誰に言われたわけでもないのに、「もっともっと努力しなきゃ」と自分を駆り立てていませんか。それを内心、とても辛いと感じていたら……。自分で自分を追い込んでいることになります。今日は、過剰な努力に駆り立てる脳内命令の正体をお教えましょう。
- あなたを駆り立てる脳内命令、「5つのドライバー」とは?
- ドライバーが心の中に出現したときは、ちょっと待って!言葉を置き換えよう
- 自滅を促す脳内命令から逃れて、自分に寛容になろう
あなたを駆り立てる脳内命令、「5つのドライバー」とは?
心理学では、本人を過剰な努力に走らせる脳内命令として「5つのドライバー」が知られています。「自分は頑張り屋だから」「こういう性分だから」疲れるのはしょうがない、と思っていたあなた。そうではなく、良く知られる一般的な心理学的効果が原因だとしたら、どう感じるでしょうか。
心理学者のテイビー・ケーラーが行動に駆り立てるメッセージとして名付けた「ドライバー」ですが、心理学でよく知られている「5つのドライバー」とは、次のような脳内命令です。
・完璧であれ
「私は完全でなければならない。そうでなければ、完全・完璧を目指すべきである」
・がっかりさせるな
「他人をがっかりさせてはいけない。喜ばせ、笑顔にしなければならない」
・怠けるな
「もっと努力しなければならない。一生懸命やって、怠けてはならない」
・急げ
「何をやるにも、ゆっくりではいけない。急いで済ませるべきだ」
・強くあれ
「前向きでいつも元気でいなければならない。疲れた顔を見せてはいけない」
いかがでしょうか。もしかしたら、常に自分に言い聞かせている言葉もあったかもしれませんね。これら5つのドライバーは、小さい頃に親からしつけを受けることなどで自分の中にインプットされるといわれています。
もちろん、これら5つの言葉は、完全にネガティブな脳内命令ではありません。夢を叶えるため、理想的で気持ちの良い暮らしを手に入れるために、ある程度は必要な考え方です。ただ、本人が「辛い」と感じてしまうほどこれらのドライバーに支配されると問題です。頑張りすぎて睡眠不足に陥ったり、怠ける自分を責めさいなんだりすることで、メンタルが不調になる恐れがあります。
ドライバーが心の中に出現したときは、ちょっと待って!言葉を置き換えよう
周りから見れば十分に頑張ってる。それが自分でもわかっているのに、ついつい頑張りすぎてしまうことに気づいたなら、5つのドライバーからうまく逃れるコツを見つけましょう。例えば、以下のように言葉を置き換えるのはいかがでしょうか。
・完璧であれ→たまには手を抜いてもいいじゃない
いつも完璧じゃいけないわけじゃない、たまには息抜き、手抜きでいい、また明日から頑張ればいい。
・がっかりさせるな→目の前の人を喜ばせたほうがいいけど、そうできない日だってあるよね
自分は他人から評価を受けるために生きているわけじゃない。
・怠けるな→疲れたから休もうかな
ちょっと一息ついたほうが、後でまた頑張れる。無理は禁物、身体を壊したら元も子もない。
・急げ→慌てない、慌てない
マイペースで、むしろきちんと、ていねいに。
・強くあれ→ときには、ちょっともろくてもいい
いつも強いだけの人より、自分の弱さを分かっている人のほうが魅力的。
こんなふうに、0か100かで考えるのではなく、「たまには息抜き」「ちょっと一休み」と、「いつも頑張っている自分を休憩してみる」形をとると、無理なく休めるのではないでしょうか。
自滅を促す脳内命令から逃れて、自分に寛容になろう
5つのドライバーから抜け出せれば、ホッと楽になることがわかるでしょう。いつもよりちょっとダメな自分を許せて、肩の力が抜けるはずです。そう、この「自分を許す」ことこそが大事。自分に寛容になることは、他人に寛容になることにもつながります。きっと人間関係も、以前にも増して円滑になることを感じられますよ。
『マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣』古川武士、ディスカヴァー