期待のし過ぎから失望や怒りを感じてしまうことはありませんか? 希望は捨てない。だけど期待し過ぎない。そんな気持ちになるためのヒントを集めてみました。
- 期待がなければ怒りもない
- 自分の成長に期待し過ぎる人に
- 理想の自分に期待し過ぎる人に
- 環境に期待し過ぎる人に
- 自分の才能に期待し過ぎる人に
期待がなければ怒りもない
他人に怒りを感じるのは、その相手に期待している場合が多いもの。これぐらいはわかってくれるはず。これぐらいはやって当たり前。そんな期待が裏切られたときに、私たちは怒りを爆発させてしまいます。
実際、全く生活圏の違う外国人の行動を見ても、私たちは意外なほど怒りを感じないものです。「わからないから仕方ないよな」「習慣も違うからな」と考えてしまうことが多いからです。
これは自分に対しても起こります。悔しかったり、失敗して落ち込むのは、自分への期待がある証拠。まったく不得意なことについては、あまり気持ちに揺さぶられないものです。
例えば子ども時代から走るのが不得意だった人が、大人になって100メートルのタイムが遅くなったとしても落ち込むことはないでしょう。しかし子どもの頃に足が速かった人は、自分への期待があるだけに、歳を取って足が遅くなった現実に落ち込んでしまうこともあるのです。
ただ期待のまったくない人生は、それはそれで寂しいものでしょう。自分にも他人にも期待しない人は、未来に明るい希望を持つのも難しくなってしまいます。つまり適度な期待を持つことが重要になってくるのです。
そこで過度な期待を適度なものに変えるためのヒントを集めてみました。
①自分の成長に期待し過ぎる人に
資格取得の勉強の計画が、わずか数日で破綻することはありませんか? 1日50問解くはずだったのに、1ヵ月で100問も終わっていなくてがっくりといったことは、誰にでも経験があるでしょう。
ここで問題なのは、自分への成長に過度に期待し過ぎたこと。もっともっと早く成長するという期待は、ときに自分を苦しめます。例えば資格試験の問題を1日50問に設定するのではなく、1日3問にしておけば1ヵ月で90問。100問解いた自分に失望することもなかったのです。
自分の成長に期待し過ぎないようにするテクニックとして紹介したのは、「1週間以内にすぐできる1%の改善の行動」の実践。つまり比較的容易に手を付けられる行動を10個書き出し、その中で最も効果がありそうなものを3つ選んで1週間してみる方法です。一度に大きな変化が出なくても、小さな改善を積み重ねていくことにフォーカスすれば、「未来の自分」に酔って動けなくなることもありません。
特にマイナスの状態を改善しようとするときは、スモールステップでの成長を心がけてみましょう。
②理想の自分に期待し過ぎる人に
理想を持つのはいいことです。しかし理想と現実のギャップに悩み、動けなくなってしまうようなら、理想の自分に期待し過ぎないことが重要です。自分の力不足を受け入れることは、成長の必要なプロセスだといわれています。
米国のコーネル大学の学生への実験で発見されたダニングクルーガー効果は、実際の評価が低い学生ほど自己評価が高く、実際の評価が高い学生ほど自己評価は低いというもの。何となく自分はできるという高い自己評価から解放されたところから、理想の自分に向けた堅実な一歩が始まります。
ただ高すぎる理想の自分と現実の自分のギャップが大きすぎると、理想の自分に向けての行動すらバカらしくなってしまいがちです。そんなときに思い出してもらいたいのが、「今はこれでいい!」という考え方。
明日はもっと成長するから、今はこれでいいと思えれば、継続した行動ができるでしょう。
③環境に期待し過ぎる人に
「部下は仕事ができない」「上司は細かすぎる」「嫁の家事が気に食わない」「給料が上がらない」などなど、現状への不満が次々と出てくる人は、自分の周りの人や環境に過度な期待をしている可能性があります。
たとえば仕事ができないと思っている部下は、もしかしたらあなたの指示が悪かったのかもしれませんし、過度な期待を取り払えば平均的な成果をあげているのかしれません。
そして何より部下や上司といった存在は、本質的にあなたがコントロールできない事柄なのです。部下が仕事をしやすいように、難しいポイントはフォローするといったことはできても、実際に行動するのは部下だからです。
環境に期待し過ぎる人に、まずやってもらいたいのは、コントロールできることと、できないことを明確に分けることです。そして自分の力ではどうにもならないことを手放して、自分がどうにかできる部分にフォーカスすることが重要になります。
コントロールできない環境への期待を持たないぐらいの気持ちで行動すると、さまざまな不満や怒りに翻弄されることもなくなるでしょう。
④自分の才能に期待し過ぎる人に
やってみたらセンスが悪かったということもあるでしょう。スポーツなどは特にそういった現実に直面しがちです。営業なども訪ねれば確実に仕事を取れる人もいれば、なかなか成果に結びつかない人もいます。
そうした才能の違いを意識したとき、悲しくなってしまうのは仕方ありません。だからといって、すべてを放り出すのは間違っています。というのも才能によらず、成功に近づく方法があるからす。
それは行動量と確率で考えること。才能がないと感じるなら行動量を増やして、「ヒット」を積み重ねていけばいいのです。打率が1割だったとしても、人より2倍打席に立てば、ヒットの本数も2倍になります。しかも行動量がセンスを磨いていくことも少なくありません。
才能に期待し過ぎて、自分の現状に落ち込んでしまったときは、迷わず行動量をアップしてみましょう。すべてを放りだすのは、その後でも遅くはありません。
今日は期待し過ぎる事への対処法をまとめました。気に入ったものがあったら、試してくださいね。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『理想の人生をつくる 習慣化大全』(古川武士/ディカヴァー・トゥエンティワン)