くよくよ、イライラしがちで、生きづらさを抱えている人はいませんか。「インナーダイバーシティ®」の考え方を知り、自分にも、他人にも寛容になりましょう。すると、ぐっと生きやすくなりますよ。
- ダイバーシティって?
- 「インナーダイバーシティ®」って?
- 心理学者リンビルの「自己複雑性の理論」
- 「みんなちがって、みんないい」を自分自身にも言い聞かせて!
ダイバーシティって?
ダイバーシティとは、「多様性」のこと。今、性別や年齢、学歴、国籍などの違いによらず、さまざまな人材を積極的に活用しようという考え方を「ダイバーシティ」と呼んでいます。少子化により日本の生産年齢人口が減り、今後も減少が想定されるためです。
しかし、国力対策の有無にかかわらず、ダイバーシティは実り多い人生を送ろうとするうえでとても大事な考え方といえるでしょう。足腰の悪い高齢者、活発に動き回る小学生、目や耳に障がいのある人、外国人などなど……。五体満足で、健康で、日本の社会人としての『常識』をわきまえている日本人」とばかり接していると、そうではない人に対面したとき、どう接したらよいかわからなくなります。
実は、日本のビジネスシーンでの「常識」は、本当に狭い範囲でしか使えないものかもしれません。広い世界から見れば、そんな「常識」にとらわれているあなたのほうが、異質だったりするのではないでしょうか。狭い世間にとらわれて、そこからはみ出している自分や他人を許せずにいるなんて、息苦しくありませんか。
「インナーダイバーシティ®」って?
「インナーダイバーシティ®」とは、自分のなかの多様性のこと。日々、長い時間を会社の中で過ごしていると、自分の中の多様性には気づきにくいものです。でも、実は「社会人であり、〇社の社員である自分」のほかにも、「男性」であったり、「父親」であったり、「後期高齢者の息子」であったり、さまざまな側面があるはずです。
それは、内面性についても同じことがいえます。強い部分もあれば、弱い部分もある。頑固だったり、忘れっぽかったり、いつもは几帳面でもある部分ではいい加減だったり。外向的な日もあれば、誰とも会いたくない日もあったり……。
自分のなかの多様性に気づき、受け入れることができれば、何か失敗したときも「そんなときもある」と動じずにいられるし、他人の多様性についても認めることができるのではないでしょうか。
「インナーダイバーシティ®」は、「パワハラ」という言葉を作ったことで知られる「クオレ・シー・キューブ」が提唱している概念です。自分の多様性を見つめれば、他者の多様性を受け入れるための下準備ができるとし、自分自身も多様な側面を持っていることに気づくことの重要性を説いています。
心理学者リンビルの「自己複雑性の理論」
心理学者のリンビルによって構築された考え方に「自己複雑性の理論」があります。習慣化コンサルタントの古川武士氏によると、この理論は簡単にいえば「自分を多面的に捉えず、単純に捉えている人は挫折に弱いが、自分を多面的に捉えている人は挫折に強い」という考え方だそうです。
自分を「社交的な人間だ」と考えていれば、「誰にも会いたくない」と思ったときに「自分らしくないな」と責めてしまいがち。「ポジティブ思考ができる人間だ」と捉えていれば、ネガティブ志向に陥ったとき、極端に落ち込んでしまいます。
その点、「私だって、そういうときもあるよね」と考えられる人はメンタル面で強い、ということです。ブレない強さも大事ですが、ブレる自分を許せる強さも、持ち合わせていたいものですね。
「みんなちがって、みんないい」を自分自身にも言い聞かせて!
「インナーダイバーシティ®」は、自分も他人も許し、そのままを受け入れる姿勢を身につけるための考え方です。金子みすゞの詩の一節で、広く知られている「みんなちがって、みんないい」を、自分自身に向けても言い聞かせてみてはいかがでしょうか。ちなみに、金子みすゞの詩の原型は「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。」です。比べる対象が、人ですらありません。それくらいおおらかに生きたいものですね。
参考:『マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣』古川武士、ディスカヴァー(心理学者リンビルの「自己複雑性の理論」)