やる気に深く関係する「セルフ・エフィカシー」

部下のやる気が感じられないとき、注目してほしいのが「セルフ・エフィカシー」(自己効力感)です。特に自分に自信がなく、おとなしく、自己肯定感の低い部下を持ったら、「セルフ・エフィカシー」に注目することで部下の行動は変わるかもしれませんよ。

  1. 自分の行動を制御できるかどうか
  2. 試練や困難も挑戦に思える
  3. 経験で成長できると思える環境が大切
  4. セルフ・エフィカシーを高める4つ情報源
  5. セルフ・エフィカシーを応用した行動を変える理論

自分の行動を制御できるかどうか

「セルフ・エフィカシー」は「自己効力感」と訳されるもので、「必要とされる適切な行動を自分で選択し、実行する能力を持ち合わせているという信念」です。

つまり、「これならできる」「この程度なら合格できる」「この目標値なら着実に行動すれば達成できる」といった感覚のことです。

こうした感覚は、自分の行動を自分で統制していると感じることで生まれます。

例えば、まったく勉強する時間がないと思うなら、資格試験に合格するとは言えないでしょう。多少とも勉強できると思えるから、目標である合格をつかみ取れると思うわけです。

試練や困難も挑戦に思える

では、自らの行動を制御し、実行できると感じる、セルフ・エフィカシーの高い人はどんな考え方を持ち、どんな行動をするのでしょうか?

まず乗り越えるべき試練や困難を、挑戦すべきものとしてとらえます。また自分の取り組んでいる活動に関心を持ち、長期間にわたって努力を続けます。さらに失敗しても素早く立ち直ることもできるのです。

逆にセルフ・エフィカシーが低いと、困難な課題を避けようとし、失敗や欠点に注目するため、自分の能力や素質に対する自信を失いがちです。

つまり自信を持って行動できる、セルフ・エフィカシーの高いタイプは、より高い目標に向かって、未知の領域にもチャレンジすることができるのです。ビジネスにおいてセルフ・エフィカシーの高さが、いかに重要かがわかるでしょう。


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経験で成長できると思える環境が大切

「セルフ・エフィカシー」が行動にどのような影響を与えるのかを示した実験を、バンデュラが行っています。

彼は実験参加者に課題を与え、ひとつのグループには持っている知能によって結果が左右されると教え、もう一方のグループには努力することで結果が変わってくると教えました。

結果は知能が決めると思わされたグループは、目標を低いところに定めました。間違いを犯すことが低い能力を証明してしまうという意識からでした。また努力がすることが無能力の証明になるため、努力自体を恐れるようにもなったのです。このグループのセルフ・エフィカシーは、実験によって下がっていきました。

一方、能力は努力で獲得すると思わされたグループは、失敗から学んで成績を向上させようとしました。またより高い目標を設定して挑戦したのです。このグループのセルフ・エフィカシーは、実験によって高まっていったのです。

つまり経験の積み重ねによって、よりよく状況に対処と考えられる環境に身をおくほどセルフ・エフィカシーは高まるのです。特に失敗が成長を促すというメッセージは、セルフ・エフィカシーを高める上で、とても重要だといえるでしょう。

セルフ・エフィカシーを高める4つ情報源

①達成体験
成功体験がセルフ・エフィカシーを高めます。ただたやすい成功は、短期間での成果を期待するようになるため、失敗するとすぐに落胆しがちです。本当にセルフ・エフィカシーを高めるには、辛抱して成功を勝ち取る体験が必要となるそうです。

②代理体験
成功したモデルと自分の類似点が高ければ、セルフ・エフィカシーは高くなることが知られています。

③社会的説得
達成の可能性があることを他者から繰り返し言われるとセルフ・エフィカシーは高くなるそうです。説得者の権威や信頼性によっても、高くなる度合いは変わってきます。

④生理的・情緒的喚起
セルフ・エフィカシーは肯定的な気分で上がり、落胆した気分では下がるそうです。

ビジネスでも①~④を使って、従業員のセルフ・エフィカシーを高めています。例えば、最初は優しい課題を与えて成功体験を積ませたり、新人のモデルになるそうな先輩を教育係に着けたりします。さらに上司や先輩が励ましたり、ほめたりしてモチベーションを高めていくことも珍しくありません。

セルフ・エフィカシーを応用した行動を変える理論

セルフ・エフィカシーを応用して行動を変えていく手法に、トランスセオレティカルモデルがあります。

禁煙やメタボの生活改善など、健康分野などで使われている理論です。ビジネスに応用できそうなポイントを簡単に書いてみましょう。

① 関心や興味の程度を聴く

どんな仕事であれば、どれぐらいの興味がわくのか、部下から話を聴きます。ちなみに仕事そのものに興味がない場合、感情的な体験が状況を変えるそうです。例えばお客様から感謝された、実際にエンドユーザーが商品を喜んで使っていたなどの体験は有効でしょう。

② どれぐらいの課題ならこなせるのかを聴く

難し過ぎて落ち込むだけでしょうし、簡単過ぎても夢中になりません。頑張ればできる範囲の仕事を任せることで、徐々にセルフ・エフィカシーも高くなってくるはずです。

③仕事のメリットとデメリットを理解させ調整していく

メリットを意識させ、デメリットへの意識を低下させることで、人は行動を変えようとするそうです。

つまりやる気を失っているように見える部下でも、自己効力感が高まることでしっかり行動するようになるのです。ぜひ、試してみてください。

参考:

「自己肯定感とセルフエフィカシーを高める」 清水安夫 国際基督教大学・上級准教授

『モチベーションをまなぶ12の理論』(鹿毛雅治 編/金剛出版)

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