ずっと時間に追われているなと感じる人も多いでしょう。仕事も忙しい、家事もしなければいけないし、家族との時間も大切、友人との時間や自己研鑽の時間も捻出したい。そんな欲張りなあなたにおすすめしたいのが、ピック・スリーです。
- アンバランスがもたらす幸せ
- ルールとカテゴリー
- やることを絞った方が幸福
アンバランスがもたらす幸せ
ワークライフバランスを考えて生活することは、当たり前のように言われています。とはいえ実現するのは簡単ではありません。働き方改革が進められているとはいえ、人出不足は解消していませんし、仕事の効率化も一気には進まないからです。
そんな状況に頭を痛めている方におすすめしたいのが、今話題の書籍『ピック・スリー 完璧なアンバランスのすすめ』。この本の主張はごくごく簡単なものです。人生のカテゴリーを、「仕事」「睡眠」「家族」「運動」「友人」に分けて、毎日、その中から3つだけを選んで全力投入するというもの。
短期的にはアンバランスでも、長期的にバランスを取っていけばいいのでは、という提言になっています。
著者はフェイスブックの創業者メンバーであり、起業家としても世界的に注目されている人物です。また作家、アニメやミュージカルなどのプロデューサー、3児の母でもあるため超多忙な生活を送っています。
フェイスブックの創業時には、仕事の息抜きのために仕事をするという、とんでもない労働をこなしてきた経験もあるとのこと。その当時は、すべての時間を仕事につぎ込まざるを得なかったとも書いています。
そこまでひどい生活から抜け出したとはいえ、これだけの仕事をこなしていたら時間が足りないのは当然といえるかもしれません。しかし彼女を追い詰めたのは、理想のワークライフバランスを実現できないことへの罪悪感だったそうです。
その一方で次のように書いています。
過去20年ほどの人生を振り返っても、とりわけ大きな達成感と誇らしさを抱いた最高の瞬間―生きていれば曾孫に聞かせたい瞬間―は、決まってアンバランスになるのを自分に許したときに訪れた。バランスを取ることを選んでいたら、今日のように幸せな私はいなかったはずだ「バランスの悪い」人生でよかった!
著者ほどバランスの悪さを全肯定できる人は少ないかもしれませんが、とりあえずバランスのよい生活を過ごせない罪悪感を取り去るだけでも、気持ちは楽になるでしょう。
ルールとカテゴリー
では、もう少しピック・スリーを詳しく紹介していきましょう。
まず、5つのカテゴリーの問題です。先にあげた5つのカテゴリーは、一般的なものよりやや広いので注意が必要です。
・仕事
「自分の時間を差し出し、その見返りに何らかの価値を得ること」を「仕事」と定義しているので、学校の授業や過大、ボランティアもこれに含まれます。
・家族
血縁にこだわる必要はなく、どんな「家族」であってもいいと書いています。
・運動
体を動かすだけではなく、セルフケアもこのカテゴリーに入っているので、マインドフルネスや体によい食事なども「運動」に含まれます。
・友人
一般的な「友人」だけではなく、趣味や個人的な興味、自分に喜びを与えてくれる活動も含まれます。
さて、カテゴリーを理解したら、ピック・スリーのルールです。
①3つだけ選ぶ
②罪悪感を持たない
③選んだことに全力で取り組む
④選択したカテゴリーの記録を付ける
すごくシンプルです。
この記録を見ながら、長期的に5つのカテゴリーが満遍なく選択できるように調整していけば、長期的にはワークライフバランスも実現できるでしょう。また、自分が時間を費やしにくいカテゴリーについても、この記録から発見することができます。
やることを絞った方が幸福
情報もビジネスも、ものすごいスピードで回っています。そこから振り落とされまいと必死でしがみついていることに、多くの人が疲れ始めているのかもしれません。
デューク大学のジョーダン・エトキン准教授は、時間と幸福感について実験し、短時間でいろんなことをするよりは、同じ時間でより少ないことに集中することで幸福度が高くなることを発見しました。
何となくバリエーションがあった方が楽しそうだと思いがちですが、じつは1つのことに集中する方が幸福度は高かったのです。匠と呼ばれる職人の方々が、自身の技術を磨き続ける幸福感を語ることは少なくありません。その根本には、こうした心理も作用しているのかもしれませんね。
罪悪感がない形で、自分のやるべきことを絞っていく。そんな視点で生活を少し見直すと、もっと楽に暮らせるかもしれませんよ。
実践的な心理学に興味のある方はこちらをご覧ください。