新型コロナウイルスがまた少しずつ感染を広げるようになり、漠然とした不安を抱えている人も少なくないでしょう。そんな不安の対処法について、お伝えします。
- 不安は人から人に伝わる
- 試してみたい5つの方法
不安は人から人に伝わる
ネガティブな感情が人から人へと伝播することは、よく知られています。
カリフォルニア大学リバーサイド校の研究者ハワード・フリードマンとロナルド・リジオは、不安そうな人が視界に入ってくるだけで、同じような気持ちになる可能性が高いと報告しています。また高ストレスの人を見るだけで実験参加者の26%が、ストレスが増えると分泌される「ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールのレベルが高まったと報告しています。
ポイントは、話さなくても不安やストレスが伝わってしまうという点でしょう。イライラした人がいると、雰囲気が悪くなるのは気のせいではなかったのです。
つまり社会的な不安感が強まったことで、何となく不安な気持ちになってしまうのは、ある意味仕方ないのです。ただ、そうした影響を抑える方法は知っておいた方がいいでしょう。
試してみたい5つの方法
臨床心理士で心理学博士であるLise Deguire氏は、パンデミックの不安に効果のある5つの方法を推奨しています。5つすべてを実行するかどうかはともかく、ちょっと気持ちが落ち着かないなとか、ストレスが溜まってきたなと感じたときに試してみるのはお勧めです。
①朝の10分瞑想
瞑想やマインドフルネスを試してみたいなら、アプリやYouTubeにガイドがあります。気になったものを試してみるといいでしょう。
Lise Deguire氏は瞑想をすると、
「頭がはっきりして、リラックスしていて、さわやかな気分になる」
と書いています。
マインドフルネスの効果は各種の研究でも立証されていますが、続けるのが難しいことでも知られています。「気持ちよい」と感じられるなら、習慣化できる可能性も高まるでしょう。
②運動
抑うつ的な気分に運動が効果を発揮することも、よく知られています。ジョギングなどの有酸素運動でも、筋トレでも、とにかく身体を動かしてみることが重要です。運動も習慣化しにくいことが知られていますので、あまり張り切り過ぎて、体に負荷をかけすぎるのはやめましょう。定期的に体を動かしたくなる程度に抑えると長く続くでしょう。
③クリエイティブな活動
楽器を演奏したり、絵を描いたりと、時間がたっぷりとあった学生時代に楽しんでいた趣味を復活させてみましょう。創造性を刺激することは、ネガティブな気持ちを発散するのにプラスに働くようです。
④友達・家族や恋人とのコミュニケーション
コミュニケーションの時間を意図的に増やすことは、心にもプラスに働くようです。直接会うことが難しいなら、電話やZoomなど方法は何でも構いません。Lise Deguire氏は、自宅にこもりがちで会話の内容がつまらなくても構わないから電話するように、と書いています。
特に会話が盛り上がる必要はないのです。お互いの声が聞ければ、少しだけ気持ちが前向きになるといったことも起きるでしょう。
⑤先延ばしの解消
これまで時間がなくて先延ばしにしていたことに手を付けると、思いのほかスッキリするそうです。人はやろうと思って手を付けていないことに、気持ちを引っ張られる傾向があります。面倒で先延ばししていることは、見ないようにしているだけで、意外に気になっている可能性があります。
書類や衣服の整理、手を付けていない場所の掃除などなど、職場にも自宅にも緊急性がなくて手を付けていないことは意外に多いはずです。一番、気になっていることを片付けてみましょう。それでスッキリしたと感じたら、やり残していることを一覧表して、少しずつ手を付けていくのもいいでしょう。
先の予想がなかなか立たない状況にいる人も多いでしょう。そうした状況だからこそ、スッキリした気分になるようなルーチンを手に入れることも大切です。どれも短時間で実行できるものですので、気軽に試してみてください。
今日は不安の解消法についてお伝えしました。
心理学を活用した気持ちの整え方について、もっと知りたい方はこちらもご覧ください。
参考:「5 Grounding Tips for a Strange Time」(Lise Deguire Psy.D./Psychology Today)/「他人がまき散らすストレスに“感染”しない4つの方法」(ショーン・エイカー ミシェル・ギラン/Harvard Business Review)