仕事をするとき、ジョブプロセスを意識して回していますか?広く知られているのが「PDCA」の考え方です。しかし近年では、このPDCAに替わる新しいサイクルが、次々と提案されています。紹介していきましょう。
- じつはいろいろあるジョブプロセス
- PDCA
- CAPD
- PDR
- OODA
- STDL
- FFA
- 大事なのは、サイクルを回すこと
じつはいろいろあるジョブプロセス
まず初めに、ジョブプロセスは「古いからダメ」「新しいから取り入れよう」ということではなく、自分やチーム、そして仕事の特徴に適したものを採用することが大切です。6つのジョブプロセスのうち、ピンときたものがあれば、自分の仕事内容に当てはめて活用してみましょう。
PDCA
PDCAは、「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Action(改善)」の頭文字をとった用語です。業務の改善や効率化を行いたいときに、この4段階を繰り返すことによって継続的にブラッシュアップを行っていきます。
もともとは、生産技術における品質管理のプロセスとして、長く日本で使われてきました。計画を立て、実際に仕事をしたことを評価し、計画に沿っていない部分や気づきがあった部分を改善するというサイクルを回すことで、作業のレベルアップを図ります。
CAPD
PDCAの順番ではなく、CAPDの順番で仕事を回したほうが効率的という考え方があります。「P(プラン)」から始めるというのがそもそも効率的ではないというのが、CAPDを提唱する人の主張です。まずは現状を検証する「C(評価)」から始めたほうがよいというのです。
なるほど、日々の買い物でも、買い出しリストを一からつくるより、冷蔵庫を開けてありものをチェックする方が早いですよね。そのうえで「キャベツがあれば回鍋肉ができる」「この調味料があったらもっと良いよね」と思い(「Action【改善】)、買い出しリストに加えていく(「Plan【計画】」)のが一般的です。
まずは現状を振り返り、改善点を洗い出すことから始めるサイクルがCAPDです。もしかしたら、日常業務ではすでにやっていることかもしれません。
PDR
PDRとは、「Prep(準備)」「Do(行動)「Review(見直しと学習)」の頭文字をとった用語です。Prepは、Planよりもシンプルな「準備」を意味します。「行動の目的は何か?」「そのためには何をすべきか?」だけを考え、準備を行うのです。そして実行し、最後に見直しと学習があります。
PDCAと違うのは、PDCAの「Check(評価)」は「Do(実行)」対しての評価なのに対し、「Review(見直しと学習)」が「Prep(準備)」に対しての検証であるということです。準備の正しさを検証すれば、あとは行動に移すだけ。「ダンドリ八分」的な考え方と言っていいでしょう。
OODA
OODAとは、「Observe(観察)」「Orient(仮説構築)「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の頭文字をとった用語です。変化していく現況をじっくりと観察し、情報を集めることから始めるOODAは、業務改善や効率化よりも新しい事業を立ち上げるなどといったダイナミックな課題に向いています。
新規プロジェクト立ち上げのときにはまずOODAを行い、業務がまわってきたらPDCAやCAPDに切り替えるというのもいいでしょう。
STDL
STDLとは、「See(観察する)」「Think(考える)」「Do(実行する)」「Learn(学ぶ)」の頭文字をとった用語です。現状の観察と分析から始め、検討を行い、実行した後は成果を学びます。そして、学びから改善点を見出し、ブラッシュアップにつなげるのです。思考型のブラッシュアップスキルなので、チームよりも一人で仕事をする傾向のある人に向いているといえるかもしれません。
FFA
コーチングのプロとして活躍する久野和禎氏が提案しているのが、FFAという考え方です。「フィードフォワード」と「アクション」の2つのプロセスを回すので、FFAと名付けられました。
フィードフォワードとは、「フィードバック」をもとに作られた言葉です。フィードバックとは、上司や同僚などが本人の過去の仕事に対して評価を行うことを指します。対してフィードフォワードは、本人に仕事の反省はさせるものの、未来に目を向けるように言葉がけを行います。
具体的には、「この仕事、どうだった?」と言うことで気づきを促し、「これからどうするの?」と尋ねることで、改善点を次に活かすためのヒントに、自ら気づかせるのです。「次はどうしたらいい?」と言葉をかけることで、本人は過去の取り返しのつかない失敗にこだわることなく、未来に目を向けられます。
このフィードフォワードが済んだら、次は「アクション」です。改善点を実行し、それをまたフィードフォワードするという、シンプルな2つのサイクルで仕事をブラッシュアップしていきます。
大事なのは、サイクルを回すこと
どの方法にも共通しているのが、サイクルを回していくことです。繰り返し検証と改善を行うことで、業務やスキルのブラッシュアップが可能になります。そう、継続的な実行が何より大事!与えられた仕事を「Do」しているだけでは、成長はありません。どのジョブプロセスを選ぶにせよ、忍耐強くサイクルを回していきましょう。
参考:『働く大人のための「学び」の教科書』(かんき出版)
『小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい』(中経出版)
『1分で仕事を片付ける技術』(あさ出版)