アンガ―マネジメントという言葉をご存じでしょうか。怒りをコントロールする技術という意味で、アメリカから輸入された心理学的な考え方です。アンガ―マネジメントができれば、人との関係が円滑になり、組織を率いるのにもふさわしい人格がともなうと言われています。具体的にどのようにすれば良いのか、怒りをコントロールする方法をご紹介します。
- 「怒りを感じたら6秒待つ」のがいい、ということはわかるけど
- 対面ならゆっくりと水を飲む
- 電話なら「ちょっと待ってね」と言うだけで良い
- メールはすぐに返信を打たない
- 自分がその場から離れる
- 怒りの下に隠れた自分の感情を探ろう
「怒りを感じたら6秒待つ」のがいい、ということはわかるけど
アンガ―マネジメントの手法として有名なのが、「怒りを感じたら6秒待つ」というものです。怒りは瞬間的に湧くものであり、6秒待てば一時的な激情は通り過ぎていくため、冷静に話ができるようになると言われています。
しかし、「それができたら世話はない」と感じる人もいるかもしれません。確かに緊迫した状況での6秒間の沈黙は、意外に長く感じるかもしれません。
そこで6秒間、どのようなことをして耐え抜けばよいのか、対面、電話、メールそれぞれのパターン別にアイディアをご紹介しましょう。
対面ならゆっくりと水を飲む
相手と対面している場合、最も自然に6秒待てるのが、水を飲むという方法です。仕事場では、デスク周りにいつでもペットボトルの水やお茶、コーヒーを用意しておきましょう。部下が顔をこわばらせながら報告に来たとき、コップに水分を満たすことを習慣づけるのがポイントです。温かいお茶であれば、心を緩ませる作用もあります。
電話なら「ちょっと待ってね」と言うだけで良い
電話で怒りを感じたときは、急に沈黙が訪れたら相手を不審がらせてしまいます。用事が生じたかのように、「ちょっと待ってね」と言って、いったん耳から電話を外しましょう。6秒数える間、目を閉じて深呼吸します。電話を置いて、一度相手からの情報を遮断するのがポイントです。
メールはすぐに返信を打たない
「着信後即読んで、即返信」を心がけている人は、怒りのままにメールを打ってしまいがちです。相手のメール内容に自分がかなり怒っているなと感じたら、すぐに返信を打つのはやめましょう。いったん別の作業を行ってから、もう一度メールの文面を読んでみます。先ほどよりも冷静な返信ができるようになっている自分に気づくはずです。
自分がその場から離れる
あまりに爆発的な怒りを感じたときは、自分がいったんその場から離れるのも有効です。トイレに行く、コーヒーを買いに行くなど用事を見つけて相手から距離をおきましょう。
夫婦げんかなどでどちらかが家を飛び出してしまい、「話し合いから逃げた」と相手から非難されるケースがあります。これはアンガ―マネジメントの手法からすれば、逃げているというよりも、自分の怒りから相手を守る行為であるとも考えられます。
怒りの下に隠れた自分の感情を探ろう
6秒後には、怒りという反応が薄まり、自分がどのような感情を持ったのかが見えるようになるはずです。そう、アンガ―マネジメントでは、怒りは「感情」ではなく「反応」であるという考え方をします。部下の行動によって、自分がどう思ったかを具体的に言語化してみましょう。
例えば、部下が大事な会議に遅刻をしたとき、開口一番に「何をやっているんだ!」と怒鳴るよりも、「どうして遅刻した? 理由がわからないから、心配したよ」と声をかけたほうが、部下の反省は深くなるはずです。今度は「あなたに心配をかけさせまいと」遅刻しないよう努めたり、どうしても遅刻しそうなときは一本連絡を入れたりというようなことが素直にできるようになるでしょう。
部下を正しく叱り、反省を促すことで、リーダーとしての信頼を積み重ねていきましょう。まずは6秒待つ、偽らざる自分の感情を知る。簡単そうで難しい2つのことを、ぜひ実行してください。