「ネコの手も借りたい」ということわざのとおり、ネコが仕事に役立たないなんて思っていませんか?それはとんでもない誤解かもしれません。ネコのかわいさが集中力まで変えるという、ネコ好きには堪らない事例をお教えします。
- かわいいネコの動画や画像は至高
- かわいい写真を見て集中力アップ!
- ネコへの愛が、ネコの異変に対する敏感さを生む?
かわいいネコの動画や画像は至高
世の中にスマホが普及し、動画サイトやSNSを時間と場所を問わず楽しめるようになって、一番良かったと思うことは何でしょうか。気になるテレビ番組を観やすくなった? それとも大好きなタレントやアイドルの最新情報をチェックしやすくなった? もちろん友達同士のコミュニケーションも手軽で便利になったでしょうし、メリットは数え切れません。
でも、ネコ好きの筆者が誤解をおそれずにあえて言いますが、一番良かったことといえば何といってもネコ! かわいいネコの動画や写真をいつでもたくさん見られるようになったという、その点に尽きるでしょう。
TwitterやInstagramで最初に少し設定をしてしまえば、あとは黙っていても毎日勝手にかわいいネコの動画や画像がアプリ画面に映し出されるようになるんですから、ネコ好きにとってはまさに福音。
こんなことを書くと、ネコ派にとっての永遠のライバルである犬派の方々や、ほかの生き物が好きな方がお怒りになるかもしれません。そういったみなさんもここで記事を読むのをやめず、ぜひこれから先の話については「ネコ」の部分を思い思いの好きな生き物の名前に置き換えながら読んでみてください。
かわいい写真を見て集中力アップ!
2012年に世界的に話題になった、広島大学大学院の研究があります。それは、かわいいものを見ると集中力がアップするという内容で、動物の赤ちゃんの写真を見てから頭や手先を使う作業をすると、見ていないときよりも作業の成功率が上がるという実験結果が報告されていました。なぜそのような結果が得られるかというと、かわいいものの写真を見ると、「もっと近づきたい」、「もっと細かく見たい」という気持ちが高まるので、細部へ集中する力が上がるからではないかといわれています。
なお、動物の写真で行った実験でも、成体の写真より赤ちゃんの写真を見た被験者の成功率が上がったので、究極のかわいい子ネコ画像や動画でも手に入れられたら、それを見ることでいつでも集中力を高められるのかもしれません。
ただし、こちらの実験を行った大阪大学大学院の入戸野宏教授は2018年のインタビューで「ハマりすぎると仕事モードに戻れない弊害もある」という海外の研究結果に触れており、「かわいいものを見せる時間は1分~1分半という長さ」が効果的ではないかとコメントしています。
休憩時間に大好きなネコの画像や動画を軽く見てパワーをチャージできたら、すぐに仕事に戻るというのがよさそうです。
ネコへの愛が、ネコの異変に対する敏感さを生む?
かわいいネコ写真を見たときの集中力の高さを示す、心理学にまつわるエピソードが他にもあります。
何かの写真に対して、ものを一点追加した写真と一点削除した写真をそれぞれ用意し、間違い探しのようにして何が追加・削除されたのかを被験者にこたえてもらう実験が行われました。このとき人間が敏感に反応できるのは追加された画像の方なのだそうです。削除されたものになかなか気づきづらいというのは、たとえばよく通る道や商店街に新しいお店が出来たらすぐに気づけるのに、閉店して無くなってしまったお店にはなかなか気づけないという状況を思い起こすと納得がいくのではないでしょうか。
ただしこの実験には例外があって、何かの物やシーンの画像で試すと追加の方が気づきやすいのに、ネコの画像で同じことを行うと削除の方に気づきやすくなるのだとか。対象画像をネコにして削除を施すとなると、わざと目や耳、足、しっぽを消すことになるので、被験者が「かわいそう」という憐憫の感情を覚えて敏感に反応したのではないかと考えられています。
ネコへの愛情や共感が、通常の人間の性質を超えた反応を呼び起こすだなんて、ネコ好きとしては非常に興味深いエピソードですね。
愛すべきかわいいネコたちは、こちらが思っている以上に人間にパワーを与えてくれる素晴らしい存在なのかもしれません。
参考
「The Power of Kawaii: Viewing Cute Images Promotes a Careful Behavior and Narrows Attentional Focus」(入戸野宏)
『意識的な行動の無意識的な理由』(越智啓太 著/創元社)
ライブドアニュース 新R25