湿度60%の部屋で、もう一つのグループは温度23.3度、湿度30%に設定したのです。その結果適温で評価したグループは、自分と意見が合わなくても冷静に判断をし、同じ意見だったときは好意的な評価をしました。一方、蒸し暑い部屋で評価したグループは、意見が合わない人に嫌悪感を示したのです。
蒸し暑い場所で意見交換するのがプラスにならないことは、多くの人が知っていることでしょう。しかし相手の評価にまで大きな影響を与えることは意識していないかもしれません。
会議で建設的な話し合いをしたいなら、湿度と温度をしっかり調整するようにしましょう。
株価にも影響
夏が暑ければ、クーラーや水着が売れるというのは、当たり前のことでしょう。季節の商品は、冬なら寒ければ寒いほど、夏なら暑いときほど売れるものです。しかし株価と天候に関係があるのを知っていますか?
米国オハイオ州立大学のデビッド・ハーシュレイファー氏は、26か国の天気データとそれぞれの国の株価の関係を調査しました。その結果、どの国でも天気の良い日は、その日の終わりに株価が上昇していたのです。
一方で雨や雪との相関関係は見出せませんでした。
商品の衝動買いというレベルではなく、株の売買まで天候に左右されるとは驚きです。じつは店舗などで天気と売り上げの相関関係を探ろうという動きは始まっています。例えばコンビニエンスストアのおでんが最も売れるのは、1月2月ではなく10月です。体感温度に影響を受けるので、「ちょっと寒くなり始めたな」と感じると、途端に人はおでんが食べたくなるというわけです。
商品の売れ具合と天気との関係には、まだまだ知られていない新たな発見があるかもしれません。
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考:『図解雑学 人間関係心理学』(斎藤勇/ナツメ社)/『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(内藤誼人/総合法令出版)