ちょっと心細いと感じることは、誰にでもあるでしょう。一人の夜だったり、試験の前だったり……。考え始めると不安の種が膨らんでしまったりもするかもしれません。そんなとき温度を調整してみるのが効果的かもしれません。
- 手を温める
- むやみに逃げない
- 過去の対処法を思い出す
- 人とつながる
手を温める
不安や恐怖は生物としての進化の過程と結びついていることがわかっています。例えば、ヘビは恐怖の感情を引き起こしやすく、発見しやすいのです。これはヘビが生死にかかわる重要な問題だった人類の祖先の記憶や反応を引き継いでいるからこそ起こるものだそうです。
だからこそ安心感も、進化の記憶と結びついているそうです。
エリカ・ホーンスタイン氏などの研究によれば、手を温めることで不安を感じにくくなり、その効果がしばらく続くことが判明したそうです。東日本大震災で被災した人々への取材でも、火に当たったときにホッとしたと話している人が多かったのですが、これは温度と安心感の関係を表すものでしょう。
実際、哺乳類の赤ちゃんは母親に抱かれた温かい環境が確保されている場合は、生き残る確率は高くなります。こうした原初的な記憶が、温度と安心感に関係しているのではと指摘している研究者もいます。
温かい飲み物をカップに入れて持ったり、火に手をかざしたりといったことが、不安を解消したり、小さな不安を大きくしないようにしてくれる可能性があります。ちょっとした不安を感じたときは、温かい飲み物を用意するのがお勧めです。
むやみに逃げない
不安は対象がハッキリとしないものとされています。つまり、よくわからないけれど何だか怖いというのが不安です。
そして不安は逃げるほど大きくなるとも言われています。対象が分かっている「恐怖」であれば、対象を避けて仕切り直すといったことが容易です。ところが対象が曖昧な不安は、逃げるほど拡大する傾向があるそうです。
例えば何となく試験が不安と感じたときに、どこが理解できていないのかを確かめれば不安は解消に向かいますが、その不安から目を背けると、その不安の範囲が広がってしまうことがあるのです。
もちろん無理をし過ぎるのは禁物ですが、不安にはある程度立ち向かう方が解消されるケースが多いようです。
過去の対処法を思い出す
ボニー・ザッカー博士は、不安を感じたときには、過去の不安にどのように立ち向かい解消したのかを思い出すことを勧めています。
誰でも不安を自力で解消した経験はあるものです。そのときの記憶を探ってみましょう。不安をどのように捉え、どうやって対処法を考えたでしょうか? 役立った行動はどんなものだったでしょう?
同じシチュエーションでなくても、活用できるヒントはあるはずです。
不安は対処への一歩を踏み出すと小さくなっていくといった傾向もあります。過去の事例を参考に、小さな行動の一歩を踏み出してみましょう。
人とつながる
不安解消の重要な要素の一つに、人とのつながりがあります。仲間と居ることで生き残る可能性が高まる人間の祖先の記憶が、人とのつながりを求めるのだろうとも言われています。
不安を感じたときに、他人との接触を断ち、引きこもりたくなることも少なくないでしょう。しかし不安を解消したいなら、人とのつながりを確保する方が有効です。
じつは不安が強い人ほど、不安を乗り越えたときの快感が大きいとも言われています。困難なミッションだからこそ、達成したときに喜びが強いといった経験がある人もいるでしょう。つまり不安は達成感を得るポイントの一つなのです。
不安を感じたら、快感を得るチャンスだと考えて解消に向けて動き出すのもいいでしょう。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会