介護離職はしない!公的支援・制度と会社の理解を得ながら働くつ6つのヒント

超高齢化時代を迎え、親などの介護のために会社を辞めてしまう、いわゆる介護離職の増加が問題となっています。介護離職をすると、経済的にも精神的にもつらい状況に追い込まれます。公的支援や制度と、会社の理解を得ながら働くヒントをご案内します。

  1. 早い段階で地域包括支援センターへ相談に行く
  2. 会社の介護支援制度について調べる
  3. リモートワークの可能性を探る
  4. 産業カウンセラーに相談する
  5. 介護保険サービスを利用する場合はケアマネージャーにも相談する
  6. 介護を経験した親戚や知り合いに話を聞きに行く

①早い段階で地域包括支援センターへ相談に行く

大和総研の調査によると、2017年の介護離職は日本全体で約9万人と、ここ10年で10倍に増えているとのこと。政府は「介護離職ゼロ」を掲げ、介護の受け皿の拡大や、介護と仕事の両立が可能な働き方の普及などを進めている真っ最中です。

そんな介護支援の最初の窓口として大いに役立っているのが、地域包括支援センターです。これは各区市町村に設置されているシニアの相談窓口です。介護、医療、高齢者の生活全般に関するアドバイザーが相談に応じています。このセンターは、今まさに介護が必要となっている状況でなくても利用できます

地域包括支援センターの役割は「介護予防」も含みます。介護が必要にならないように利用するという使い方もできるのです。自分ではなく、親が住んでいる地域を担当している地域包括支援センターに連絡することになります。

まだ相談するには早いのではと思っているかもしれませんが、ぜひ、その段階からセンターへ足を運ぶか、電話で相談してみましょう。高齢者の一人暮らしを見守ってほしい、ちょっとした日常生活支援が必要になってきたなど、日ごろの気がかりを打ち明けてみれば、具体的な支援の方法を提示してくれる可能性があります。

介護が生じ、「どうやって支えていったらいいかわからない」という切羽詰まった状態のときも、まずはセンターに相談してみましょう。介護の専門家が、仕事をつづけながら家族を見守るためのサポートプランを提示してくれます。

②会社の介護支援制度について調べる

地域包括支援センターの利用と並行して、会社の介護支援制度について調べましょう。介護・育児休業法により、1年以上の雇用状況にあるなど一定の条件を満たせば、介護休業を取得できます。期間は、対象家族1人につき3回まで、通算して93日が限度とされています。介護が発生した後、仕事と介護をどう両立させたらよいか考えるには十分な期間ではないでしょうか。

また、介護休業とは別に、介護休暇制度もあります。単発、短時間だけの休みを可能にしている制度で、対象家族1人につき1年に5日の休暇が可能です。通院の付き添いだけ、お昼ご飯の介助だけが必要といった日には、介護休暇の利用が便利かもしれません。

1ヶ月近く休業した場合の介護休業給付については、賃金の3分の2が支払われます。有休や看護休暇、そして介護休業や介護休暇を駆使して、家にいられる時間をどれだけ増やせるか把握しましょう。

③リモートワークの可能性を探る

PC業務の多い人はとくに、リモートワークの可能性を探ってみましょう。職場に、育児などの都合で在宅ワーカーになっている人はいないでしょうか。自分も在宅で仕事をできないかシミュレーションし、また上司に相談してみましょう。

前例がない場合でも、まずは相談するのがおすすめです。親の介護が生じる年代は、会社でマネージャー的な役割を負うようになってくる頃です。介護離職は、会社にとっても長く勤めてくれた人材を失うことになるため、大変な損害を負うことになります。「辞められるくらいなら、ぜひリモートワークを」と認めてもらえる可能性もあるのではないでしょうか。

④産業カウンセラーに相談する

あなたの職場に、産業カウンセラーはいませんか。産業カウンセラーは、肉体的・精神的に仕事で行き詰まってしまった人のケアをする存在です。また、皆が働きやすい職場になるようヒアリングを行い、会社に働きかけてくれる存在でもあります。ぜひ、産業カウンセラーに相談してみてはいかがでしょう。

会社の制度を使っても両立が難しく、リモートワークできる可能性もないとなったとき、「異動を願い出るか」「時短勤務をするか」といった、もっと根本的な仕事のテコ入れが必要になってくるかもしれません。自分一人で考えても答えはなかなか出ません。会社の事情に通じた産業カウンセラーと一緒に考えれば、自分が思いもつかなかった両立策が生まれる可能性が高まります。

⑤介護保険サービスを利用する場合はケアマネージャーにも相談する

地域包括支援センターや役所で情報を得、要介護認定が下りて介護保険サービスの利用が可能になったなら、担当のケアマネージャーがつきます。ケアマネージャーに、仕事と両立するための介護プランについて相談しましょう。居宅介護サービスや施設を利用しながら、平日の日中は何とか自分なしで過ごしてもらえるプランを提案してもらえますよ。

なお、介護保険で受けられるサービスには、訪問型の家事支援や看護・介護、通所型のデイサービスや短期滞在型のショートステイ、特養や老健への入居、介護用具のレンタル、介護リフォームなどがあります。仕事のスケジュールと照らし合わせて、うまく利用しましょう。

⑥介護を経験した親戚や知り合いに話を聞きに行く

最後になりますが、介護を経験した親戚や知り合いに話を聞きに行くのも、かなり有効です。実際に介護を行った人はさまざまな工夫を知っていますし、「ああすればよかった」という後悔もあるでしょう。そういったことも含めて教えてもらうことで、実際にどんな介護を行うか、イメージがつかめるかもしれません。同じ悩みを共有できることは、お互い精神的な安定にもつながります。

参考

介護離職の現状と課題

介護休業制度 介護休業の対象となる労働者

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