攻撃的な人に困っている人は少なくないのではないでしょうか。仕事だとまったく会わないわけにもいかないだけに、どう対処すべきか悩んでしまいますよね。そこで、攻撃的な人の特徴や対処法について解説していきましょう。
- 攻撃な人は少なくない
- 攻撃的な人ってどんな性格?
- 対処のポイントは6つ
攻撃な人は少なくない
ストレスフルな世の中だからなのか、ビジネスの世界でも攻撃的な人はかなり多いようです。
2018年12月にエン・ジャパンが35歳以上の転職経験のあるユーザーにアンケート調査したところ、全体の82%がパワハラを受けたことがあると答えました。パワハラをしている人がすべて攻撃的な人とは言えませんが、パワハラの大きな特徴の一つに攻撃性があることは間違いないでしょう。
攻撃的な人への対処法は、いまやあらゆるビジネスパーソンに必須のスキルともいえるのかもしれません。これまで幸運にも、そんな人に出くわしていない方も、ぜひ対処法を知っておいてください。いつ何時出会ってしまうのかわからないのですから。
攻撃的な人ってどんな性格?
では、そもそも攻撃的な人とは、どんな性格なのでしょうか? 『他人を攻撃せずにいられない人』(片田珠美 著/PHP研究所)には
「攻撃欲の強い人が欲しているのは、破壊である」
と書かれています。利害が絡むこともありますが、利害が関係なくても怒りや敵意に突き動かされて壊そうとするタイプもいるそうです。こうなると、いかにターゲットにならないのかがポイントになってくるといえるでしょう。こちらの対応を変えれば、どうにかなるという考え方が通用しないからです。
本書によれば、こうしたタイプと接していると、「何となく疲れて重苦しい気分になる」「徒労感や虚無感を覚える」といった「枯渇した感じ」を持つようになるそうです。
ただ、こうした感情はすでに攻撃された後に感じること。できれば、攻撃される前に気づきたいものです。そこで『他人を攻撃せずにいられない人』から、仮面を被った攻撃性の強いタイプの印象を抜き出してみましょう。
・他人を壊すのが楽しくてやっているみたい
・全てを支配しないと気がすまないみたい
・私を「役立たず」にしてしまいたいみたい
・私の言うことは聞いてくれないし認めてくれない
・口を開けばネガティブなことしか言わない
・侮辱された感じで気力がなくなる
こんな感想を抱いたときは、対象者と距離を置いて観察する必要があるかもしれません。この手のタイプは罪悪感を抱かせるのが得意なので、「自分がダメだから攻撃されているんだ」と思い込んでしまうと、どんどん攻撃されてしまうとのことです。
『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』(小川淳 著/SBクリエイティブ)によれば、攻撃的な人は、攻撃対象者を「弱く、有害な存在」と見なしているそうです。だから、その相手に理解を求めてもムダだと書いています。
相手と理解しあえれば攻撃は止むといった考え方が間違っているとの指摘です。重要なのは理解しあうことではなく、「いつ攻撃してもいい存在でなくなることだ」と書かれています。そして相手を打ち負かすのではなく、攻撃力を徐々に衰えさせていくことが必要になるそうです。このような本書の指摘は、攻撃的な人から身を守るときに重要なポイントとなるでしょう。
対処のポイントは6つ
では、具体的にどのように対処すれば良いのでしょうか?
①攻撃的な人が何を恐れ、どんな劣等感を抱いているのかを探る
『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』は、まず自身が抱いている恐怖感や無力感を和らげるために、相手を観察すべきだと説いています。攻撃的な人はけっこう臆病な人が多いのだそうです。そんな相手の弱点を見つけることが重要とのことです。
たしかに攻撃的な人がコンプレックスの塊だったりすることは、よく聞く話かもしれません。しっかりと相手の弱点をつかむことで、まず自分が冷静になれますし、弱点を知ったことで相手からの攻撃が止むこともあります。
というわけで、まず観察してみましょう!
②できるだけ避ける
理解できない相手の攻撃から身を守るのにベストな方法は避けることです。「勤務時間を変更する」「相手がよく行く場所に出向かない」「異動・転勤を申し出る」といった対策が、『他人を攻撃せずにいられない人』には書いてあります。
闘えばエネルギーと時間のムダ。だから避けられるなら避ける! これはベストな選択肢といえるでしょう。
③「いい人」をやめる
避けたいと思っても、仕事関係などでなかなか難しい。そうした人にとって重要なのは、攻撃的な人があなたに抱かせようと刺激する「罪悪感」を感じないようにすることです。「きちんとした人でいる必要はない」という意識が重要だと、『離れたくても離れられない あの人からの「攻撃」がなくなる本』にも書いてあります。
④相手に無関心になる
攻撃されることであなたが抱く「罪悪感」は、相手に関心があるからこそ生まれるもの。あなたがその関心をなくしてしまうことが、相手の攻撃的な態度を変えていくのだそうです。
⑤感情を隠す
感情を最低限に減らすことで、相手はコントロールできないと感じるようになるそうです。そのとき重要なのは、まったく顔に表情を出さない無表情といったような、過剰な反応をしないことだそうです。
では、実際にどんな表情をすべきなのかを、『離れたくても離れられない あの人からの「攻撃」がなくなる本』から抜き出してみましょう。
【相手の前での普段の表情】
・爆笑 ―― なし
・歯の見える笑顔 ―― 原則的になし
・歯が見えない微笑み ―― あり(笑うときは原則的にこの表情)
・「いい天気だな」という程度の穏やかな表情 ―― あり。これを基本の表情とする
・真顔(無表情) ―― 原則的になし
【怒られているとき】
※本当に自分に非があるとき
・ビクビクした顔 ―― なし
・困り顔 ―― もっと反省を印象付けたいとき
・無念な表情 ―― これを基本とする
・真顔(無表情) ―― なし
・強がり顔 ―― なし
⑥淡々とした態度を貫く
淡々とした態度とは、
「相手が責めようがない程度に、無難なリアクションの範囲内で、最小限に薄い態度」
を指すそうです。
いつも態度が変わらず、きちんと微笑み、きちんと困る様子も示すが、感情の浮き沈みは見せない。そんなちょっとした不気味さを身にまとえばいいようです。 その上で最小限の接触に努めます。余計な仕事は引き受けない、就業後も無駄話はしない。穏やかだけど
取りつく島がない態度が重要
なのだそうです。
攻撃的な人は、すべての人を攻撃しているわけではありません。必ずターゲットにしやすい人を選んでいます。そのターゲットから外れるための方法を、6つほど書いてみました。さらに詳しい内容が知りたければ、参考の図書を読んでみてはいかがでしょうか。
監修:日本産業カウンセラー協会
参考:『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』(小川淳 著/SBクリエイティブ/『他人を攻撃せずにいられない人』(片田珠美 著/PHP研究所)