「いまいち仕事がつまらない」と感じている人にお届けしたいのが、「ジョブ・クラフティング」です。人生をより充実したものにするための研究「ポジティブ心理学」から生まれた、仕事のやりがいを見つける手法です。
- ジョブ・クラフティングとは
- 3つの方法とは
- 仕事の満足度と関係しているポイントは?
ジョブ・クラフティングとは
自分はちっとも面白いと感じていないのに、目を輝かせて仕事する同僚がいたりしませんか?面白ければやる気も湧くし、より高い目標に向けた努力も惜しまないものです。そう、問題は仕事への熱量なのです。
ただ多くの人は「退屈だと感じる仕事を面白くするなんて……」と、諦めています。そんな人にお勧めなジョブ・クラフティングは、「つまらない」という仕事への意識を修正していく理論なのです。
ジョブ・クラフティングは、米イェール大学経営大学院のエイミー・レズネスキー准教授とミシガン大学のジェーン・E・ダットン教授により提唱されたものです。たった3つの考え方の修正で構成されています。その3つを変えれば、仕事内容が同じでも、自分にとって価値を持つと感じられるようになるそうです。
3つの方法とは
それでは、「ジョブ・クラフティング」の3つの方法を説明していきましょう。
①社会的な交流の質や量を修正する
仕事に関わる人に注目する方法です。人間関係の性質を変えたり、範囲を広げることで、仕事の手応えが変わり、業務もスムーズになり、仕事の面白みも増していくそうです。
上司・部下・同僚・お客などの人達と、少し違った関係を構築できるのか考えてみましょう。他人と結びつきを変えることによって、自分の仕事の意義ややりがいを見つけることができるそうです。
例えば自社商品のエンドユーザーと話してみるといった機会があれば、自分の仕事が社会にどのように役立つのかを実感できるでしょう。また営業であれば、クライアントとの人間関係を深めることで、自分の仕事の意義を理解できるかもしれません。
「一歩近づいてみる」「一歩広げてみる」といった仕事における人間関係の見直しが、仕事を面白くする扉になるかもしれませんよ!
②仕事を自分と周囲の環境や状態を広げた視野でとらえてみる
例えば、消防士を考えてみましょう。仕事は目の前の火を消すことです。しかし、もう少し視野を広げてみれば、消火は命や財産を守ることにつながり、ご近所を守ることでもあり、もっと言えば地域全体、日本全体を守ることにつながります。
介護でもお世話しているのは目の前の高齢者かもしれません。しかし、目の前の高齢者を救うことは、その家族が働き、子どもを育てるサポートしているのであり、地域社会はもちろん日本を支える大きな力となっています。
自分の仕事は何につながっているのかを、視野を広げて考えることで、意義ややりがいが生まれてくるかもしれません。ほんの少しだけ視野を広げて、自分が社会にどのように役立っているのかを考えてみませんか?
③仕事内容に手を加える
裁量権の小さい仕事だとしても、その範囲で工夫できることはあるものです。ほんの少し価値を高める行動、やりがいを持てる行動を加えていくことで、仕事のやりがいは高まっていきます。
ルーチンワークと感じる仕事でも、効率化できるポイントをみつけたら嬉しくなるものです。与えられた仕事を、一工夫で自分の仕事に変えていく。そんな方向性を目指してみてはいかがでしょうか?
仕事の満足度と関係しているポイントは?
従業員が職務そのものから受け取る満足感を「職務満足」と呼びます。
この「職務満足」と関連している項目を、 桃山学院大学の西川一廉教授が研究しています。さまざまな項目があるのですが、ここでは「会社・仕事」の項目に挙げられた7つを紹介しましょう。
・会社の業績やモラール(勤労意欲)はすぐれている
・自分の考えや判断の発揮できる職場である
・会社に誇りをもっている
・今の仕事は将来の地位を築くのに役立つ
・直属の上司は部下の仕事を認めてくれる
・部課の人々はよくあいさつをかわす
これらの項目に該当する人は、「職務満足」が高いことがわかっているので、自分の仕事が7つの項目に当てはまるか考えてみましょう。当てはまるものがないなら、例えば「あいさつをかわす」といったことから努力してみるのも一つの方法でしょう。
あるいは仕事への満足感や集団との一体感を示す「会社のモラール(勤労意欲)」の源について調べたり、現状の仕事がキャリアにどうつながるのか考えたりすることも、満足度を上げることにつながるでしょう。
仕事内容が同じでも、認識が変われば面白みも違ってきます。今日は、そのヒントを集めてみました。参考にしてください。
心理学に興味のある方はこちらもご覧ください。
参考:『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』(エリザベス・ダン ロバート・ビスワス=ディーナー/KADOKAWA)
「職務満足の心理学的研究(2)」(西川一廉)