気まぐれなネコの性格がたまらないと感じる人もきっと多いでしょう。人間なら絶対に許せない身勝手ささえ愛しいもの。でも、ネコが飼い主のことをしっかり把握できていないのなら大問題じゃないですか!?
- ネコは飼い主を把握してる?
- ネコは視覚より聴覚で状況を判断する
- ネコカフェでネコが学んだこと
ネコは飼い主を把握してる?
ネコのすね方に愛を感じてしまうネコ好きもきっと多いはず。
飼い主の出かける気配を察して、留守番が気に食わないネコがいきなりトイレを汚す。そんな様子を見て、「そんなに僕と離れるのがイヤなのか」と抱き上げて頬ずりしてしまう筆者でもあります。
だからこそ、ネコが飼い主をしっかり把握していないかもという「疑惑」は不安になりますよね。
たしかに帰るとゴロゴロとノドを鳴らしてくれるけど、人懐こいネコは飼い主以外にも甘えてノドを鳴らすし。気分がのらないと、見向きもしてくれない日だって……。
どんなに気まぐれでも、やっぱりネコは飼い主のことが大好きなんだ。そんな想い(幻想)がネコへの献身的な行い(ネットなどでは飼い主はネコの「奴隷」と呼ばれたりしますね)を支えているのです!
そんなネコ好きの飼い主たちの心をざわつかせる実験結果を紹介しましょう。
ネコは視覚より聴覚で状況を判断する
まず、お知らせしておきたいのは、ネコは心理実験にものすごく向かない動物だということ。まず気まぐれ、しかも場所が変わると極度に警戒するほどデリケート、さらにエサでつられない。
ラットのようにチーズほしさに、ネコがレバーを押し続けるとは思えません。きっとすぐに飽きるでしょうから……。
そのためネコの気持ちについては、ほとんどわかっていないらしいのです。
しかし京都大学の高木佐保講師は、ネコを使った数々の実験に成功。ネコの心理を解き明かす研究者として非常に注目を集めている方なのです。
そんな高木さんが発表したのが、ネコが飼い主の顔と声を認識しているのかという実験。
そもそもネコは視覚以上に聴覚で状況を把握している可能性が高いと言われています。そのためヒモの先にエサを結びつけて、ヒモを引けばエサがもらえること覚えさせても、エサが付いているヒモと付いていないヒモを平行に並べたり、交差させたりすると、もうネコはエサのあるヒモだけを引っ張ることができないという実験結果があるほどです。
そもそもヒモについたエサより、ヒモで遊んでしまうのではとも感じる実験ですが、とにかく視覚だけの状況を判断するのが、ネコは苦手らしいのです。とはいえ聴覚だけで判断しているとは考えにくく、視覚と聴覚が影響し合っていると高木さんは考えたのです。
ネコカフェでネコが学んだこと
そんな高木さんが考えた実験が、モニターの前にネコを置き、「飼い主」か「知らない人」がネコを呼ぶ声を再生した後、「飼い主」か「知らない人」の写真の組み合わせを変えてモニターに映しました。「飼い主」の声×「飼い主」の顔、「知らない人」の声×「知らない人」の顔、「飼い主」の声×「知らない人」の顔、「知らない人」の声×「飼い主」の顔、の4つの組み合わせです。
この実験で注目したのは、「飼い主」の声が聞こえたのに「知らない人の顔がモニターに映った場合と、「知らない人」の声が聞こえたのに「飼い主」がモニターに映った場合です。
もし声で「飼い主」を判断できるなら、ネコにとって予想外の顔が出てきたとき、モニターを長く見続けるだろうとの予測で実験しました。
しかしネコカフェから実験に参加したネコたちは、声と顔の不一致に反応したのに、家ネコたちは「飼い主」の声と顔の不一致に強い反応を示さなかったのです。
ショックじゃないですか!
顔や声が入れ替わっても、家ネコは気にしないかもしれないのですから。明日、自分の顔が変わっても飼い猫は気付かないかもしれないのです。
「美容院に行ったのに、彼氏が気付いてくれない」といった不満はよく耳にすしますが、「声が別人でも飼いネコは気付いてくれない」とか「顔が別人でも気付いてくれない」といったレベルとなると、ネコ好きたちも呆然でしょう。
じつはネコカフェから参加したネコだけが、顔と声の不一致に反応した理由は、「飼い主」の顔と声の一致だけではなく、「知らない人」の声と顔の関係をよく理解していたかららしいのです。
世の中にはたくさんの人がいて、顔も違えば、声も違うという事実を、ネコカフェ勤務(?)のネコたちは経験を通して学んでいたわけです。
だからといって「明日、顔が変わったら飼い猫は気付いてくれるのか」という問題は解決しないのですが、とにかくネコは視覚と聴覚の両方を使って世界を把握していることは証明されたようです。
参考