食事制限や運動など、何をしてもやせられないと悩んでいる人はいませんか。心理効果を使ったダイエットにチャレンジしてみましょう。方法は、いたって簡単。3つの心理現象が、あなたのやせ願望を叶えてくれますよ。
- ひとつめ:100均でもいいから小さい器を用意して
- ワンシンクのポップコーン実験
- ふたつめ:「食べても太ることはない」と念じながら食べる
- けっこう効果ありなプラシーボ効果
- みっつめ:飲み物にはトロミを与える
- テクスチャーによる満腹度の違いは実験でも確かめられている
- 心理効果を駆使して、無理のないダイエットを!
ひとつめ:100均でもいいから小さい器を用意して
まずは、新しい食器を買いに走りましょう。今までの食器は、少し大きすぎたかもしれません。安いもので十分なので、小さめのごはん茶碗と汁椀、おかず用のお皿を一そろい購入します。思い切って、子ども用でもいいかもしれません。
実は、満腹感は食器の大きさと結びついているのです。ある心理実験が、それを証明しています。
ワンシンクのポップコーン実験
イグノーベル賞の受賞歴もあるブライアン・ワンシンクは、映画館へ行く人々を対象に、心理実験を行いました。大きなサイズの容器に入れたポップコーンと、小さなサイズの容器に入れたポップコーンのいずれかを渡したのです。どちらも中身は一人分よりも多めの量が入っていました。すると、大きなサイズのポップコーンを渡された人は、小さなサイズを渡された人の1.5倍もの量を食べました。
ワンシンクは、コーネル大学栄養学部の学生にも同じような実験を行いました。アイスクリームを用意し、半数の人には大きめのアイスクリームスクーパーと大きめの容器を渡し、もう半数の人には小さめのアイスクリームスクーパーと小さめの容器を渡して、好きに食べるようにといいました。すると、栄養学の知識がある学生たちであるにもかかわらず、大きめのスクーパーを渡された人たちのほうが、1.5倍ものアイスクリームを平らげたのです。
この実験結果から、食器の大きさが食欲を左右することがわかります。小さな食器を用意すれば、自然に食欲が抑えられるというのは、シンプルで実践しやすいですね。
ふたつめ:「食べても太ることはない」と念じながら食べる
次に、「この一口で太ってしまう」と思いながら食べるのではなく、「これを食べても、太ることはない」と念じながら食べてみましょう。太ることにもはや恐怖を覚えている人には少し難しいかもしれませんが、「太ってしまう」と思い込んでいること自体が、肥満を呼んでいるかもしれないのです。
けっこう効果ありなプラシーボ効果
プラシーボ効果という言葉をご存知の方も多いでしょう。実際にはただの小麦粉を渡されているのに、「この薬には効果がある」と信じ込むことで、本当に病気が快方に向かった心理実験が有名です。
プラシーボ効果が実際の生活にも働いていると考えると、「この一口で太ってしまう」と思い込むことで、本当に太ってしまっているのだと解釈することができます。ダイエットをしている人は、肥満になってしまった自分の姿を想像して「こんなふうにはなりたくない」と思ってしまいがちです。しかし、肥満の姿を強く頭に思い描けば描くほど、外見がそれに近づいてしまうとしたら、恐ろしい話だと思いませんか。
頭に思い描くのは、ヤセた自分の姿にしておきましょう。「こんなふうになりたい」と強く念じるのです。そして、「これを食べても太らない」と強く思いながら食事を楽しみます。実際、次の日体重計に乗れば、体重がそれほど変動していないことがわかるでしょう。
みっつめ:飲み物にはトロミを与える
普段何気なく口にしているドリンクやスープに、トロミを与えてみましょう。片栗粉などを加えるのもいいですし、子ども用や介護用に売られている粉末を使えば、より手軽です。トロミ成分はでんぷんであることが多いので、カロリーを気にする人もいるかもしれません。そんなときは、食物繊維を含む商品を選んでみましょう。
テクスチャーによる満腹度の違いは実験でも確かめられている
実は、食べ物の食感によって満腹度が変わることもまた、心理実験によってわかっています。さらさらした飲み物よりも、トロっとした飲み物のほうが満腹度が高いというのです。トロミをつけるだけで自分の脳が錯覚するをだませるのなら、うれしいですよね。
とくに冬は、トロミのついた飲み物のほうが冷めにくく、食事の満足度がアップするという点でもおすすめです。夏は思い切って寒天寄せなどにしてもいいでしょう。食物繊維が豊富で、腸の動きも活発になりますよ。
心理効果を駆使して、無理のないダイエットを!
ダイエットというと、ひたすらストイックに頑張らなければと思いがちですが、それでは息が詰まってしまいます。なにより、食事も人生も楽しくなくなりますよね。心理効果をうまく使い、自分をだまして賢くダイエットしましょう。
参考
『その部屋のなかで最も賢い人』(青土社)p.74